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スペーサー
自衛隊ニュース   1077号 (2022年6月15日発行)
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自衛官にとっての
「人生100年時代」(10)

「キャリア・プランニング」の勧め
自衛官は益々忙しくなる

 ウクライナ情勢は、我が国、中でも国家防衛の第一線に立つ自衛官にとって「対岸の火事」で済まされないのは明白だ。情勢も厳しくなり、即応性の維持、日々の教育訓練、眼前の職務をこなすため、益々多忙になるだろう。
 とは言え、これまで縷々述べてきたように、人生の後半に向けて必要な準備の手を抜くとその "ツケ" はやがて現実のものになる可能性がある。
 ではどうすればいいだろうか。答えは一つである。自衛官の職務を全うすることと将来に向けて準備することの両方に全力を尽くすしかない。
 それは決して出来ないことではないだろう。自衛隊の中にいると理解できないかも知れないが、自衛隊という組織においても個々の隊員の日常生活においても、発想を転換すれば、時間を作り出す余地はまだまだ残っている。
 私達「応援する会」は、昨年9月、「定年後も長い人生は続く」ことを視野に入れた人材育成を自衛隊の「文化」にすべきと提案したが、その実現は簡単ではないだろう。よって、しばらくは、個々の隊員が気づき、意識して努力するしかない。今回はその具体的要領を簡単に紹介しようと思う。
「ジョブ・カード」の活用
 「定年後の人生計画」の作成の必要性についてはすでに述べたが、定年までまだ時間がある自衛官にとっては、なかなかイメージ出来ないだろう。そのような自衛官こそ「キャリア・プランニング」の作成を勧めたい。
 「キャリア・プランニング」とは、自分の仕事(キャリア)のライフプランを考案することで、「将来の目標」とそれに向けた「計画」を考える一連の流れのことを指している。元々はアメリカで広まったものだが、我が国においても「終身雇用」が実質的に消えて働き方が多様化したことから、急速に普及しつつある。
 教育機関や企業においては関連セミナーの開催や専門家の育成をおこなっているが、自衛隊においても早急に全自衛官を対象に導入すべきと考える。紙面の都合上、その細部は省略するが、「ジョブ・カード」(左図)について少し触れておこう。
 「ジョブ・カード」とは、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担う目的で厚生労働省が提唱しているツールである。企業側にも歓迎され、求職側もこれを作成することによって、自分の強みや弱点、さらには将来必要な資格や職業訓練などが理解できる。
 「ジョブ・カード」作成支援ソフトをパソコンでインストールすれば、手書きでもエクセルでも作成できる。自衛隊内の支援態勢がなく難しいかもしれないが、興味のある方は、ぜひ試すことをお勧めしたい。自衛官ならではの活用の仕方があると考える。

