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自衛隊ニュース   2012年10月15日号
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森本防衛大臣が労をねぎらう
中国で遺棄化学兵器発掘・回収の派遣隊員が帰国

 8月30日から9月27日まで、中国・琿春市で行われた「中国遺棄化学兵器発掘・回収事業」へ派遣された陸自隊員6名が9月28日に防衛省を訪れ、森本敏防衛大臣に面会した。
 防衛省は、内閣府の依頼を受けて平成12年度より毎年、弾薬及び化学の専門知識を有する陸自隊員を中国遺棄化学兵器発掘・回収事業へ派遣している。
 派遣隊員は、金属探査及び発掘作業、発掘した砲弾等の外観鑑定・砲弾の汚染の有無の確認・作業員の安全管理等について専門家として指導等を行った。8〜9月後半の厳しい残暑の中、防護服を着用しての手作業。非常に体力を消耗する環境下で、日本側・中国側が安全に留意し終始協力しつつ作業を行い、対象地域の一部で旧日本軍の化学砲弾と思われる砲弾171発を含む計174発の砲弾等が発掘・回収された。面会した森本大臣は、「皆さんが今まで培ってきた技術、ノウハウを用い、大変困難な環境の中で日本を代表して頑張っていただき無事任務を完遂したことは大変御苦労でした。派遣で得られた体験、知識を活用して、それぞれの任務に役立てて下さい」と労った。
 派遣要員は左記のとおり。
▽陸自武器学校・中野敏勝1陸尉=武器科「言葉も文化も違う相手との作業の調整がいかに難しいか大変勉強になった。技術的な面も併せてこれからの学生教育に活かしたい」▽陸自中央特殊武器防護隊・窪田雅之2陸尉=化学科「協同作業を通じ専門分野以外にも多くのことを学び視野を広げることができた」▽陸自第3特殊武器防護隊・高崎雄人陸曹長=化学科「自衛隊のCBRN能力は世界トップクラスであることを肌で実感し自信がついた」▽陸自化学教導隊・小林正明2陸曹=化学科「武器科隊員、民間企業及び中国側の参加者と共に日々協力して任務を完遂したことはこれまでにない財産」▽陸自第104不発弾処理隊・倉員武志2陸曹=武器科「貴重な経験を部隊に普及し、今後の勤務に活かしたい」▽陸自第103不発弾処理隊・稲尾瑛亮3陸曹=武器科「今回得られた経験を活かし不発弾処理業務の安全な実施に努める」


他国との共同開発・生産の展望を示す
11周年の陸自研本がセミナー開催

 創立11周年を迎えた"陸上自衛隊のシンクタンク"陸上自衛隊研究本部(本部長・中川義章陸将=朝霞)は10月3日、和光市民文化センターにおいて「平成24年度研究本部セミナー」を開催した。同セミナーは参加者の意見交換などを通じ、研究員の意識向上及び各種研究の進化・充実を図ることを目的に、平成14年から毎年開催している。
 セミナーには、中川本部長以下部内の参加者、防衛産業関係者、協力団体関係者、 OBなど約700人が参加。テーマを「防衛産業の実情と今後の課題について」とし、本部長の近況報告をはじめ、ジャーナリストの桜林美佐氏が「防衛産業の実情と展望」、日本貿易振興機構(JETRO)知的財産権専門家の服部正明氏が「共同開発、共同生産等における知的財産の保護について」という演題で、基調講演を行った。
 中川本部長は、防衛予算の削減などの現状を踏まえ、「我が国一国の力で全ての防衛生産・技術基盤を維持することは困難な状況」と報告。続く講演では、当面の課題である他国との共同開発・生産について、武器輸出3原則の緩和等の研究会に参加した桜林氏は、現状の改善に「国の後押し、政治の努力がより必要」などと訴え、服部氏は、本田技研で長年に渡り知的財産問題対策に携わった経験を踏まえ、邦人企業が共同開発・生産を行う際の契約形態などの実例を紹介した。
 セミナー終了後、協力団体主催の「創立11周年記念祝賀会」が朝霞駐屯地隊員食堂で催された。陸幕副長・番匠幸一郎陸将をはじめ部内外からの多数の参加者は、陸海空自衛隊唯一の調査・研究専門機関である陸自研究本部の更なる活躍を願いつつ、親交を深めていた。


