平成22年度遠洋練習航海部隊が10月28日、東京・晴海埠頭に帰国した。実習幹部約190名を含む総員約730名は、156日間にわたって約5万3000キロを航海し、11ヶ国、15寄港地を歴訪した。
午前8時過ぎ、練習艦「かしま」「やまぎり」、護衛艦「さわゆき」は晴海埠頭HK岸壁に接岸。雨天のため、帰国行事は旅客ターミナルで行われ、安住淳防衛副大臣、杉本正彦海幕長、高嶋博横須賀地方総監をはじめ、来賓や乗員家族らが出迎えた。10時半から開始した帰国行事では、練習艦隊司令官の徳丸伸一海将補が「156日間の世界一周の遠洋練習航海を終え、ただいま帰国いたしました」と帰国報告。これを受けた安住副大臣は、訓示で実習幹部に対し「(この遠洋練習航海で)様々な国々で多くの人々と出会い、視野を広げる絶好の機会を得たと思う。遠洋練習航海部隊の寄港そのものが各国に伝えたメッセージは、きわめて重要であった」と評価するとともに、「諸官は今後、海上自衛隊はもとより、防衛省・自衛隊の核心となる人材である。諸官に対する期待は大きく、このたびの経験を生かし、本日を新たな出発点として、より一層自分自身に磨きをかけていくことを期待する」と述べた。続いて杉本海幕長が訓示に立ち、「その若さをもって失敗を恐れず、真っ直ぐ正直に『行き脚のある』初級幹部として、何事にも積極的に挑戦し、精進を続けてもらいたい」と実習幹部を激励した。
各寄港地で交流も
遠洋練習航海は、昭和32年から毎年行われ、今年で54回目。初級幹部としての基礎的な知識・技能の習得、シーマンシップの育成などを目的とし、同時に訪問国との親善を深めることで国際的視野を養う。 今回の遠航部隊は、太平洋からパナマ運河を抜け、太平洋、地中海、インド洋を通る世界一周の航海を行った。寄港地では、日米安全保障条約締結50周年、メキシコとの交流400周年、ポルトガルでは修好150周年、トルコではエルトゥールル号の遭難120年など各地で節目の年を迎え、遠航部隊は様々な行事に参加して現地との交流が図られた。
寄港地(訪問順)
パールハーバー(アメリカ) サンフランシスコ(アメリカ) サンディエゴ(アメリカ) アカプルコ(メキシコ) チアパス(メキシコ) サントドミンゴ(ドミニカ共和国) ボルチモア(アメリカ) リスボン(ポルトガル) ナポリ(イタリア) アレキサンドリア(エジプト) メルシン(トルコ) ジブチ(ジブチ) マスカット(オマーン) ジャカルタ(インドネシア) 釜山(韓国) |