 「退職自衛官の再就職を応援する会」詳細と問い合わせ、本シリーズのバックナンバーはこちら。https://www.saishushoku-ouen.com/


ノーサイド
北原巖男
温故知新

 いずれもかなり以前に行われた識者の方々の発言です。
 現下の、ロシアによるウクライナ侵略や我が国周辺におけるロシア・中国・北朝鮮による予断を許さない様々な活動の加速度的増加。
 我が国の平和と独立・国民を守るため、遺漏の無い諸施策の策定が急務になっています。
 そんな中で読み返してみました。長くなりますが、引用します。(筆者抜粋)
(1)「国際関係を考える場合に大切なことは、日本の理想とか方針とかを一方的に決めて、国際情勢はそれに都合よくなるだろうということを期待するというのではなくして、国際環境について冷静な情勢判断をもって、その流れを断ち切って、その流れの中で現実的な方法でもって国益の伸長と国家理想の実現を図るということであると思うのであります。・・・日本の外交と同じく防衛も自主的でなければならないことは言うまでもないことであります。日本が自ら守る決意があって初めて日本とアメリカとの同盟というものが成り立つのでありまして・・・・・・自分が一方的に決めた、主観的、あるいは感情的な目的の上に立ってものを考えるのではなくして、あくまでも客観的な情勢判断の上に立って民族の安全を考えることであると思うのであります」(牛場信彦)
(2)「インドの首相ネール氏が或る機会に、平和について最も多く語るものが必ずしも最も平和に熱心なものとは限らぬ、といったということを外国の新聞で読みました。私はそれを甚だ味わうべき言葉と思いました。私は平和について多弁であるものが平和に不熱心であるとは思いません。ただ、今日口に多く平和を語らないものも、心には切々として平和を願っていることを、今特に言いたいのであります。
然らばその平和はいかにして護られるか。
一つには、人間尊重の精神に基づき、世界各国民の相互理解のいよいよ進められることによって、
一つには、賢き警戒と適切なる防備の用意を怠らないことによって、である。世界の平和はただ力のみによって護られるものではありません。また、力のみによって護られて好いものでもありません。これは吾々の常に心しなければならぬところであります」(小泉信三)
(3)「真正の平和を欲する私どもは、このような諸々の局地戦争のよって来る原因をつぶさに研究し、その原因と起因を十分に見極めなければなりません。その際、大事なことは原因と結果を混同しないことであり、また戦争に結びついた事実発生の時間的前後を十分に見なければなりません。そして、戦争の発生の原因は異なっておりますけれども、ここで確実に申せますことは、元来他の国に属する領土を、武力行使の結果として占領し続けることは占領国の権威を高める所以ではなく、また占領国自身の広い意味での安全を保障するものでもないということでありましょう。
 ・・・国家と民族の興亡の歴史において、武力のみ強くして、国民は貧困であり、文化の無い国には、常に衰退が待っておりました」(法眼晋作)
(4)「私益の追及は、それがよい形で成されれば、必ずや公益の達成につながる・・・私はあなた方に、日本のためと思って防衛にたずさわれなどとは、言いたくありません。でも、あなた方自身の才能を発揮するのに防衛にたずさわるのが適していると思えば、それに人生を賭ける価値はある、とは言います。
相手のためであるという想いだけでやると、その相手が認めてくれなかったりすると腹が立つものです。しかし、自分のためにやると思えば、そうはならないでしょう。なに、私益のよき追及は公益の達成に通ずる、と思えばよいのです。そして、この考え方が正しいことは、歴史が実証してくれています」(塩野七生)
(5)「本当に平和を願うなら片方に武力、もう片方に平和交渉を車の両輪として併せ持たねばならないということです。他力をあてにせず自らの武力をバックにもってこそ平和交渉は成功するし、そのバックなしには失敗するということを、私は著作をすすめながら思い知らされました。・・・戦うための武力ではなく、戦わないための武力、戦争のための武力ではなく、平和のための武力が必要だということを、私は私の仕事を通じて思い知りました」(上坂冬子)
(6)「真剣は絶えず手入れをしておかねばなりません。またそれを使う者は、剣を振るう業をその極限にまで鍛えておかねばなりません。しかもなお、鍛えた腕があり、研ぎ澄ました剣があろうとも、剣は抜かれることがないのがよいのです」(三浦朱門)
 ここまで読み進めてくださった本紙読者の皆さんの中には、どこかで耳にしたり読んだことがあると思われた方もおられるのではないでしょうか。
 そうです。いずれも防衛大学校卒業式における来賓としての祝辞です。(「戦い好まば国亡び 戦い忘れなば国危うし」三浦朱門編 2001年2月光文社刊)
 6月7日、政府は所謂「骨太方針」を閣議決定し、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記しました。防衛費増額の具体的な目標水準については明らかにされていませんが、NATO諸国がGDP比2%以上を目標にしていることを例示しており、現在1%程度の比率を2%へ引き上げて行くことを志向するものと思われます。
 これらも踏まえ、2023年度予算概算要求の取りまとめ、年末の「国家安全保障戦略」・「防衛大綱」・「中期防衛力整備計画」の改定、2023年度政府予算案策定に向けて作業は一段と加速され、参議院選挙後の秋ごろからは活発な与党協議も始まることでしょう。
 そんなとき、今も決して風化していない先達の皆さんの言葉に、現職の皆さんが触れて頂くことも意義があるのではないかと思いました。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


第23回国際平和協力基礎講習
統幕学校国際平和協力センター
 統合幕僚学校国際平和協力センター(センター長・長田栄一郎1陸佐)は、5月30日から6月3日の間、第23回国際平和協力基礎講習を当センター施設(市ヶ谷駐屯地F2棟)で実施した。本講習は、3佐・1尉及び相当級の事務官等を対象に国際平和協力活動等の実務担当者に必要な知識の普及を目的に年2回実施しており、国際平和協力活動等に関する基礎知識及び関係諸規則等についての教育を約1週間にわたり行っている。
 今回の講習では、全国の陸海空自衛官のほか、内閣府国際平和協力本部事務局からの参加があり、講義や課題研究等を通じて、それぞれ異なった立場での識見や経験などを交えながら、積極的に国際平和協力活動に関する知識を深めた。
 国際平和協力センターは今後も引き続き、国際平和協力活動等の要員ニーズに対応した教育訓練及び調査研究を積極的に行っていく。
 本記事に関する内容は国際平和協力センターHPにも掲載しています。

3自衛隊、捜索終える
北海道観光船沈没事故で
 北海道知床沖の観光船沈没事故で捜索に当たっていた自衛隊は6月1日、活動を終了した。
 海上保安庁第一管区海上保安本部長から4月23日、空自第2航空団司令に要救助者捜索の災害派遣が要請され、同日より3自衛隊の各部隊が全力で捜索を行ってきた。
 空自は千歳、秋田、松島各救難隊と救難教育隊(小牧)、飛行警戒監視群(三沢)、飛行警戒管制群(浜松)、海自は第2航空群(八戸)、陸自は北部方面航空隊(丘珠)の固定翼機、回転翼機が上空から捜索活動を実施。
 海自の第14護衛隊(舞鶴)、第45掃海隊(函館)、第1掃海隊(横須賀)、第41掃海隊(同)の各艦艇は水上および水中で捜索を行った。
 また、陸自の第27普通科連隊(釧路)と第5偵察隊(別海)は地上映像伝送を担った。
 第一管区海上本部長から災害派遣の撤収が要請され、40日間の捜索活動を終えた。

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