第14旅団(旅団長・永井昌弘陸将補=司令部・善通寺)は6月9日から11日までの間、四国4県において人員約1000名、車両約150両、航空機6機を使用し、平成24年度「旅団東南海・南海地震対処訓練」を行った。「旅団地震対処計画の実効性の検証、部隊の災害対処能力の向上および自治体など関係機関との連携強化」が狙い。
9日は機能別訓練として、西部方面隊所属ヘリと協同し、通信車両の機外搭載訓練と、海自輸送艦「くにさき」LCACへの車両搭載、揚陸訓練を行った。
10日は、高知県主催の総合防災訓練に第50普通科連隊、第14後方支援隊、第14飛行隊、海自、陸自西部方面航空隊、中部方面衛生隊と共同で訓練。
海路からの部隊派遣や関係機関と連携した救出・救助訓練、旅団衛生隊と方面衛生隊によるD-MATと連携した負傷者の救護・搬送などを行った。
初動を重視
11日は、旅団計画の訓練として「東南海・南海沖(南海トラフ)で大規模地震が発生した」との想定で、各駐屯地(善通寺、松山、高知、徳島、日本原駐屯地、北徳島分屯地)において非常呼集から訓練を開始。「旅団地震対処計画」に基づき、地上・航空偵察、部隊展開、通信組織の構成などの訓練を行った。開始当初、各駐屯地とも非常用電源を1時間以内しか使用できない状況とし、暗闇の中で懐中電灯などを使用しながら、登庁人員の把握や偵察部隊、初動派遣部隊の派遣準備を行った。
〈善通寺駐屯地〉
徳島県と高知県へ第15普通科連隊と第14偵察隊のオートバイや車両による地上移動の偵察部隊を派遣するとともに、第14飛行隊のUH-1ヘリ2機でオートバイ4台を徳島県と高知県の公園へ空輸。
〈松山駐屯地〉
高知県宿毛市への前進経路の確認と初動派遣部隊を2つの公園へ派遣。
〈高知駐屯地〉
第50普通科連隊が県庁をはじめ、各災害対策支部へ連絡要員を派遣するとともに、被害状況の把握のための偵察部隊を派遣。距離的に離れた土佐清水地域へはUH-1による偵察部隊の派遣を実施した。その後、総合運動公園、市営球場、運動公園などに部隊を派遣し、現地指揮所の開設などを行った。
〈旅団司令部〉
高知県庁へ要員等を派遣して正庁ホールに旅団前方統制調整所を開設。この調整所と善通寺の旅団司令部との間の通信を無線・電話・システム回線で確保する訓練を行うなど、旅団として四国4県で地震発生から約12時間の初動を重視した行動を訓練した。
この旅団計画訓練の間、高知県では初めて学校施設(高知大学と高知商業高校)を使用したUH-1による離発着訓練や、CH-47を使用しての部隊派遣訓練を行い、また県庁の前方統制調整所では尾崎正直高知県知事も研修し、災害発生時における自衛隊との連携要領を確認した。 |