私が定年退職した平成22年春は、この1年半前に発生したいわゆる「リーマンショック」による世界的な経済危機の波が我が国にも及び、雇用環境の悪化等大きな影響を受けていました。私の最終勤務地の空自千歳基地が所在する北海道地区もご多分に漏れず、私の再就職活動は困難を極め、3カ月の隠遁生活を強いられることとなりました。幸い札幌地域援護センターのお力添えにより、いまの会社をご紹介頂き、職に就くことができました。
私は、在職中多くの期間を新機種の部隊建設に操縦幹部、運用幕僚として携わり、その間数回の米国での留学、訓練の経験をさせて頂き、職務経歴書の作成にあたってこのことを特に強調しました。早々にセットして頂いた社長面接では書類審査でこの経歴を評価したとのお話をお聞きし、また面談でも共通の価値観を有することが分かり双方とも良い印象を持てたことが採用に繋がったと思います。
弊社は、発電所等のプラントの構成品であるバルブ・ポンプのメンテナンスを専門とする会社で、北海道では随一のシェアを誇っています。近年は道外にもその営業範囲を広げ、更には海外への進出を目指していたところ、その人材としての私の採用だったようです。
私の現在の職務は、海外展開の企画、調整及び新規顧客の開拓です。仕事の内容は、空自の防衛部の仕事とさほど変わらず、2年経過した現在でも「自衛隊流」を通しております。
再就職活動その後の会社勤めにあたっては「業務管理講習」別名定年学校での薫陶が大いに役立っています。我が社のビジョンは「従業員の幸福の追求と社会貢献」を目指し、このために「顧客第一主義」を徹底する、ことです。定年学校での「自分の周りにいる全ての人は大事なお客さま」の教えは、自衛官にとっても平時においては十分通用します。在隊中自己の職務をキッチリと全うできていれば再就職においても何も心配することはありません。現役の皆さんには、大震災以来益々国民に尊敬され且つ期待されている折、職務に精励されんことを祈念いたします。 |