防衛省・自衛隊が主催する海自創設70周年を記念した国際観艦式が11月6日、米豪印など12カ国と海自の計39隻の艦艇等が集結して相模湾で行われた。式は50周年時の2002年に行って以来、20年ぶり2度目の実施。海自潜水艦等の訓練も展示され来賓、各国軍人らが見入った。
陸空機も
蒼海の力強くうねる波の上で、海自と各国海軍等との絆が深まった。
観閲官の岸田首相が乗る護衛艦「いずも」をはじめとする4隻の観閲部隊が単縦陣で航行。行き交うように受閲艦艇部隊、祝賀航行部隊が単縦陣で航行、航空部隊が観閲部隊と並行するように上空を飛んだ。
受閲艦艇部隊は、旗艦の護衛艦「あさひ」を先頭に第1〜第5群と航行。ステルス性を高めた平面の船体が特徴の護衛艦「くまの」、練習艦「しまかぜ」、補給艦「おうみ」、輸送艦「くにさき」、最新鋭潜水艦「たいげい」など12隻がその雄姿を見せた。
外国艦艇等で編成される祝賀航行部隊の第6〜第9群計19隻が続いた。各艦は乗員らが右舷に整列、登舷礼を行い、敬意を表した。第9群では海上保安庁から唯一参加した巡視船「いず」が存在感を示した。
受閲飛行部隊は指揮官機のP1哨戒機をはじめ、第1〜第9群まで陸自の輸送機V22「オスプレイ」や空自のF35A戦闘機を含む合わせて21機が単機、見事な隊形を保った2〜3機の編隊で上空を飛んだ。
祝賀第10〜12群では米海兵隊のF35B戦闘機など、米仏2カ国の6機が力強く飛び去った。
展示訓練では3隻の潜水艦が潜航・浮上、P1がミサイルを防ぐためのフレア射出、US2救難飛行艇が洋上離着水をそれぞれ行い、練度の高さを見せた。空自ブルーインパルス(第4航空団第11飛行隊=松島)6機は、機動飛行で上空に「サクラ」などを描き、式に花を添えた。
「一層の鍛錬を」首相訓示
「いずも」艦内で観閲等の終了後、浜田防衛大臣、小野田政務官、酒井海幕長、鈴木事務次官ら最高幹部らが整列する中、岸田首相が訓示を行った。
首相は、「数多くの国々から艦艇および航空機のご参加をいただき、心より歓迎いたします。『自由で開かれたインド太平洋』の実現のため、皆さまの国々をはじめ、諸外国との協力関係を一層深めてまいります」と謝意を示し、さらに「対立を求めず、対話による安定した国際秩序の構築を追求することが基本。しかし、それと同時に、ルールを守らず、他国の平和と安全を武力の行使や武力による威嚇によって踏みにじる者が現れる事態に備えなければなりません」と述べた。
また、「本年度末までに新たな国家安全保障戦略などを策定し、我が国自身の防衛力を5年以内に抜本的に強化します。国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速しています。そのなかでも、周りを海に囲まれた我が国にとって、海上防衛力は戦略環境を大きく左右するものです。艦艇の増勢、ミサイル対処能力の強化、隊員の処遇改善を含め、その強化は待ったなしです」と語った。
最後に「今回の国際観艦式を主催している海上自衛隊の皆さんに一言申し上げます。皆さんの努力の積み重ねが、この国の、そして地域および世界の平和と安定につながっています。厳しさを増す安全保障環境の中にあって、国民の命や暮らし、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、より一層鍛錬に励んでください」と伝えた。 |