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自衛隊ニュース   2012年7月1日号
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晴海で日米合同親善寄港
「いせ」「ブルーリッジ」が並んで停泊
指揮官会談、共同会見等で両国の強固な絆を確認
両艦の一般公開は大盛況

 6月16〜18日、海上自衛隊は米海軍第7艦隊所属の指揮統制艦「ブルーリッジ」の東京港晴海ふ頭入港に伴い護衛艦「いせ」を入港させ、自衛艦隊司令官と第7艦隊司令官の共催で日米合同親善寄港を実施した。
 16日午後には「いせ」艦内で杉本海幕長と米太平洋艦隊司令官セシル・D・ヘイニー海軍大将をはじめとする両国の作戦部隊の指揮官の間での会談及び、杉本海幕長とヘイニー司令官による日米共同記者会見が行われた。
 会見では杉本海幕長が会談の内容に触れ、「さる4月の日米首脳会談で確認された共同訓練及び共同の警戒監視活動等の分野での協力をさらに引き続き深化させ、我が国防衛のための活動は元より地域及びグローバルなレベルでのより安定した安全保障環境の構築、さらには自由で開かれた海洋秩序の維持のための活動を推進していこうということで共通の認識を持ちました」と述べ、日米同盟をアジア太平洋地域の安定のための公共財産と捉え、「米海軍との相互運用性のさらなる向上を図り、動的防衛力の具現に寄与する」と力強く語った。
 翌17日には「いせ」と「ブルーリッジ」を一般公開。昨日までの雨も上がり、米海軍の指揮統制艦、海自の最新護衛艦という作戦部隊の旗艦が同時に見られる滅多にない機会とあって、約2500人の見学者が足を運んだ。18日午前には晴海ふ頭を「いせ」が出港している。


嵐の中で信頼深まる
初の日印共同訓練
海自

 6月9日、相模湾・三浦半島南西沖20キロ付近で海上自衛隊と訪日中のインド海軍艦艇との間で初の日印共同訓練が行われた。親善訓練の枠組みを越えた訓練を2国間で実施するのは米・豪に続き3ヵ国目。訓練には海自から護衛艦「おおなみ」、護衛艦「はたかぜ」、救難飛行艇US—2、インド海軍からは駆逐艦「ラナ」、補給艦「シャクティ」、フリゲート艦「シヴァリク」、コルベット艦「カルムク」が参加した。
 9日の相模湾は低気圧が接近し訓練中は終始雨風混じりの曇天続き。海上には濃い霧が立ち込め、視程不良のため、全ての訓練を予定通り行えるかどうかは出港時点では予想の域を出ず、最終判断は天候の回復次第となった。各訓練の時程が近づくと、海自とインド海軍との間で頻繁にやり取りが繰り返され、意見を集約し訓練の内容を決断した。
 上甲板では、参加6艦とUS—2の通信の音声が聞こえた。US—2を使用した捜索救難訓練が近づくと緊迫の度合いを増しているのが音声の様子から伝わってくる。「ギリギリの判断」(訓練統裁官・糟井裕之海将補)の末、海中転落した遭難者を想定したダミー人形の放出、遭難者を救助するための搭載艇の降下、US—2の着水は見送られた(想定着水は実施)。
 訓練は、捜索救難訓練をメインとして、そのほかに、6艦が縦列を形作り、距離約980mを保ち一斉に舵を切り斜めの列を形成する「戦術運動訓練」、菱形や扇形を形作り最も近づくと艦の距離が約360mになる「フォトエクササイズ」が行われた。共同訓練は、親善訓練より一歩踏み込んだ訓練内容で、相互の戦術的な技量の向上を図る目的で行われる。高度な日米共同訓練と比較すると今回の日印共同訓練はベーシックなもので気象条件に恵まれなかったが、よりシリアスなコミュニケーションを重ねる効果を生んだ。5日のインド海軍の入港後、連日、幹部が密に話し合い訓練プランを練り上げた過程をも含め、海自とインド海軍の実戦部隊の間の信頼関係醸成に大きく寄与した今回の共同訓練だった。
 訓練終了後のインタビューで所感を問われた糟井海将補は、「インド海軍は充分一緒にやるに足る、信頼できる海軍」と開口一番答えている。