在日米陸軍から勲章
陸自隊員5名の功績讃える

 陸上自衛官5名が9月28日、キャンプ座間で在日米陸軍から勲章を授与された。「陸上自衛隊と在日米陸軍との間の合意に関する覚書」と米陸軍規則「軍の勲章」を根拠としたもので、授与者は米国太平洋陸軍司令官ワーキンスキー中将。当日の伝達者はUSARJ副司令官ビジョップ大佐。
 勲章を授与されたのは以下のとおり(カッコ内は勲章の種類と功績)▼陸幕装備部装備計画課長・山根寿一1陸佐(陸軍功績勲章・陸幕防衛部防衛班長時の功績)▼陸幕装備部装備計画課後方計画班・笹島昭佳2陸佐(陸軍功労賞・陸幕装備部装備計画課日米担当時の功績)▼陸幕教訓部教育訓練課教育班・大谷雅之3陸佐(陸軍功労賞・陸幕人事部人計課予備自室日米担当時の功績)▼統幕防衛計画部防衛課防衛班・六反洋一朗3陸佐(陸軍功労賞・在日米陸軍連絡官当時の功績)▼第3教育団総括班・三浦達也准陸尉(陸軍功績勲章・曹友連合会長時の功績)。
 受勲した三浦達也前曹友連合会長は「驚きと嬉しさ、そして多くの皆様に感謝致しますとともに、この受勲は准曹の代表として戴いたものと感じています。これに恥じぬよう更に徳操を磨き、識能の向上を図り、範となるように努めたいと思います」と述べた。


家族とともに隊員を表彰
市ヶ谷で第10回「国民の自衛官」

 第10回「国民の自衛官」表彰式(協力・防衛省、協賛・日本防衛装備工業会、防衛懇話会、主催フジサンケイグループ)が10月1日、グランドヒル市ヶ谷で行われた。
 表彰の対象は、任務の枠を越えて「国民に感動を与える行動をした自衛官」および、日常の行動を通じて「社会との絆を強めた自衛官」。防衛省からの推薦などで選出された。
 受章者は以下の通り。
 ▼陸自第12偵察隊=相馬原=栗原孝浩2陸曹(37歳)▼陸自第5音楽隊=帯広=佐藤春美陸曹長(55歳)▼陸自西部方面ヘリコプター隊=高遊原=野小生孝幸1陸尉(52歳)▼陸自第104不発弾処理隊=目達原=前田進陸曹長(45歳)▼元海自第1潜水隊群潜水艦救難艦「ちはや」=呉=佐田野久志元1海尉(53歳)▼海自第5護衛隊護衛艦「あけぼの」=佐世保=元艦長・澤口和彦元2海佐(54歳)ほか150名▼空自第1輸送航空隊第401飛行隊=小牧=今福公助准空尉(52歳)▼元空自航空救難団浜松救難隊=浜松=金子則雄元准空尉(54歳)▼空自航空救難団松島救難隊=松島=原和昭空曹長(43歳)▼〔特別賞〕陸自第119教育大隊=多賀城=有馬勝彦2陸曹(41歳)


「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
コミュニケーション能力大切に
内海交通(株) 曲谷幸雄
曲谷氏は平成23年5月、呉掃海業務支援隊を1海尉で退職。55歳

 私は、平成23年5月、海上自衛隊呉掃海業務支援分遣隊を最後に定年退職しました。この度の再就職につきましては、下関基地隊就職援護室に一方ならぬお世話になり、心から感謝しております。
 厳しい再就職環境の中、内海水先区水先人会に所属する内海交通株式会社の水先艇(パイロットボート)船員として、再就職することができました。まだ入社して1年6か月ですが、海上交通の安全を担う水先業務に従事する者としての自覚と引き続き海上勤務ができる喜びを胸に仕事に励む毎日です。
 内海水先区水先人会の業務は、瀬戸内海を航行する船舶に対する水先人(パイロット)の派出調整、乗下船支援をすることです。その中で私の勤務する内海交通株式会社の仕事は、門司港レトロ地区にある内海水先区水先人会門司支部内で待機し、内海航行を開始・終了した船舶からの連絡を受けてパイロットボートにより、水先人を送迎することです。
 再就職して一定の期間が経過した現状において、今後定年退職される方に助言したいのは、再就職環境の厳しさを再認識するということです。再就職した職場で大切なことは、コミュニケーション能力であり、日頃からこれを磨いておけば年齢が高くても職場の仲間と人間関係を築くことができ、良い環境の下で仕事を続けることができます。
 次に健康管理です。定年前ともなると生活習慣病等のさまざまな病気に苦しむ人たちが増加しますが、定年後の再就職先では心身ともに自立し、活動的な状態で仕事ができることが重要で、現役時代の健康管理意識が再就職後の勤務環境を大きく左右することになります。健康管理は一朝一夕にして準備できるものではなく、現役時代の今こそ生活習慣を見直すことが必要です。
 今後定年退職される方々がより良い再就職をされ、第二の人生を有意義に過ごされることを祈念しています。


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