東日本大震災への対応に関する教訓事項の最終とりまとめが行われた(関連記事4面)。防衛省・自衛隊は平成23年3月11日の発災当初から同年12月26日の原子力災害派遣の終結まで一体となって東日本大震災への対応に取り組んだ。
震災発生時、情報が少なく全体の状況も見えない中、各地で各部隊が各隊員がすぐさま動いた。震災発生1時間後には、毛布やストーブを積んだ車両が駐屯地・基地内で列をなして命令を待っていた。駐屯地・基地内の売店からはあっと言う間に乾電池・懐中電灯・衣料品等がなくなった。携帯電話は繋がらない、家族との連絡もつかない。部隊の電話は鳴りっぱなし、住民が助けを求めてくる。あれもない、これもない…そんな中での初動は周知の通りだ。
発災から日を追う毎に様々な事案が発生して来た。まさに手探りで、各システムを現場で構築し円滑に対処して来た。「天災地変その他の災害に際して人命・財産を保護するため」、日夜、危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、国民の負託にこたえた。
現場で取材をした時に「常日頃積み重ねて来たことを今やっているだけ」と言う自衛官の言葉が余りにも深すぎて、何も言えなかったのを覚えている。日本とは思えない状態、今まで知らなかった臭い。カーナビ通りに走ろうにもカーナビで示す交差点も道路も目印もない、当たり前の事が当たり前でない状況。
当然最近でも各地で災害派遣は行われている。10月31日、第2管区海上保安本部長から行方不明船舶の捜索に係る災派要請が自衛隊大湊地方総監部にあり、海自第73航空隊大湊航空分遣隊・第2航空群・第25航空隊が派遣され捜索活動等を実施。11月26日には、第9管区海上保安本部長から人命救助に係る災派要請が航空自衛隊第6航空団司令にあり、航空自衛隊小松救難隊が派遣され救助活動を実施した。11月27日、北海道知事より救援物資輸送等の災派要請が陸上自衛隊第7師団長にあり、陸上自衛隊第13施設隊と第71戦車連隊が救援物資輸送や避難所の運営支援等を実施し、不安気な避難民に安心も届けた。
また急患輸送は11月だけで29件を数える。
自衛隊は脚光をあびる大きな出動にも目立たない活動にも全力を傾注する。たずさわる隊員の気持ちももちろん同じだ。
「常日頃の積み重ね」「当たり前のこと」の重要性を平成25年も考え実践するはずだ。 |