日本大震災を経験した陸上自衛隊主催の国際会議」—第11回「アジア太平洋地域多国間協力プログラム」(MCAP)が9月25日から29日まで5日間にわたって、東京都内で開催された。米国、豪州、インドなど24ヵ国、陸自からは幕僚監部、中央即応集団、研究本部など、また国連人道問題事務局や赤十字国際委員会、「国境なき医師団」などが参加。テーマは「大規模災害対処のための陸軍種としての平素の取り組み」。全体会議から始まり、11回目にして初採用の「シナリオに基づく机上演習」、東京臨海広域防災公園での施設研修などが行われた。
この国際会議は「地域各国陸軍と意見交換や研修を行い人道支援、災害救助に活かし、さらに各国との相互理解と信頼醸成を図る」ことなどが目的。
今回が初の「シナリオに基づく机上演習」(TTX)では、東日本大震災と同じマグニチュード9・0、最大震度7の大地震に被災した架空の「M国」とM国陸軍の活動や地域各国陸軍の支援などを想定。
参加国は3グループに分かれ「大規模災害発災直後における官民軍の連携について」と「初動対処以降における多国間協力について」の2つを課題として討議し発表を行った。
その結果、共通認識が必要として▼災害時、迅速な対応のため情報共有はもちろん重要だが、対処を誤らないために「被災後の状況が今、どの段階にあるのか、共通の評価が重要」▼アジア太平洋地域は文化的・宗教的に多様であり、異文化に精通した人材を育成し、連絡幹部として派遣すること▼多国間会議による相互理解の重要性、などが挙げられた。
初採用のTTXは参加各国から「実態に即している」と高い評価を得た。次回以降、実際の被災状況により近い場面設定での「シミュレーション訓練」を行う考えも示された。机上演習から一歩進み、調整所を設置して連絡幹部がニーズの調整などを演習する。
全プログラムを通じて参加各国は「自治体、民間企業などとも協定を締結し、すべての防災関係者が連携し参加する訓練を平素から行うことが重要」との認識を共有した。
議長を務めた陸幕国際防衛協力室長・笠松誠1陸佐は「まず東日本大震災での経験をシェアすることが大事。大震災では甚大な被害を受け、多くの国から支援していただいた。その恩に報いるためにも、日本には災害対処でリーダーシップを執らなければならない責務がある」と話した。 |