防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2012年4月15日号
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370日超の除染活動を終了、撤収
第6特殊武器防護隊

 第6特殊武器防護隊(隊長・小原淳志2陸佐=神町)は、昨年12月27日から実施していた省庁間協力事業「福島県における除染所運営支援」活動を3月19日、引継ぎ先である「東電環境エンジニアリング」へ任務を移管し、活動を終了した。
 この事業は、昨年12月26日で自衛隊による災害派遣が終了し、自衛隊が撤収した福島県内において、民間業者による人員等の除染体勢が確立できるまでの間、各省庁間協力の下、第6特殊武器防護隊を中心に、師団各隷下部隊が協力体制を取り、除染所運営等の活動を支援していたものである。昨年3月11日から数えると隊の福島県内での活動期間は370日を超えている。12月下旬から撤収までの間、除染所要は0、しかしながら、南相馬市馬事公苑においては、19日までの毎日、公苑内に赴き、警戒区域一時立入間の安全安心に寄与した。
 3月19日、今後の除染所運営を担う「東電環境エンジニアリング」、各省庁との共同で馬事公苑第6師団除染所と東電除染所を換装、いわき保健センター除染所を撤収、引継ぎ等を整斉と行ったのち「除染所運営の手引き」を渡し、無事、神町駐屯地およびそれぞれの駐屯地へ帰隊した。
 帰隊後、小原隊長は特防隊員に対し、「今回、無事引継ぎを終えて自衛隊の原発事故における活動がすべて終了した。しかし、これで事故が収束したわけではない。福島第1原発を隊区に持つ第6特殊武器防護隊は、今後続く廃炉作業がすべて終わるまで、向き合い、あらゆる事態に備えることは我々の「定め」である」と話し、隊の今後の指針を示した。福島第1原発を隊区にもつ第6特殊武器防護隊は、「郷土福島の早期復興、福島第1原発の早期収束を願いつつ、あらゆる事態に備え、今後も体勢を確保する」としている。


創隊50周年を祝い各記念行事実施
第10戦車大隊

 第10戦車大隊(大隊長・長野伸二2陸佐=今津)は3月10日、駐屯地体育館及び高島市内ホテルにおいて、高島市長をはじめとする各首長、各協力団体、大隊OB、隊員家族など多数の来賓を迎え、創隊50周年記念行事を実施した。体育館では、中部方面音楽隊による音楽演奏、十戦太鼓による和太鼓演奏で参加者を魅了、続いて行われた防衛講話では、軍事アナリスト小川和久氏を講師として迎え、「激動する国際情勢と日本の安全保障」についての講話を拝聴し、自衛官としての防衛機能を大きく向上させた。その後、市内ホテルで行われた祝賀会では、長野大隊長が「今後とも全てに備え、足元を固め、新たな歴史を刻みつつ国民に信頼される強靭な戦車大隊を目指し、鋭意精進致す覚悟です」と決意を述べた。本記念行事を通じて、参加者全員が絆と団結を強固にし、次の歴史へ向けての決意を新たにした。


地方コンプライアンス講習会
監本
近畿中部防衛局と共催

 3月8日、近畿中部防衛局(田渕眞二局長)大阪合同庁舎第4号館で、防衛監察本部(梶木壽防衛監察監)との共催による「第11回地方コンプライアンス講習会」が開催され、「コンプライアンスの浸透による法令等遵守の組織風土確立」をテーマに、講師として招かれた青山学院大学法務研究科(法科大学院)教授の浜辺陽一郎弁護士が、会場に集まった近畿中部防衛局の幹部職員をはじめ、海上自衛隊阪神基地隊の職員ら約100名に対し、講演を行った。
 浜辺陽一郎弁護士からは、「コンプライアンス推進のキーポイント」と題する講演において、@時代はもう変わったのだA自分をも守るための最後の砦がコンプライアンスBコンプライアンスに聖域なしC本当の意味での「組織防衛」とは何かD先送りしたくても先送りはできない〈不祥事が確実に露見する時代に〉E「高度情報化社会」の怖さを知れF悪事はエスカレートしていく麻薬のようなものである〈途中で引き返すことはできないから、初期対応が大切〉の7つのポイントを挙げてそれぞれ解説。この中で浜辺陽一郎弁護士はAの「自分を守るための最後の砦がコンプライアンス」として、「自分のキャリアを棒にふらない」ためにも「確実に不祥事は露見する」ことを強く認識することの重要性や、Cの「本当の意味での『組織防衛』とは何か」については、目先の利益ではなく、長期的視野に立って信用を追求する必要性を挙げ、「保身目的の組織防衛は組織のためにもならない」と指摘し、「本来は『組織』が目的ではなく、『使命』が目的であり、その目的と理念の本質を理解させることが重要」と強調した。
 防衛監察本部は、今後も部外の有識者等による講習会を各機関と共催していくとしている。


外洋練習航海先で

 第45期一般幹部候補生(部内課程) を卒業した幹部候補生108名は、外洋練習航海部隊(はまぎり、さわゆき、あさゆき)にそれぞれ乗艦し、2月28日にインドネシアのジャカルタ港に入港、翌29日にカリバタ国家英雄墓地を訪れ、献花式に参列した。
 この墓地にはインドネシア独立のために戦った将兵が英雄として埋葬されており、英霊に対し哀悼の意を示すとともに、数多くの墓標を目の当たりにし、日本同様インドネシアにおいても多くの犠牲のもとに国家の繁栄がもたらされていることを実感した。カリバタ国家英雄墓地には終戦後も祖国日本へ帰ることなく残留し、対オランダ独立戦争をインドネシア軍とともに戦った元日本兵も埋葬されている。外国人であろうともインドネシアの英雄としてこの特別の地に埋葬する国家の寛容さに感銘を受けるとともに、祖国から遠く離れた墓標に刻まれた日本人の名前を見た時、今日の日本とインドネシアとの関係の根底には、これらの人々の活躍があることを感じた。献花に参列した実習員は、日本人将兵の堅強な意志を糧とし、残りの航海も妥協することなく全力で乗り切り、幹部海上自衛官としての礎をこの外洋練習で築いていく決意を新たにした。

