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スペーサー
自衛隊ニュース   1131号 (2024年9月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
映画「ソウルの春」

 1979年10月26日、パク・チョンヒ大統領が側近によって暗殺。国内に民主化の機運高まる。
 しかし、1979年12月12日、のちに大統領になり光州事件を武力弾圧したチョン・ドゥファン将軍が、軍事クーデターにより実権を奪取。
 この韓国の歴史上の出来事をモチーフにしたフィクション映画、「ソウルの春」(キム・ソンス監督作品)を観賞しました。都心の映画館は、若い男女も多く、ほぼ満席でした。
 映画の結末がどうなるかは、誰もが予め分かっています。歴史を変えることは出来ません。
 でも、登場人物と一緒に映画の激しい事態展開に引き込まれて行くと、我が国の二・二六事件を思い出さざるを得ませんでした。「いかなる大義名分を唱えようと、軍事クーデターは絶対に許すことは出来ない。断固鎮圧すべきだ。」そんな気持ちになります。
 そして、いつの間にか、本映画プログラムに記述掲載されている「軍事反乱を起こした権力の亡者に、一人立ち向かった信念の男」を応援している自分がいました。
 その「権力の亡者」チョン・ドゥフアン将軍が、「失敗すれば反逆罪!成功すれば革命だ!」と言い切る姿には、リーダーとしての命を懸けた不退転の覚悟を感じます。劇中、状況が我に利あらずと見るや、責任逃れに走ろうとする先輩・上司、腰が引けている仲間・後輩たちを一喝するシーン。不思議なことに、それ以降、全員がそんなチョン・ドゥフアン将軍に付いて行こうとするのです。更に、自分の息のかかった組織内組織の人脈は拡散し、クーデター側に加わる部隊・人数も増えて行きました。
 映画を通じて、チョン・ドゥフアン大統領は、天性とも言うべき、たぐいまれな卓越したリーダーシップを有していた人物であることが痛いほど分かりました。
 ちなみに、このリーダーシップの一点に関する限り、大国インドネシアに敢然と挑み、東ティモールの独立回復を成し遂げた独立回復闘争のリーダー・国父シャナナ・グスマン氏と重なります。
 なお、クーデター当時の相棒であり、チョン・ドゥフアン大統領の後、大統領に就任したノ・テウ将軍の、映画上の人となりにも興味が湧きました。その力量は、映画で見る限り、チョン・ドゥフアン大統領には遥かに及びません。
 そして、シビリアンである大統領や国防大臣の描写は、特に注目に値します。あの当時のこととはいえ、また、あくまでもフィクション映画であるとはいえ、彼らの行動は、極めて今日的な重大関心事項でもあります。事柄の重要性に鑑みて、おそらく史実に則ったストーリー仕立てになっているのではないでしょうか。
 クーデターの首謀者を前にして、大統領として為しうるギリギリの行動の限界と苦悩。他方、自己保身・クーデターサイドに言われるがまゝの、目を覆いたくなる国防大臣の姿。
 また、本クーデターに対する在韓米軍司令官や在韓国米大使の、突き放すような対応にも関心を覚えました。
 ・「色んな人間の思惑が入り乱れる中、たった数時間で国が転覆して行く様が恐ろしい!「国を守る」という言葉の意味について考えさせられた。・・・脳がクタクタになるほど濃くてパワフルな作品です!」」(映画紹介人:ジャガモンド斎藤 「ソウルの春」オフィシャルサイトより)
 ・「我は行く 若き魂がついえた あの時 あの場所・・・エンディングに流れる歌声が、胸を突く。」(ジャーナリスト:大谷昭宏 「ソウルの春」オフィシャルサイトより)
 ・「韓国史上最も重大な事件の映画化は、韓国の過去と現在を同時に知るいい機会になるはずだ。「韓国のいちばん長い日」をぜひ、劇場で観賞して欲しい。」(Pen 編集部より)
 隣国韓国と日本、今、考えさせられる作品の一つではないかと思いました。
(お詫び)
 本欄前号(9月1日付け)の「今年の第3四半期」は、本年9月から12月を念頭に置いて書きました。第3四半期ではありません。訂正して、お詫び申し上げます。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


