内閣府が3月10日に公表した『自衛隊・防衛問題に関する世論調査』で、自衛隊に良い印象を持っているとする人が9割を超え、1969年の調査開始以来、最高となった。東日本大震災への対応についても「評価する」が97・7%に達しており、献身的な震災対応への評価が自衛隊のイメージ向上へとつながった。この調査は1月5日から22日、全国の成人男女3000人を対象に個別面接方式で行われ、有効回収率は63・1%(1893人)。防衛問題に関する国民の意識把握のため、昭和44年から3年ごとに行われている。
調査項目は、大きく分けて (1)自衛隊・防衛問題に対する関心 (2)自衛隊に対する印象 (3)防衛体制についての考え方 (4)自衛隊の役割と活動に対する意識 (5)防衛についての意識 (6)日本の防衛のあり方に関する意識―の6項目。
【良い印象が9割超に】
自衛隊に対する印象では、「良い」が37・5%で、「どちらかといえば良い」54・2%と合わせると91・7%に上り、過去最高を記録した。また、「悪い」「どちらかといえば悪い」とする人も合わせて5・3%と調査開始以来一番低い数字となった。前回2009年の調査との比較でも、良い印象が10・8%上昇、悪い印象は8・8%下がるなど、自衛隊への好感度がかつてないほど高まっている。
【震災対応の評価97・7%】
東日本大震災時の災害派遣活動に対しては、「大いに評価」79・8%と「ある程度評価」17・9%を合わせ、97・7%が評価していると回答。一方、「あまり評価しない」が1・3%、「評価しない人」とする人は全くいなかった。
また、「自衛隊と防衛問題に対する関心」の項目で、関心があるとする人の理由に「大規模災害など各種事態への対応などで国民生活に密接な係わりを持つから」と挙げた人が前回の28・6%から34%に上昇した。
未曾有の被害をもたらした震災で懸命な活動を続けた隊員の姿は、国民から高い評価を受けている。同時に、きめ細かく被災者に寄り添った支援は自衛隊をより身近に感じる機会となったようだ。
【海外での活動】
自衛隊は国際平和協力活動に積極的に取り組んでいる。現在はゴラン高原、ハイチ、南スーダン、東ティモールでPKOへの参加、地震や津波などで被災した国を支援する国際緊急援助活動などで国際社会に貢献。こうした海外での活動に対して「評価する」が87・4%、「評価しない」は7・7%と高い評価が示された。
【日米関係について】
昨年の大震災は日米関係にも大きく影響した。米軍は人道支援・災害救援活動「トモダチ作戦」を展開したが、この支援活動に対して「成果をあげた」とする人が79・2%に上るなど高く評価された。また、日米安全保障条約についての意識調査で、日米安保が日本の平和と安全に役立っているかという質問に、「役立っている」(「どちらかといえば役立っている」を含む)と答えた人が前回調査から約5%増の81・2%。一方で「役立っていない」(「どちらかといえば役立ってない」を含む)とする人は前回の16・2%から10・8%へと下がった。 |