8月30日、和歌山県紀の川市粉河運動場及び粉河体育館で、平成21年度(第2回)紀の川市防災総合訓練が実施され、第37普通科連隊(連隊長・大庭秀昭1佐)第5中隊長・阿比留恵一3佐以下16名、車両5両が参加した。 訓練は、「和歌山県で非常に強い揺れを感じる地震が発生し、紀の川市で震度6弱を観測した。震源地は、和歌山県南方沖で震源の深さは約10km、地震の規模はマグニチュード8・6と推測される」という想定のもと、37普連をはじめ、消防、警察等の各防災機関と地域住民が参加、午前9時から11時半まで約20種類の訓練が行われた。 訓練内容は、「避難誘導(災害時要援護者)」「被害状況調査・応急対策」「災害時要援護者の避難所開設運営」「炊き出し」「被害情報収集伝達」「災害救助ボランティアセンター開設運営」「初期消火」「応急救護・救出」「水防工法」「一斉放水」など、多種多様だった。 37普連は、被害状況調査訓練で第3飛行隊と連携して、被災地の被害情報の収集を行った。また、炊き出し訓練では、炊事トレーラーで1000人分の豚汁の炊き出しを行い、装備品展示においては、高機動車、軽装甲機動車、小型トラック及び災害派遣パネルの展示を行った。 この日は、第45回衆議院議員総選挙の日でもあったが、地域住民も終始熱心に取り組み、防災関係機関、地域住民及び自衛隊の連携強化が図られ、更には防災意識も高揚し、大変有意義な訓練となった。
部隊における訓練中の災害や通勤途中に災害に遭遇し、疾病等が治癒した後もなお身体に障害が残り、職務遂行能力に支障をきたした場合、じ後の勤務や退職後に役立つ何らかの職業技能を持つことができればと考えられるのは当然のことではないでしょうか。このような境遇に陥られた隊員の方々(障害等級に該当する隊員)に対し、国家公務員災害補償法に基づき防衛大臣の承認を得て、円滑な部隊復帰及び社会復帰の促進に寄与することを目的として、身体的機能・労働能力回復のための更生指導を行うために昭和31年に設置された部内機関が職業能力開発センター(旧職能補導所)です。 自衛隊中央病院職業能力開発センターでは、公務(通勤)災害を受けられた方々に対し、平成22年度の入所希望調査を10月末まで行っています。今年度より新病院へ移転し、新しい建物となり、女性隊員の入所にも対応したバス・トイレ付の居室もできました。 入所可能人員は20名、期間は平成22年3月下旬〜23年3月上旬の1年間(6ヶ月コースも有り)、所属は自衛隊中央病院付となります。入所資格及び職業能力開発センターの業務につきましては、パンフレット及び陸自指揮システム「自衛隊中央病院ホームページの職業能力開発センター」をご覧ください。現在実施している科目は、プログラム開発科、情報システム科、木工科、建築設計科、機械設計科、一般事務科(6ヶ月コースも有り)です。 (※海上・航空自衛隊につきましては、部隊の相談窓口か又は直接自衛隊中央病院職業能力開発センター(電話8―61―6313)にお問い合わせ下さい) なお、陸海空自衛隊の部隊における相談窓口は、陸・駐屯地業務隊(賠償・補償担当)、海・基地業務隊(厚生担当)、空・基地業務担当部隊(厚生担当)です。
今村英二郎2陸佐(統幕運用部国際協力室)と高野浩明2陸佐(中央即応集団司令部)は8月28日から9月6日までの間、マリ共和国のバマコ平和維持学校に派遣され、アフリカ20ヵ国から参加した軍人20名、文民5名に対してPKO活動などを熱心に講義した。 講義の内容は、今村2佐が「軍民協力の可能性と限界」、高野2佐が「自衛隊の国際平和協力活動における経験と教訓(東ティモール及びイラク復興支援の事例を中心に)」をそれぞれテーマとして行い、自身の体験談などをスライドを使って分かり易く説明したり、直接、聴講生に声をかけ、一人ひとりの質問事項について時間的な制約がありながらも丁寧に答えていた。講義終了後、聴講生から次のような称賛の声があがった。▽コートジボアール研修生(文民)「自衛隊の教育は印象深く、大変参考になった。特に、今村2佐の教育は『理論』の観点から、高野2佐の教育は『事例』からそれぞれ軍民協力に関する考慮事項、重視事項について簡潔に説明され、理解が容易だった。時間的制約があって質疑応答の時間が少なかったのは残念」▽チャド陸軍大佐「日本自衛官による講義は、他の講義を補足しており、非常に良かった」▽アンゴラ陸軍大尉「日本の自衛隊は、これまでもアジアで経験を積んでいることから、今後、アフリカの文化や習慣も一層学んでいただき、アフリカでも活動していただきたい」▽AU委員会人道活動関係者「(今村2佐の講義に対して)ソマリアで軍と協力して人道支援活動に携わる予定となっているため、軍と民がどのように協力したらよいかを考えるのに、今回の講義は非常に参考になった」▽ブルキナファソ陸軍大佐「(高野2佐の講義に対して)講義はとても興味深い。現地での経験を基にした講義を受けたのは今回が初めてで、スライド写真を通じて日本の自衛隊が、現地で資金をかけて人道支援等すばらしい活動を行っている状況を見ることができた。もっと時間があれば、意見交換を行いたかった」▽西アフリカ地域で活動している文民「(高野2佐の講義に対して)軍と民がどのように協力したらよいか、日本の経験を説明していただいたことは、現地で軍とともに協力する必要のある自分にとって大変参考になった」 なお、今村2佐、高野2佐の両名は講義以外でも▽マリ大統領、外務事務次官、国防次官、マリ駐在米国大使、マリ駐在仏国臨時大使への表敬等▽学校関係者及び学生との交流を通じた自衛官講師派遣事業の広報活動▽同センターでの教育内容や教育研究に係る事項の研修▽アフリカ諸国の現地情勢、平和支援作戦(PSO)に係る情報の収集などの活動にあたった。