ハイチにおける5ヵ月の任務完遂
派遣海賊対処行動航空隊9次要員の帰国行事
家族らが笑顔の出迎え
厚木

 6月13日、ソマリア沖・アデン湾で警戒監視の任に着いていた派遣海賊対処行動航空隊第9次要員(司令・向井強1海佐)のうち、向井司令を含む海自・陸自隊員30名がP—3C2機に分乗して厚木航空基地に到着、帰国行事に参加した。9次要員は同6日に民航機で帰国した70名を含め、全173名が無事帰国した。
 帰国行事には、式典の訓示の中で「海賊行為が未然に防止され、船舶の安全航行が確保されています。諸君の成し遂げた任務を大いに誇りに思って下さい」と、派遣隊員の活躍を賞した下条みつ政務官をはじめ、派遣海賊対処部隊指揮官である自衛艦隊司令官・河野克俊海将など防衛省・自衛隊の幹部、橋秀徳衆院議員、地元の首長や協力会、隊員家族などが参加し、万雷の拍手と大歓声で派遣隊員を出迎えた。
 帰国を待ちわびていた家族は式典終了後、隊員と積もる話に花を咲かせ尽きる事がない。5ヵ月ぶりに感じる家族の温もり。「パパから離れたくない!」と、制服に顔をうずめ動かない男の子や、娘の頬に何度も何度もキスをする隊員の姿が印象的だった。
 式典では向井司令の帰国挨拶、河野自艦隊司令官による訓示及び派遣任務を賞した賞詞の授与が行われた。派遣海賊対処行動航空隊の警戒監視飛行は国際的に評価が非常に高く、現地では「ジブチ市民も諸外国も日本にとても好意的」(向井司令)という。1次隊から積み上げてきた実績と信頼は9次隊を経て10次隊に引き継がれている。「出国前は不安もあったが、心配はいりません」。後に続きジブチに派遣される隊員たちへ、向井司令の言葉は力強かった。


27年間で1万飛行時間
2人の1海曹が達成
第5航空隊

 5月24日、第5航空隊(司令・市田章1海佐=那覇)第52飛行隊所属の大城靖1海曹(機上対潜音響員)及び山元茂一1海曹(機上対潜音響員)は約27年搭乗員として飛行し、この日無事1万飛行時間を達成した。
 記念すべき2人の搭乗するP—3Cは、東シナ海に沈みゆく夕日を浴びながら着陸した。当該機は司令以下多くの隊員の出迎えはもとより、これまで支えてきた両夫人などが出迎える中、駐機スポットに進入した。
 この出迎えに対し大城1海曹は「私の生まれ育った沖縄の地で1万飛行時間を達成でき、これまで支えてくれた上司以下同僚、家族に感謝します。今日は私の人生において最良の日です」と述べ、また、山元1海曹は「1万飛行時間を達成することができ、これまでご指導頂いた隊員の皆様、陰ながら支えてくれた家族に感謝しますとともに、これからも自己研鑽に精進します」と新たな決意を述べていた。


学生、若年隊員に坂の上の雲の講話
舞鶴教育隊

 5月22日、舞鶴教育隊(司令・川上哲一1海佐)で第5期一般海曹候補生課程学生97名、第3期自衛官候補生課程学生78名及び舞鶴在籍の若年隊員97名に対し、歴史講話が実施された。講師は防衛大学校教授などを歴任した海上自衛隊OBの平間洋一氏で、司馬遼太郎の『「坂の上の雲」に学ぶ』と題し講話が行われた。平間氏は日露戦争当時の不利な条件下での日本の戦略、秋山兄弟の功績など、先人の経験から、困難な時にこそ人間は飛躍することを学生に諭すとともに、学生期間中の教育が糧となり一人前の海上自衛官となることを、分かりやすく講談した。テレビドラマにおいて俳優に指導したエピソードも披露され、学生たちは終始興味を持って聴講していた。


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