全国各地の自衛隊地方協力本部や募集案内所の皆さんは、新年度入隊・入校を目前にして希望と不安が混在している若者たちに、自分の体験等も話したりしながら、親身に相談に乗ったり励まし勇気づけて来られたことでしょう。また未だ収束の見通しの立たないコロナ禍の下にあって、入隊や入校前のPCR検査のための検査キッドの説明等も実施。
入隊・入校する皆さんにとっては、頼れる兄貴や姉貴のような存在に違いありません。
僕は、そんな様子を実際に目にする機会に恵まれました。それは、僕もメンバーの一人である(公財)隊友会世田谷支部がいつも大変お世話になっている東京地方協力本部世田谷募集案内所のある日の光景でした。とことん一人の人間として、入隊・入校する皆さんのことやご両親やご家族を思い、心配し、応援する事務所の皆さん。そんな皆さんと新隊員・入校生の間に築かれて来た信頼の絆を、改めて強く感じる姿でした。
「頑張ってください!」、「はい、頑張ります!」と力強く応答して、それぞれのスタートラインに向かって巣立って行きました。隊友会世田谷支部の岩崎修治支部長はじめ、そこにいた自衛隊OBの面々も、思わず笑顔になって「頑張れ!」と熱いエールを送っていました。
こんな光景が、全国の自衛隊地方協力本部や募集案内所で行われているに違いありません。
新隊員・入校生の皆さんは、それぞれ自分でやりたいと思って、一生懸命頑張って、扉をこじ開けた未知の世界・社会へのスタートです。どうか頑張ってください!
こんなはずじゃぁなかったと思われることもあるかもしれません。でも、短気は損気。深呼吸して、冷静さを取り戻して、自分を信じて、自分を労わって、めげることなく立ち上がって、オンリーワンの人生のお花を活き活きと咲かせていって欲しいと思います。
僕は、若い頃たまたま電車で隣の席に座られた老人との出会いを忘れることが出来ません。彼は、「運命がレモンをくれたら、それをレモネードに変える努力をしよう」というディエール・カーネギーの言葉を口にされ、「レモンとレモネード。どこまでもプラス思考ですよ」と優しく語ってくれました。
また、今は亡き谷村 裕先生が、「とかく私たちは、邪なことを考えがちです。でもそんなことは考えずに、今為すべきことを、ただひたすら真っすぐに行っていったらいい。それだけでいいんじゃないですか」と言って、大きく太く書いてくださった「思無邪」(おもい よこしま なし 詩経の言葉)も忘れません。
いったいこの2つの言葉に、僕はどれほど救われて来たことでしょうか。
今度は、皆さんに贈りますね。
もう一つ大切なことがあります。それは、くれぐれも身体には気を付けてくださいということです。
ところで、僕の孫娘は長野県内の公立中学を卒業して4月から地元の高校生活をスタートします。彼女に中学3年生のときに使った教科書を送ってもらいました。僕は、最初に手にした英語の教科書の内容に仰天しました。
「凄い!」
隊員や本紙読者の皆さんの中で、今の中学生の教科書をご覧になった方はどのくらいおられるでしょうか。一度手に取ってご覧になられることを、是非お勧め致します。
例えば、「Stay Hungry.Stay Foolish.」で有名なスティーブ・ジョブスの言葉について。
"「A Graduation Gift from Steve Jobs」・・・以下は、ジョブスがアメリカのスタンフォード大学の卒業生のために行ったスピーチの要約です。ジョブスは未来を生きる若い人たちに、どんなメッセージをおくったのでしょうか。"
"Today I will tell you three stories from my life." から始まる4ページ509文字に及ぶ長文です。
教科書は、 "スピーチの原稿を読んで、内容の要点を理解し、自分の言葉で伝えることができる。" ことを目標として明示しています。
そして、
"3つのStory の内容をふまえて、最後のStay Hungry.Stay Foolish.というメッセージはどんな意味だと思いますか。クラスメートと話し合いましょう。"
"本文の中から最も心に残った1文に下線をひいて、自分の言葉でその意味を説明しましょう。" 等々。
graduation,make all the difference,employee(s),getfired,burden,creative,cancer,等の単語や熟語も。
更に、 "「Borderless Friendship Pyeongchang 2018 Winter Olympics」との見出しで、試合後小平奈緒選手が韓国選手と抱き合っている写真と319文字の説明も。最後の文章は、" They show us the ideal spirit of friendly competition."
何と"Engineer Hatta Yoichi,Honored in Taiwan」と題して、台湾の不毛の地に烏山頭(うさんとう)ダムを作った水利技術者の八田與一さんについて、2ページ588文字にわたって紹介もしています。正直、僕は八田さんのお名前は聞いたことがある程度でした。教科書の
"「Have you ever heard of Hatta Yoichi(八田與一)?Read and learn about him." に従って、
今回、僕も学んだ次第です。
僕自身も今スタートのときにあることを実感しました。
"It's never too late to learn."
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |