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自衛隊ニュース   2010年11月1日号
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陸自HP
ユーチューブ動画配信アクセス数
厚労省抜き官公庁トップに
充実のコンテンツで人気高まる
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 陸上自衛隊の動画配信コーナーが、官公庁の動画配信の中で、厚生労働省を抜きアクセス数トップとなった(10月15日時点)。陸上自衛隊は昨年6月、動画配信サイト「ユーチューブ(YouTube)」に公式チャンネルを開設。部隊の活動やイベント紹介などのコンテンツをそろえ、アクセス数は累計35万件を超える人気ぶりだ。
目と耳で感じる自衛隊
 陸上自衛隊のホームページは、一般国民の理解を獲得するために開設され、部隊の活動状況やイベント情報を掲載している。昨年6月からは、自衛隊の姿をより分かりやすく伝えることができるとして動画配信コーナーをスタートした。陸上自衛隊のイメージCMや総合火力演習の告知から始まったコンテンツは現在約40種類。利用者からは「部隊の紹介動画を見て、こんな活動をしているのだと新しい発見ができた」「頑張っている姿が見られた」などの感想があったという。今後はPKOや災害派遣といった実際の活動に踏み込んだ内容にも力を入れていくなど、利用者の声を反映しながら動画コンテンツをさらに充実させる予定。
 また、特に注目したいのがイベント等のライブ配信だ。今年8月に行われた総合火力演習は、動画配信サイト「ユーストリーム(Ustream)」で初めてライブ配信され、アクセス数は約2万件に達した。ライブ配信は今年度の観閲式でも行われたほか、11月20日に開催される自衛隊音楽まつりでも予定されている。
多角化する情報発信
 陸自のユーチューブによる動画配信の構想は、開設の1年以上前から上がっていた。前陸幕広報室長の岸川公彦陸将補(現・第1施設団長)が動画配信コーナー立ち上げに強い想いを抱いていたが、当時はどこの官公庁でも行っておらず、各種調整が難航し、先延ばしになっていた。
 昨年6月、ようやく念願の動画配信コーナーを開設したホームページ担当者は、「官公庁の公式動画として配信しているので、それに見合った品質の動画を作ることに腐心した。変なものは出せないし、逆にマイナスイメージになってしまう」と開設当初の苦労を話す。しかし、開設から約1カ月で軌道に乗せ、昨年末からは部隊の紹介やCMの動画を充実させた。徐々に認知度が上がり、そこから陸自ホームページへのアクセスに繋がったり、自衛隊の活動についてもっと知りたいという人が増えるなど、これまで自衛隊に関心が薄かった人たちが動画コーナーを通して自衛隊への興味を持ち始めるケースも見られるという。担当者が、「(ホームページや動画配信など)それぞれが並列に走るのではなく、トータルで同じ方向を向かせて相乗効果を狙った。それがうまくいっている」というように、広報活動として大きな効果を上げている。現陸幕広報室長の小野塚貴之1陸佐は、「インターネットを中核においた、我々の広報活動の一部である、動画配信が評価を得ていることは大変喜ばしいこと。今後も、様々な媒体を活用して幅広く積極的な広報活動に努めたい」と話している。
 多角化する情報発信の手段をつなぎ合わせ、より効果的な広報活動を展開する陸上自衛隊。動画配信という始まったばかりの試みは、まだまだ多くの可能性を秘めていると言えそうだ。


自衛隊サポーターズ
「自衛隊を家庭の話題に」井上澄子さん
約100名の女性会員と共に
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 福岡県久留米市在住の井上澄子さんは久留米自衛隊協力会女性部会元会長である(現・協力会相談役)。久留米商工会議所の女性会参与も務めており、自衛隊協力会女性部会の会員確保に尽力してきた。戦中に旧満州で青春時代を過ごし、引揚時の大混乱を経験した井上さんは、祖国を守る自衛隊に熱い思いを抱いている。 

―自衛隊を応援するようになったきっかけは。
 井上さん 平成10年に協力会の女性部会設立に加わったことです。年会費は1万円で会員の数は100名前後です(創立時35名で発足、平成20年に100名に)。私は協力会による駐屯地・基地見学の際に自衛官の皆さんが国防のため訓練に真摯に取り組む姿を見てとても感動しました。平成12年まで地元で宝石店を経営していましたので、宝石店時代の顧客の方や、その繋がりから、地元の女性にお声掛けをしています。
 久留米は旧軍時代からの歴史が息づく街です。人口30万人の中核都市に3つの自衛隊があります(陸自幹部候補生学校、陸自久留米駐屯地、空自高良台分屯基地)。自衛隊を身近に感じる協力的な市民が大勢います。駐屯地・基地などの見学をきっかけに自衛隊を応援する仲間が増えるととても嬉しく思います。宝石店の仕事を退いたあと、やり甲斐のある活動に取り組むことが出来て幸せです。
 ―久留米自衛隊協力会の活動内容は。
 井上 各地の駐屯地・基地の見学のほか、春の親睦会・夏祭り・花火大会を催しています。女性部会では、幹候校校長や久留米駐屯地司令、西部航空方面隊司令官などの講演会を女性のみを対象に実施しています。そのほか、ヘリコプター試乗会や幹候校の生徒をお招きして会員が久留米の街をご案内する「ほとめきファミリー」があります(ほとめき=久留米弁でおもてなし)。これは、平成19年の夏に当時の番匠幸一郎幹候校校長が企画されました。「学校生活の忘れられない思い出になった」という声が多く、卒業後には全国の卒業生から手紙が届きます。女性部会の規模が大きく、活動が活発な点が、久留米自衛隊協力会の特色です。
 ―自衛隊にメッセージを。
 井上 私は昭和15年に満鉄社員だった兄を頼り家族全員で満州に渡りました。しかし、終戦で状況が一変、中国各地を転々として不安な日々を過ごしました。終戦直後にソ連の装甲車が轟音を響かせて街に入って来た光景は一生忘れられません。私が国防に携わる方を敬う気持ちは、他国の軍隊に平和を蹂躙された記憶によるものです。遥か昔に見送った出征兵士と自衛官の姿が重なって見えるのです。女性部会の会員が家庭で気軽に自衛隊の話題を話し聞かせることで、子供達が自衛隊に興味を持ち、成長して自衛官に応募するようになればと願って止みません。〈シリーズ9〉


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