砕氷艦「しらせ」(艦長・松田弘毅1海佐)の第54次南極地域観測協力の出国行事(執行者=横須賀地方総監・武居智久海将)が11月11日、東京港晴海埠頭で行われた。約1100人の家族、関係者が乗組員170名の海自隊員たちを見送った。総行動日数151日、総航程は約2万マイル。来年4月10日に帰国予定。
午前10時10分、「しらせ」に河野克俊海上幕僚長が乗艦。飛行甲板で乗組員から栄誉礼を受け、続いて士官室で松田艦長から岩崎茂統合幕僚長(代理で副長)への出港報告に武居総監と陪席。再び飛行甲板で統幕長訓示(副長代読)のあと、壮行の辞を述べた。
河野海幕長は「前回の行動においては昭和基地沖へ接岸できないという厳しい氷状での活動となった。孤立無援の条件下で無事に任務を遂行するためには、周到な準備、的確な情勢判断および緩急自在かつ柔軟な対応が必要であり、艦と航空機の能力を十分に発揮することに努めるとともに、困難な局面に際しても、最後まで忍耐強く最善を尽くしてもらいたい」と述べた。
その後、船上で隊員たちは家族と最後のひととき。あちらこちらで子供を抱き上げるなどして家族と記念撮影する姿が見られた。
海自東京音楽隊の演奏の中、「しらせ」は松田艦長の粋な計らいで午前11時11分出港。大勢の人々に見守られながら、ゆっくりと岸壁を離れていった。
「しらせ」の南極圏行動日数は99日。"往路"は11月25日にオーストラリアのフリーマントルに到着後、第54次南極地域観測隊等73名、物資約1082トン(観測器材170、設営資材215、燃料633、食糧64トン)を乗せ、12月中旬に氷海へ進入。来年1月上旬に南極の昭和基地沖に到着の予定。
"復路"は2月中旬に第53次越冬隊員等77名を乗せ南極を出発し3月上旬に氷海を離脱。同18日にフリーマントルに寄港して南極地域観測隊を降ろした後、東京へ戻る。
「第54次南極地域観測隊(渡邉研太郎隊長以下55名)の観測計画基本方針」
(1)第1優先を昭和基地越冬成立(越冬基本観測に必要な物資の輸送、越冬隊員の交代)(2)第2優先を大型大気レーダー整備(3)その他重点研究観測(中・超高層大気観測、雪氷観測および海洋観測)(4)夏期基本観測、一般・萌芽研究観測、公開利用研究(越冬観測のための準備作業、沿岸野外調査、海洋観測および天文観測)、設営作業 |