第45期一般幹部候補生課程(部内課程)
はまぎり実習生 海曹長 煖エ直樹

海自と長距離移動の協同訓練
27普連
 第27普通科連隊(眞部和徳1陸佐=釧路)は、3月16日から3月19日まで実施された「長距離機動に係る海上自衛隊との協同訓練」に参加し、有事及び災害派遣等の運用における協同連携要領を演練した。これは、11月に予定されている南方転地訓練を念頭に置いたものである。
 訓練は、海上自衛隊第1輸送隊(輸送艦おおすみ、第1エアクッション艇隊)と協同で行うビーチング訓練、海上機動訓練及び連隊が独自で行う長距離機動訓練に分けて行われた。釧路港西港区で行われたビーチング訓練では、連隊保有の各種車両のLCAC(エアクッション揚陸艇)への搭載、海上機動、上陸、卸下、再搭載、帰艦について一連の行動を通じて各種検証を行った。海上機動訓練では、輸送艦により連隊および第5後方支援隊のタイプの異なる車両16両と人員49名が釧路港から函館港まで海上機動した後、陸上を長距離移動し、釧路へ帰隊した。
 ビーチング訓練に参加した隊員は「LCACへの搭載・卸下・海岸への上陸など普段はできない訓練ができた」と語り、LCACの乗員も「お互いをよく知ることで連携がスムーズにいく。陸上自衛隊とは機会があるかぎり一緒に訓練したい」と語り、本訓練での成果を感じていた。
 連隊長は訓練視察に伴い、第1輸送隊司令及び「おおすみ」艦長と懇談し今後のさらなる連携強化を申し合わせた。

UH―60Jによる同時2件急患輸送
第22航空群

 第22航空群(群司令・渡邊剛次郎海将補=大村)隷下の第72航空隊(司令・奥田幹雄1海佐)は3月2日、長崎県知事からの要請に基づくUH―60Jによる2件の急患輸送を同時に実施した。天候が思わしくない中、間隙を縫い実施した。1件目は72号機(機長・百崎邦彦2海佐)で、壱岐空港から切迫早産の恐れがある女性を輸送するため11時01分に、2件目は76号機(機長・内村弘久3海佐)で、福江空港から、くも膜下出血の男性を輸送するため11時04分に大村を離陸。これまでも1日2件の急患輸送は数多く実施してきたが同時2件の急患輸送は珍しく、また、2機の帰投時刻もほぼ同時となり救急車2台がエプロンで待ち構える中、患者移送をいつものとおり慎重かつ速やかに実施し無事任務を完了した。
 72空は平成20年の部隊改編以来、369件の急患輸送を実施し、離島の人々と医療を結ぶ掛け橋として頼られる存在になっている。


P―3C5020のラストフライト実施
第3航空隊

 3月1日、第4航空群所属のP―3C5020号機は、第3航空隊の隊員に惜しまれながら盛大に見送られ、厚木から下総基地に向けてラストフライトを実施した。5020号機は、昭和60年に第6航空隊に配備以来およそ四半世紀の間の勤めを終え、このフライトをもって同日に耐用命数を迎えた。下総基地では、第3術科学校の職員に温かく迎えられた。約20分の短いラストフライトだったが、飛行機、機長(第32飛行隊・大熊一彰2海尉)以下空輸を担当したクルーは、長年の労をねぎらい感謝の言葉をかけつつ御神酒を捧げた。
 P―3C5020号機は同2日に除籍。今後は、第3術科学校で固定翼機としては初めての実機教材として教育の現場において第2の人生を歩むこととなる。


話題の新刊
2013年、中国・北朝鮮・ロシアが攻めてくる
日本国防の崩壊

福山隆・宮本一路 著

 元陸将の福山隆氏、元陸将補の宮本一路両氏による共著である。福山氏は韓国の、宮本氏はイランの駐在武官経験があり、「我々がこれまで身につけてきたミリタリー・インテリジェンスの視点からの情報分析を一般読者の方に提供することが、今後の日本の安全保障を考える上でいささかでもお役に立つのではないか」(まえがきより)という動機のもとに執筆された。
 本書では、表題通り、日本の周辺国である中国・北朝鮮・ロシア3ヶ国の脅威について言及しているほか、国際テロリストや、大地震をはじめとする自然災害、「イランの脅威」アメリカがイランと戦争状態に陥った場合に、日本のエネルギーの安定供給の生命線であるホルムズ海峡のイランによる封鎖を懸念したもの)とを併せて、日本を脅かす6つの脅威と規定している。
 アメリカの経済低迷・軍事費削減、中国の経済発展・軍事費増大などを受け多極化・不安定化する世界の情勢について、多彩な情報と分析結果を提示している第1章と第2章に引き続き、「日本に壊滅的な影響を及ぼす4つのシナリオ」と題し、「中国による南西諸島侵攻」、「北朝鮮の暴発」、「ロシアによる北海道急襲」、「日本最後の日―東海・東南海・南海地震」をシミュレーションした第3章に突入する。どのような過程でそれぞれのシナリオが進んでいくか、細かいタイムラインで区切り詳述している。人工衛星と称する北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射など他国の脅威が現実のものとして目の前に迫っている今、必読の一冊といえる。
(幻冬舎新書、税抜き価格780円)


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