自衛隊生徒1次試験が1月10日、全国一斉に行われた。少子化などの状況に加え、今回の募集では受付期間が例年より1ヶ月短かったため受験者の獲得が厳しい県もあったが、全国の志願者数は3599人に上った。試験は午前に国語・社会・理科の3教科、午後に数学・英語の2教科の筆記試験と作文が行われ、会場内は受験者たちの熱気に包まれた。
群馬地本
群馬地本では前橋市の勢多会館で試験を実施し、25名が挑んだ。会場に集まった受験者は、それぞれに緊張した面持ちで自分の受験番号にある席に着いた。張り詰めた空気の中、試験官が試験要領の説明を始めると、一言も逃すまいと紅潮した顔が一斉に試験官に向けられた。試験が開始されると会場は一気にヒートアップ、試験問題に臨む受験生の「熱」が試験官にも伝わってきた。群馬地本では「これまで学校や家族らからの情報提供をもとに積極的に受験説明を実施してきた。それぞれの広報官たちの熱い思いを真剣に受け止め、国防や国際貢献・災害救助活動の中心にある自衛隊という組織を将来の職場として考え、受験した若者たち全員の熱い心にエールを送りたい。そして難関に挑んだ受験者の中から一人でも多くの合格者が誕生し、将来の自衛隊を担う優秀な隊員に育ってほしい」としている。
三重地本
三重地本が行った試験には受験生60名に上り、昨年より15名増加した。増加率は133%で、これは中方管内第2位、全国でも第5位だった。今回の受験生増加については、各広報官が三重県下の全中学校等を地道に訪問し、自衛隊生徒について説明したことが大きな要因となっている。また、三重地本では「今年度、協力諸団体及び関係自治体等に適齢者の情報提供及び県内で対象者の方々が多く集う場所における広報用看板やパンフレット等の設置協力等の募集業務に係わる支援依頼を積極的に推進したことにより県内の自衛隊に対する関心が高まり、このような結果が得られたと考えている。今後も本部長以下全員が募集目標の達成に向けて精進し、将来の国防を担う自衛官を募集していきたい」としている。
岩手地本
岩手地本は県内5会場で試験を実施した。試験日は悪天候が予想されたため、試験官らはそれぞれの会場へ前日移動し試験に万全の態勢をとった。幸いにして雪の影響等も少なく受験率は100%と、例年以上の意気込みが感じられた。試験開始の合図とともにマークシートによる学科試験と作文で狭き門の突破を目指した受験者たちは真剣な表情で黙々と問題に臨んでいた。 受験者たちは、「絶対に合格したい」との意気込みに満ちあふれていた。
新潟地本
新潟地本は県内3会場で実施した試験に30名が受験、志願者減少が心配されていたが各広報官の努力が結実したものとなった。当日は生憎の雪混じりの悪天候だったが、予定通り午前10時に筆記試験が開始された。終了時間が近くなっても中途退席する者もなく、試験にかける受験生の熱意が感じられた。昨年度、新潟地本から3名の入隊者を輩出したが、今回はそれを上回る入隊者を予感させる試験となった。
青森地本
青森地本では青森・弘前・八戸・むつ市の4カ所に会場を設置して行われ、130名の少年達が将来の技術部門を担当する自衛官を目指して試験問題に取り組んだ。受験者の一人は「ボーイスカウトで活動をしてきて、自衛隊の活動とつながりがあり、将来電子機器などの技術を身に付けたいと思い受験しました」。また、ある高校生は「昨年受験し不合格でしたが、自衛官と制服へのあこがれがあり今年も受験しました。試験は少し難しい問題もありましたが、全部回答でき、自信があります」などと話していた。試験終了後、青森地本は試験会場から届けられた解答用紙の確認、整理作業を夜遅くまで実施した。
宮崎地本
宮崎地本では、県内2会場(宮崎・都城)で合計39名が受験した。今年度は前年度より18名少ない受験者となったが、宮崎地本では「過去に多く見られた受験者の力試しの「お試し受験」ではなく、真に自衛官を目指す志の高い受験生が多いと捉えている」と話す。試験当日は、この冬一番寒波に見舞われたが、受験生は早めに受付を済ませると試験直前まで参考書等に見入っていた。また、試験中の問題に取り組む真剣なまなざしは寒波を吹き飛ばすほどの熱気が感じられ、今回の受験者の高い意識が感じられた。
愛媛地本
愛媛地本では新居浜、松山、宇和島の3会場で試験を行い、34の受験校から71名の生徒が受験した。今回の募集については、受付期間の短縮から志願者の著しい減少が予想されたが、協力者による積極的な対象者及び家族への広報並びに年度当初から各記念行事、体験航海、体験搭乗などの各広報を最大限活用した広報官の粘り強いつなぎ広報等により、例年に近い志願者を確保した。受験者の動機は、入隊して専門的な技術を身につけようとする者、家族の強い勧めによる者など様々だったが、全員が真剣に回答に取り組んだ。 |