ゲッキー)大方の予想に反して、先月24日にロシアがウクライナに侵略を開始して、戦争が始まりました! 今回のロシアの侵略をどのようにみていますか?
宇都)21世紀において、絶対に許されない暴挙です!ロシアは2014年にもウクライナに侵攻しクリミア半島を奪いました。その時は国連総会にてロシアへの非難決議に賛同したのは100カ国もありませんでしたが、今回は141の加盟国が賛同しました。世界で多くの国がロシアの暴挙を怒りとともに非難しています。
ゲッキー)国際社会のロシアへの制裁は効力を発揮するでしょうか? またプーチンの意思を変えられると思いますか?
宇都)残念ながら、今回のプーチンの侵略を「正しかった」とするロシア国民が65%という政府系世論調査機関の報道がありました。もちろん、ロシアでは自由に発言できない言論統制下ではありますが、「Z」という文字を掲げて戦争支持を示す人たちも一定程度いて、制裁が効力を発揮するには、逃げ道を徹底的に防ぎロシア国民にも訴える必要があります。ロシア国民(政府関係者や軍人含む)が心底困窮してプーチンの支持率が大きく下がれば、内部から退陣を望む声も上がってくるでしょう。ただし、それでもプーチンが破局の道を突き進む可能性もゼロではありません。それが独裁国家の恐ろしいところです。
ゲッキー)実際にロシアはSWIFT(国際銀行間通信協会)から締め出され、外貨立てによる取引ができなくなり、今後経済的にはかなり苦しくなってくると思いますね。また一方でウクライナに対する支援が始まり、自衛隊機も動き出しましたね。
宇都)今回初の試みでしたが、ヘルメットや防弾チョッキ、衛生物品や非常食などを自衛隊の保有する輸送機を使って運搬しました。現行の日本の法律で武器弾薬の類は、紛争当事国には提供できないことになっていますが、ウクライナはそれを最も欲していて、EU諸国は支援を開始しています。今後我々日本も、国際社会の秩序を維持するためには、本当にこのままの国内制度でいいのか、真剣に議論しなければなりません。ちなみに、現地邦人は約60名が確認されており、今のところ無事であるということです。ウクライナや諸外国などと連携して安全の確保に万全を期しています。
ゲッキー)戦争が長期化しそうな気配もあります。プーチンの思惑通りに事が運んでいない原因はどこにありますか?
宇都)第一に、国際社会の結束が迅速かつ効果的な制裁を課していること。そしてそれはロシア国内にも影響を及ぼし、各地で戦争反対のデモが起こっていることです。第二に、ロシア軍の士気が低いことが指摘されています。訓練と称して連れて行かれ兵站計画(食料、燃料、弾薬等の補給)の準備がないため、一部の部隊では活動が停滞しているようです。第三に、ウクライナ軍と国民の戦う意思がとても強く粘り強い防戦をしていることです。ロシア軍には1万人を超える死傷者や航空機や車両などに多くの被害が出ており、また、国外から戦うために帰国したウクライナ人は10万人を超えているとのことです。
ゲッキー)やはり、国の独立を守る最大の武器は「国民一人一人の国防意識」ということですね。一日も早い戦争の終結と、戦争被害が少なく終わるように祈っています。日本政府や国会にも、できる限りの努力を期待しています!
宇都隆史(自由民主党参議院議員、前外務副大臣、元航空自衛官)
昭和49年生まれ、鹿児島県出身。平成10年に防衛大学校卒業(第42期)、航空自衛隊入隊。平成19年に政治の道を志して退官。平成22年自民党比例
区で参議院議員に初当選。 |