安保環境の安定のためにアジア太平洋地域内の枠組を超えて連携—防衛省主催の国際会議、第17回「東京ディフェンス・フォーラム」が10月31日から11月2日の3日間にわたり、都内で開催された。防衛政策局・須永和男次長が議長を務め、アジア太平洋地域21ヵ国の国防省幹部(局長・将官レベル)に加え欧州連合、赤十字国際委員会の関係者が参加。「地域の安全保障—深まる地域の重要性と進化する安全保障枠組」と、今年が日本のPKO活動参加20周年にあたることを踏まえた「PKO活動—今後の課題と協力のあり方」の2つを議題として議論した。
会議の冒頭、森本敏防衛大臣はあいさつの中で「この地域は広範多岐にわたる課題を抱えている。『多国間協力によって直面する課題に、どのように対応していくか』が主要な議題」とし、PKO活動については「今後この地域の平和と安定にとって、どのような意義があるのか、求めるべき方法は何かを真摯に議論していただきたい」と述べた。
2つの議題のうち、まず「地域の安保」では領有権問題や自然災害など様々な課題に対する、平和と安定に向けた協力のあり方について議論。
拡大東南アジア諸国連合国防相会議(ADMMプラス)をはじめとした地域の安全保障の枠組が急速に発展しており、域内諸国の実践的な協力を強化していくことが必要とし、その中で▼ADMMプラスや東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)といった枠組間の取り組みの連携・調和が重要▼人道支援・災害救助活動で多国間協力を深化させていくためには情報・経験の共有、協力メカニズムの構築、訓練などによる能力強化が重要、などを確認した。
その上で、来年6月ブルネイで行われる「人道支援・災害救助」「防衛医学」分野でのADMMプラスとして初の多国間演習を「域内諸国間の実践的協力を高める観点から重要な進展」として高く評価した。
「海上安保」については海上マナーとしての「グッドシーマンシップ」の共有が重要、などを再確認。
もう一つの議題「PKO活動」では情報を共有するとともに、一層の充実に向けた方策や地域協力のあり方について議論。
各国の国防当局間の連携・協力は重要だが、とくに▼より複雑化・専門化する近年の活動を踏まえ、PKOのための訓練や専門家の派遣などで、国際機関やNGOなどとの協力が不可欠▼派遣側の論理のみでなく、受入国の視点を十分に取り込むことが必要、とした。 |