11月16、17の両日、日本武道館で平成24年度自衛隊音楽まつりが行われた。約1000人が出演した全6公演に、16日夜の森本敏防衛大臣、統幕長・陸海空各幕僚長、17日午前の長島昭久副大臣、大野元裕政務官をはじめ約3万6000人が来場。また今年は15日のリハーサルへ学生を中心に2250人を招待し好評を博した。
今年の音楽まつりは、テーマ「和、奏でる夢」に相応しく、例年以上に人の心の繋がりや歴史の繋がりを強く感じさせた。プロローグの『七彩の奥羽国』は東日本大震災を主題に据えた昨年の音楽まつりでも使用された曲。オープニングではロンドン五輪関連曲『炎のランナー』演奏後、4名の自衛官メダリストが万雷の拍手の中登場し挨拶を行った。第1章に単独出演の東部方面音楽隊は東京五輪のファンファーレ、ご当地ソング『銀座カンカン娘』などを披露。戦後日本の風景を軽妙かつ洒脱に表現した。中部方面音楽隊の『ボイジャー』は一遍のオペラの如き壮大さで星々の物語を表した。ゲストの米軍はサンフランシスコ平和条約60周年記念で米太平洋陸軍軍楽隊を大規模に特別編成。在日陸軍を中核にアラスカ・韓国・ハワイから計67名が参加し迫力の演奏。米海兵隊第3海兵機動展開部隊音楽隊の演奏を挟み、方面・米軍音楽隊がロス五輪のファンファーレなどを合奏、年月をかけ築いた日米の絆を雄弁に物語った。
第2章は言わば"ザ・自衛隊"の章。防大儀じょう隊のファンシードリルを皮切りに空自中央音楽隊、陸自中央音楽隊、海自東京音楽隊が単独ドリル演奏。『空の精鋭』、『陸軍分列行進曲』、『行進曲 軍艦』。陸海空の定番曲などに合せ3自衛隊の活躍をスクリーンに映した。特別儀じょうを担任する第302保安警務中隊とのコラボが行進の重厚さに輪をかけた陸、構成にサンバを取り入れ陽気に踊った海、華やかな演技隊と共に『スタートレック』が印象的な空と、歴史の中で培われた3自衛隊それぞれの個性が存分に発揮された第2章だった。
沖縄復帰40周年記念の第3章パート1は、章題通り、第15音楽隊と第15旅団エイサー隊がステージいっぱいに駆け回り、楽器と唄と踊りで沖縄の心を東京へ届けた。そしてパート2で沖縄の心へのアンサーとして、陸海空音楽隊が『涙そうそう』を合奏、続けて『ふるさと』。我らが故郷を何者にも脅かさせない。3自衛隊の強い決意が演奏に込められていた。3章の最後に、北は名寄から南は北熊本まで全国の13個チームが集い力強い自衛太鼓を披露。終章第4章の全出演部隊による、ゆずの『虹』の大合唱と共に、大勢の想いが繋がり一つになる素晴らしさが心に響いた。
音楽まつりは、同じ顔触れで出演者が揃うことは2度とない、一期一会の泡沫(うたかた)の夢。しかし、夢の種となる努力や創意工夫、情熱は連綿と受け継がれていく。回を重ねる毎に積み増す想いの和はこれからも観る者を魅了し続けるだろう。 |