ハイチ派遣国際救援隊第5次要員(隊長・橋本功一1陸佐)は、ハイチ共和国での復興支援活動を開始して3ヶ月が経過し、MINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)司令部からの指図に基づき、様々な復興支援活動を行っている。
最近では、ポルトープランス市内において、旧精神病棟解体作業、H.E.L.P病院解体作業、警察本部解体作業等の施設作業を行うとともに、ノトル・ダム・デ・ルルド孤児院においてCIMIC(民生協力)活動を実施した。
旧精神病棟解体作業 10月3日〜10月28日
DAP(刑務所管理事務所)がデルマ75地区に保有する土地にある、2010年1月の大地震で損壊したまま残された建物を解体し、新しい本部を建設するための整地作業を実施した。
小隊長(野田正剛3陸尉)は、「老若男女、多くの地域住民が現場で見守る中での作業でした。彼らはいつも気軽に挨拶をしてくる、親しみやすいハイチの人達であり、彼らが怪我をしないように、立入禁止の看板を設置したり、警備のネパール隊と現地・現物で綿密に調整を行いました。また、『安全・確実』を合言葉に声を掛け合って作業を実施しました」と活動間の感想を語っている。
作業終了後の引き渡し式では、小隊陸曹(新福竜二陸曹長)が、「作業場所が民家と隣接しているという特性から機械作業だけでなく、手作業を併用して解体しました。これが本任務において一番気を遣った点です」と挨拶し、その仕上がりを見たハイチ政府の担当者からは、感謝の言葉とともに固い握手があった。
H.E.L.P病院解体作業 10月5日〜27日
クワデブーケ地区にあるH.E.L.P病院において、大地震のため激しい被害を被ったまま残された建物の解体と整地作業を実施した。なお、作業後には新しい病院が建設される予定となっている。作業現場であるH.E.L.P病院は、宿営地から片道約1時間を要する場所にあるため、朝早くから移動し、作業を実施した。作業においては、病院長からの様々なリクエストに臨機応変に対応。隊員は、ハイチにおいては数少ない病院に関わる作業であるため、士気高く任務を完遂した。
引き渡し式では、小隊長(渕竜一2陸尉)は、「子供たちの笑顔、未来のために、これからも頑張ります」と挨拶し、病院側とお互いに記念品を交換するとともに、感謝の言葉と固い握手があった。また、子供たちからは、お礼に合唱のプレゼントというサプライズもあり、ハイチに吹き渡る爽やかな風と相俟って、隊員の心を和ませてくれた。隊員たちの多くは、ハイチの子供たちと日本にいる我が子の姿を重ね合わせ、優しい表情で聞き入っていた。
ノトル・ダム・デ・ルルド孤児院でのCIMIC(民生協力)活動 11月21日
クワデブーケ地区にあるノトル・ダム・デ・ルルド孤児院に対するCIMIC活動を実施し、同地区周辺の民生安定化に資する目的で実施された。今回のノトル・ダム・デ・ルルド孤児院には3〜12歳の約220名の生徒が在籍し、その中の90名は孤児である。校内にあるブランコや机等の備品は破損箇所があり、補修が必要であった。日本隊は本活動で、ブランコ、滑り台、教室入口の扉(1箇所)及びテーブル×5の補修作業を実施した。その中でも滑り台、テーブルについては破損がひどく、宿営地に持ち帰り、破損部分の溶接作業を4日間かけて行った。引き渡し当日、修理が完了したブランコや滑り台を見た子供達は嬉々とした表情で遊び始め、また、教室内では修理された机を使って授業が開始された。
併せて日本隊は、日本の伝統的な文化を紹介する機会を得て、習字、シャボン玉、折り紙、相撲等を紹介し、子供達との楽しい触れあいの一時を過ごした。
活動長(本部管理中隊長・川野清春1陸尉)は、「我々が修理したものを生徒達が喜んで使って笑顔を見せてくれることがなによりの喜びです。今後も日本隊に対する現地住民の方々のご理解・ご協力を得ることができるよう最善を尽くしたいです」と述べている。
これらの活動を通じ、現地からは、「各種任務を通じて、我々の日本人らしい、きめ細やかで、ハイチの人々の目線に立った丁寧な活動姿勢は、ハイチ国民の皆さんから良い評価を頂いていると実感しています。
各任務が終了した際隊員たちは皆、やりがいと充実感に満たされています。私たちが行っている任務は、ハイチ全体から見れば、些細なことかもしれませんが、こうして流した汗がハイチ復興のための礎となっている。そして、明日もまた頑張ろうと、次の任務に向けて力を貰っています。全員無事帰国する日まで、一所懸命、任務完遂に邁進して参ります」との所感が届いている。 |