最大震度7、マグニチュード8・2の首都直下地震を想定し対処訓練——自衛隊は統合幕僚長を統裁官とした平成24年度「統合防災演習(JXR)」を7月16日から20日まで5日間、関係府省庁、地方自治体、在日米軍を含め人員約5000名で行った。「トモダチ作戦」を踏まえ米軍初参加で指揮所演習を実施。実動訓練では多くの隊員たちが炎天下の猛暑、風の運ぶ砂埃、悪臭の水路、重装備での夜間の徒歩前進などをものともせず、奮闘した。
7月16日午前9時5分発生、震源地は東京湾北部、7都県で震度6以上とし、自衛隊は建物倒壊から火災、化学物質の流出による人的被害まで想定して指揮所演習、また連接した実動訓練を行った。
陸海空自合同の「災首都圏統合任務部隊(JTF)」の指揮所を朝霞駐屯地に設置。東方総監・渡部悦和陸将が「演JTF指揮官」となり演習を行った。今回初参加の米軍や航空、輸送、兵站についての調整所を設け、6都県それぞれの災害対策本部も置いた。
演習に参加した自治体や第1師団、第12旅団、中央即応集団など隷下部隊へ、コンピュータを用いデータベースから状況を付与。それに対して端末へ偵察、人命救助から生活支援まで対処を入力し、その結果を司令部に報告。成果を訓練統制部が審判し、さらに状況付与。人的被害、 インフラ損壊などの規模や影響を様々にシミュレーションし、対処を演練した。
演JTF指揮官・渡部東方総監は今回の演習について「人命救助などの災害派遣任務を完遂するため重要、不可欠な演習であると深く認識している。本演習の成果を踏まえ、今後も関係機関などと連携を図り『錬磨無限』をモットーに災害対処能力の向上に努める」と述べた。
JXRに連接した実動訓練は首都圏各地で実施。大宮32普連による水路から徒歩での被災地域への前進、朝霞1施大隊による重機の水路輸送、駒門1高特大隊による横浜市での県警と連携した避難所設営など、第1師団隷下部隊の訓練が公開された。練馬1普連285名が東京23区に展開した初動対処訓練は夜間開始、自治体と連携した市街地での訓練となった。
空自入間基地では関東補給処(霞ヶ浦)の計画による災害派遣部隊用の補給品集積・保管を行う後方支援訓練。北海道補給処の約50名を含む150人態勢で、今回初めて3日分の糧食18万食、燃料860本を実物で運び込み、これまでの同種訓練で最大となった。
なお今年度末までに、自衛隊は首都直下地震対処計画の研究案に今回のJXRの検証結果を反映させ、政府が検討中の対策案と整合させる。 |