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自衛隊ニュース   2012年12月1日号
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海外からの便り
ゴラン ハイチ 南スーダン
習慣の違いに戸惑う
第26普通科連隊(留萌)
2陸尉 崎田隆義

 私は現在、UNDOFのゴラン高原派遣輸送隊で勤務しています。派遣隊員としてゴラン高原に派遣されることを光栄と感じるとともに、その重責に身が引き締まる思いです。
 ゴラン高原派遣輸送隊はインドの後方支援大隊内の輸送隊であり、私はその輸送班長として各種調整業務に従事しています。勤務の特徴は常にインド軍人と机を並べて勤務していることであり、派遣当初に戸惑ったことは言語と習慣の違いです。
 任務においては英語が共通語として使用されています。私自身、FTXやYSなどの日米共同訓練に参加した経験があり英語は比較的得意な方でしたが、UNDOF派遣国の軍人は米軍人と違い、どの派遣国も英語が母国語ではないため、訛(なま)りや表現に差異があり、各国の言い回しやイントネーションを押さえるまで非常に苦労しました。そのため当初は努めてEメールを活用し、調整で齟齬(そご)がでないようにしました。
 また習慣の違いで面食らったのは、どんなときでも調整に赴いたらまずは席に着き、お茶を飲んでから話を始めるということです。本邦においては調整先の部屋に入り、立ったまま調整を済ませ、調整が済んだら部屋から退出するという流れが一般的だと思います。しかしこちらでは急ぎの調整であっても、まずは席についてお茶なので、当初は時計を気にしながらそわそわしたものです。今ではお茶を楽しんでから調整するという習慣にも慣れ、調整相手といろいろな話をして互いの交流を深めています。
 このように言語や習慣の違いはありますが"One mission, One team, One goal"を合言葉に、すべての派遣国が力を合わせて任務に臨んでいます。私も日本の国益のため、中東の平和と安定のため、任務を終えて帰国するまでの間、全力で任務を遂行してまいります。

子供たちの未来のために
第10普通科連隊(滝川)
2陸曹 倉田 順

 南スーダン派遣施設隊(2次隊要員)として今年、独立1周年を迎えた南スーダン共和国の首都であるジュバ市へ派遣されました。
 私の任務は警備小隊本部の要員として、施設活動の安全確保および宿営地を警備することです。私とっては初めての国際平和協力活動への参加であり、しかも生活環境や気候がまったく違う北海道からこの地に来て、初体験のことばかりで毎日毎日が大変ですが、その一方で様々な面で貴重な経験をしています。
 7月から9月は雨季真っ只中、突然の大雨や雷、竜巻が発生し、止んだと思ったら気温が40度以上にもなり寒暖の差が激しく、このような急激な気象の変化に戸惑う毎日です。
 こういった中、施設活動をしているわけですが、現地の人たちは快く歓迎してくれ、笑顔で手を振って「サンキュウ、ジャパン!」、中には日本語で「ありがとう」と言ってくれる人もいます。
 またジュバの子供たちと接する中で、私の心境にも変化が生まれました。私には3人の子供がおり、派遣された当初は見送ってくれた家族に「早く会いたい」と思う日々が続きました。そんな中、ボランティア活動で市内の孤児院に行ったときに私の子供と同年代の子供たちと戯れ、笑顔やしぐさを見たりすると疲れや寂しさなどは一気に吹き飛び、私の心の中は「この国の子供たちのためにも、できる限りのことをやってあげたい」という気持ちでいっぱいになりました。
 これから先も派遣活動は続きますが南スーダン共和国の発展、そして子供たちの未来のためにも毎日の活動を実りあるものにし、日本で私たち派遣隊員を支援してくれている家族、準備訓練当初から支援をいただいた駐屯地の隊員および各自衛隊協力諸団体の方々のためにも、与えられた任務にまい進していく所存であります。

日本の設備に他国が感心
北部方面衛生隊(真駒内)
1陸尉 小濱 元敬

 衛生班の薬剤官として南スーダン共和国の首都ジュバに派遣されて約4ヵ月が経過しました。ジュバ市内の道路整備といった施設活動と並行して、宿営地も日を追うごとに整備され、現在では快適な生活環境の下で勤務しております。
 医療面については、1次要員から2次要員へと指揮転移した当初は天幕2張で運営していた医務室も、7月中旬よりMシステム(移動式の医療システム)へと移転し、派遣隊員に対してより高度な医療を提供できる態勢が整いました。
 Mシステムとは昨年、採用された陸上自衛隊の装備品であり、多数のコンテナ・天幕等から構成され、すべてを展開した場合、国連医療レベル3(総合病院相当)の医療を提供できる能力があります。
 今回の派遣では、その一部を本邦より輸送して、宿営地に開設し、国連から指定されたレベル1(診療所相当)の医務室として衛生班8名の隊員で運用しております。
 Mシステムの運用を開始して以来、国内外を問わず多数の方々が研修に来られましたが、本邦と遜色のない各種医療機器などをご覧になり、皆さん感心されます。「南スーダンにいる事を忘れてしまう、ここで診察をしたい」と発言された他国軍医官のコメントは印象的でした。
 一方、UNMISSに参加している他国軍の医療施設を訪問した際に感じたことは、衛生科隊員が患者のために様々な努力をしているということです。日本と比較すると設備および衛生資材は限られたものですが、それを補う現地における経験と知識の蓄積があります。我々の医務室に対しても衛生資材の保管方法などについてアドバイスをいただきました。自国の医療施設を説明する隊員の各々の目は常に自信に満ち溢れていました。
 日本がPKOに参加し今年で20年を迎えますが、南スーダンのような厳しい環境下での医療に関しては、今後も経験および知識の蓄積が必要です。今後の国際貢献のためにもしっかりと任務を遂行し、派遣間で得た経験を土産に日本に帰りたいと思います。

成長した姿を見せたい
第10後方支援連隊(春日井)
3陸曹 高比来篤

 私は本部管理中隊の整備小隊で勤務しています。整備小隊は、小隊本部、車両・施設・通信整備班に分かれており、私は通信整備班に所属しています。
 海外派遣は入隊当初から希望していましたが、実際に参加できるとは思っていなかったため、要員に指定されたと聞いたときはとても驚きました。また「本当に自分で大丈夫なのだろうか」という不安もありました。
 派遣されてから2ヵ月が経過しハイチの環境や仕事にも慣れ、また活動が軌道に乗るにつれて不安も少しずつなくなっていきました。活動できる期間はあと2ヵ月ほどですが、整備小隊一丸となって宿営地の維持・管理・整備などを引き続き実施していきます。
 私はこのハイチ派遣を通じて色々なことを学びました。ひとつひとつの任務を完遂するためにこれまでやってきたことを自信とし、一回りも二回りも成長した姿を原隊の仲間や家族に見せられるよう頑張っていきます。


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