FTC訓練を目前に控えた10月6日、任務完遂のため体力と精神力向上を目的に、同期の隊員(足立3陸曹)と二人で六甲山縦走を実施しました。神戸の須磨から宝塚まで繋がる縦走路は全長56キロとハードなコースです。
当日、朝から快調に前進していましたが、六甲山の山頂に到着したのは予定より1時間遅れの17時でした。天候が悪化してきたこともあり経路を変更し、最短距離で下山することとしました。
下山を開始して間もなく真っ暗な登山道で、しゃがみ込む二人組の登山者を発見しました。声をかけると、一人が過呼吸で動けず、我々より前に通りがかった登山者が救急隊の要請に下山中とのことでした。しかし、救急車が進入可能な道路まで20分の距離があり、周囲の状況や傷病者の状態を考慮して背負い搬送で下山することにしました。
傷病者を発見してから1時間後、夜間の山道ということもあり若干のロスがあったものの傷病者は救急隊に無事、収容されました。救急救命士の資格を持つ同期の隊員が傷病者に適切な処置を行っていたため、スムーズに引き継ぎを行うことができました。
後日、警察の方と話をする機会を得て、近年このような事案が増加していることを知りました。最悪の場合は遭難者の捜索もあり得るが、今回はそれを未然に防ぐことができたということ、また救助された方も無事であることを伺い、我々のとった行動が山岳救助の一助となったということを実感しました。自分自身、最善の処置ができたのか少し反省すべき点も残りますが、人の命が救われたことを心より嬉しく思います。 |