変わりつつある産業構造
多くの自衛官にとってなじみがないかも知れないが、現在は「第4次産業革命時代」が進展し、IOT、AI、ビックデータ、RPAなどの普及によって、DX(デジタルトランスフォーメーション)が益々加速している。また、昨今のウクライナ情勢などから「サイバー攻撃」も増加傾向にある。
よって、これらの分野の技術保持者は "引っ張りだこ" で処遇も良くなる。産業構造が大きく変われば、就業者の構成比も変わるのであり、退職自衛官の再(再々)就職先もこれまでの第2次・第3次産業中心から変化する可能性もあるだろう。
見極める「3つのポイント」
さて前回とりあげた「+アルファ」の核心に迫ろう。自衛官としての知識や経験以外、具体的に「資格」(スキルを含む)の何を選択すればよいかについては、一人ひとり違うのは当然である。雇用情勢が変化しつつあると言っても、従来の雇用機会が全くなくなるわけではないので、様々な情報を収集しつつ、自分に合った「資格」を選ぶことが大切なのだ。
左図は、民間人を対象にして、「定年後に役立つ『資格』を見極めるための3つのポイント」として紹介されているものである。
まずは、「資格」の需要があるかどうかである。せっかく取得した「資格」であっても、需要がなければ職を得ることは難しく、処遇も悪くなる。
次に、「資格」の "社会的信頼度" である。現在、約3千ある資格は「国家資格」「公的資格」「民間資格」に区分される。一般には、民間資格よりは国家・公的資格の方が社会的信用度や知名度が高いものが多い。自分が挑む「資格」がどの分類に属するかを見極める必要があろう。
最後に、最も大事な「自分の好きな分野かどうか」の判断である。好きでなければ長続きしないのは明らかだろう。
定年後に自分がどのようなスタイルで働きたいのかを思い描きつつ、自分の好み、能力、経験などとマッチングするかどうかを見極める必要がある。
出来れば、自衛隊の勤務経験を活かせる分野がいいが、全く別な分野にチャレンジするのも一案であろう。時々、現役時代のイメージと全く違う分野で大活躍しているOBに出会うことがあるが、案外、自分自身の潜在能力などは気がつかないものなのだ。
スタートは早ければ早いほどいい。現役時代にその「資格」を活かせれば実績としてキャリア・アップに繋がる。
情報は周りに溢れている。防衛省提供の職業訓練、援護協会の社会通信教育講座などに加え、インターネットで探せばこの種情報は必ず見つかる。まさに、「その気になるかどうか」にかかっているのである。次回、具体的なプランニングについて取り上げよう。
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