5月22日、晴海ふ頭HK岸壁及び旅客ターミナルで遠洋練習航海部隊(練習艦隊司令官・淵之上英寿海将補)の出国行事が行われた。開始前に式場を訪れると、そこかしこで、派遣部隊の乗員と、見送りの家族・関係者が、間近に迫る暫しの別れを前に言葉を交わし共に写真に納まる光景が見られた。自らの制帽を被せた乳幼児を抱き微笑みかける乗員。彼の口元が動き我が子へ何事か語りかける姿に、今日という日が持つ意味の大きさを改めて感じ背筋が伸びる思いがした。
出国行事では、練習艦隊司令官・淵之上英寿海将補以下の派遣部隊を、乗員家族約450人、加藤外務政務官をはじめ衆参国会議員など来賓約150人、渡辺副大臣、金澤事務次官、杉本海幕長ら防衛省・自衛隊関係者が見守る中で、訓辞、花束贈呈などが粛々と行われた。派遣人員は第62期一般幹部候補生課程修了者約190名の実習幹部を含む、幹部、海曹士など約760名。旅立ちに臨み凛々しく居並ぶ部隊へ、来場者から熱い視線が注がれる。壇上から彼らに言葉も愛情溢れる力強い内容が並んだ。
「諸君が航海する海域は古来、貿易により我が国の発展と繁栄を支えてきた海の道、シーレーンである。帝国海軍が先の大戦において枢要な戦いを繰り広げた海域でもある。先人の偉業と尊い犠牲を偲びつつ、この航海を、海上武人としての素養を高める良い機会として研鑽に励んでもらいたい」(杉本海幕長壮行の辞)。
今年度は、東南アジア→南アジア→中東・アフリカ東海岸の航路約4万8000kmを154日間で往復する。遠航部隊は日本の繁栄を支える海路で様々な経験を積み多くの外交貢献などを果たして10月22日に帰国予定。約5ヵ月に亘る航海へ、晴海ふ頭を離岸する練習艦「かしま」、練習艦「しまゆき」、護衛艦「まつゆき」を、家族らは激励と惜別の気持ちを込め手旗を振って見送った。レインボーブリッジの方向へ移動していく艦を追いかけて、岸壁沿いを走る人々。艦上で帽振れを行っている乗員の家族と思われ、大声で何事か必死に叫んでいる。恐らく艦上の乗員の耳には届いていないだろうが彼らの目と、そして心にはしっかりと届いたはず。想いは一つ。大きな成果を上げて全員が秋に無事帰国することを皆が祈っている。 |