読史随感
神田淳
<第157回>

岸田首相の退陣と世界情勢

 岸田首相が次期総裁選に出馬せず退陣することを表明した。新総裁の選出は9月12日に告示され、27日に国会議員による投票が行われる。岸田内閣は支持率が20%台まで低下し、自民党派閥の政治資金問題での批判も強く、再選は難しいと判断したのだろう。岸田首相を良い首相だと評価する私は、退陣を惜しんでいる。
 岸田首相は「日本も世界も歴史的に大きな転換期にある」と認識し、大きく変化する世界情勢の中で、日本の国の舵取りを過らなかった。ウクライナ戦争の勃発に際し、「国際秩序の根幹を揺るがす行為として、断じて許容できず、厳しく非難します」と表明し、価値と国際秩序を共有する西側の国として日本の立ち位置を明確に示したのは適切。ブレることなくロシアへの経済制裁にも加わり、グローバルサウス諸国との連携強化を進めたのも正しい外交判断だった。
 中国の経済・軍事大国化、台湾統一の意思、海洋進出等現状を変更しようとする意思、北朝鮮の核保有、及びウクライナ戦争で見られたロシアの変わらぬ侵略体質は、日本の安全に対する脅威であり、近年脅威は増している。岸田首相はバイデン大統領と良好な関係を構築、日米同盟の深化と、日本の防衛力の強化に積極的に取り組んだが、日本に必要な安全保障政策である。岸田内閣は国家安全保障戦略等、安全保障3文書を定め、防衛予算の増額に道筋をつけた。
 岸田内閣が昨年8月から福島原発処理水の海洋放出を迷わず始めたことも私は評価したい。原発からトリチウムを含む処理水が排出される。トリチウムは普通の水で適度に希釈すれば環境に放出しても、安全上全く問題ないが、海洋放出には国内にも国際的にも根強い反対があった。岸田内閣は、海洋放出計画が安全基準を十分満たしているとのIAEAの報告書と、安全上問題ないという科学の知見をもって海洋放出を実行した。放出の国際的理解を得、放出を始めて1年になるが、問題は何も発生していない。中国は処理水を核汚染水と呼んで非難し、日本の水産物の輸入を禁止し続けているが、これには科学的根拠はない。余談だが、トリチウムは通常運転中の原発からも発生し、世界の原発からトリチウムを海洋や河川に放出しているが、安全上全く問題ない。中国からも、例えば秦山第三原発は福島原発からの放出量の6倍のトリチウムを海洋放出している。
 ところで世界が歴史的な転換点にあるとの認識は良いが、どの方向に変化するのか、見通すのが難しい。中国が経済的・軍事的に大国化し、覇権国化して、国際レジーム、さらに世界秩序を変えようとしており、自由主義世界の覇権国アメリカと対立。そのアメリカは政治と社会の分断化が進み、自由と民主主義に価値をおくリーダーシップが減退している。これはトランプに特有な現象であって、アメリカの伝統的な自由と民主主義による統治能力とリーダーシップはなお健在と思いたいが、そうでないアメリカに変わりつつあるのかもしれない。
 ウクライナ戦争と、イスラエル・パレスチナ戦争も終息していない。世界はまた戦争の時代になりつつあるのだろうか。世界は分断と対立が進んでいるように見える。第三次世界大戦は事実上始まっていると言う歴史家もいる(そう思いたくないが)。
 首相となる人は、先の見通せない世界で、日本の安全と独立を維持する、過たない国の舵取りをしなければならない。私たちはこれができるリーダーを選ばなければならない。
(令和6年9月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


防衛省・自衛隊 地方協力本部
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自衛隊サマキャン
陸海空自体験フェスタ

<旭川>

体験!見学!乗る!

 旭川地方協力本部(本部長・中尾圭1陸佐)は、7月27日から29日まで北部方面隊が主催する「自衛隊体験フェスタ」に参加した。
 毎年行われているこのフェスタは、陸上、海上、航空自衛隊の職業に対する理解の促進を図るとともに、志願者数の拡大と有為な人材の確保が目的。
 フェスタ初日、全道各地から陸上自衛隊東千歳駐屯地に集合した参加者に対し、装備品展示や各職種紹介を行い、それぞれに工夫を凝らした内容で職種の魅力を紹介した。体験試乗では、間近で見る戦車、WAPCの迫力に歓喜が起こった。
 翌日のメインは、苫小牧港にて海上自衛隊護衛艦「いせ」にて艦内外の見学を実施した。垂直ミサイル発射装置や艦載機等の見学、ロープ結索体験等趣向を凝らした内容となっていた。特に参加者が興味を引いたのは、艦載機用のエレベーターで格納庫から飛行甲板への移動体験であった。動画サイトで見ていたので嬉しいと感想が聞かれた。
 最終日は航空自衛隊千歳基地見学での特別航空輸送隊見学とC2輸送機体験搭乗を実施した。
 参加者からは「政府専用機のスケールの大きさに圧倒された」「美しい」「エンジンがとても大きい」などの感想が聞かれた。
 体験フェスタは、参加者と引率自衛官が寝食をともにして、親交を深めて進路の希望や夢を語り合うのも魅力の一つであり夏休みの想い出になる3日間となった。
 参加した留萌高校3年生の今朋乃香さんは「今回の体験フェスタでは戦車や輸送機、艦に乗ることができ、ふだん体験することの出来ないことを沢山体験することが出来ました。様々な職種を見ることも出来て自衛官になりたい気持ちが高まりました!」と感想を述べた。
 旭川地本はこれからも様々な機会を活用して自衛隊の魅力を伝えるとともに自衛官が職業選択の一つになることへの努力を傾注する。

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3年ぶりの海自艦艇
「はたかぜ」寄港

<広島>
 広島地方協力本部(本部長・宮地裕1海佐)は、8月3日と4日の両日、宇品外貿埠頭に入港した海自の第1練習隊練習艦「はたかぜ」の特別公開・体験航海を実施した。海自の艦艇が同港に寄港したのは3年ぶりのこと。高校生を中心とした募集対象者と保護者ら751名が来場。乗員から説明を受けつつ速射砲などの装備や艦艇を見て回った。
 体験航海では2時間ほどかけて厳島(宮島)の周辺など広島湾を周遊しつつ、らっぱ演奏により参加者を魅了させた。
 参加者からは「実際に見て感じることができ貴重な体験をさせていただきました」、「艦艇の武器が充実していてとても驚きました」等のコメントが寄せられた。

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