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スペーサー
自衛隊ニュース   1081号 (2022年8月15日発行)
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1面 4面 5面 6-7(PDF) 9面 10面 11面 12面

古河駐屯地創立68周年、第1施設団創隊61周年記念行事
 6月5日、古河駐屯地(司令・仲西勝典陸将補)は古河駐屯地創立68周年・第1施設団創隊61周年記念行事を執り行った。
 記念行事当日は、天候にも恵まれ駐屯地司令による感謝状贈呈式、記念式典、観閲行進、訓練展示等が行われた。
 記念行事は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため招待者を限定し執り行い、威風堂々とした観閲式、観閲部隊の一糸乱れぬ行進、駐屯部隊の機能を紹介する等工夫を凝らした訓練展示を披露し来場者からは大きな拍手が起こった。
 執行者は式辞にて、「我々隊員一同は、諸先輩方が築き上げて来られた良き伝統と地域の皆様との強い絆を礎として、『地域とともに光り輝く未来』を進んでいけるよう、地域と国民の負託に応えることのできる強靭な部隊の創造を目指し、更なる精進を積み重ねていく所存であります」と述べた。

協力団体と家族支援に関する中央協定を締結
<航空自衛隊>
 7月26日に航空自衛隊は自衛隊家族会、隊友会、および航空自衛隊退職者団体つばさ会と「隊員家族支援に対する協力に関する中央協定」を締結した。これにより3自衛隊全てが主要協力団体と家族支援協力に関する中央協定を締結した。
 空自ではこれまで各基地等が個別に地域の協力団体との協定を数件締結していた。しかしながら災害派遣等の突発的な事案においては、隊員が後顧の憂い無く任務に邁進できる態勢づくりが求められており、今回の中央協定締結により、今後全国的に支援態勢の構築が進むことが期待される。
 各団体代表者(家族会は副会長)が署名後、井筒俊司航空幕僚長は「本協定は終点ではなく出発点です。今後この中央協定を起点とし、航空自衛隊の基地等においても協定締結を促進させるとともに、締結後も例えば安否確認にかかる相互の顔合わせを行う等、後発の利を活かした実効性を高める活動を推進させ、各団体とのさらなる連携強化を図って参ります」と挨拶した。

ノーサイド
北原巖男
今年の8月

〇 「暑いですね!」
熱中症による命の危険も指摘される猛暑の連続です。
 隊員の皆さん・ご家族の皆さんそして本紙読者の皆さんには、自分の身体を過信されませんよう、こまめな水分補給や冷房の適切な使用等に留意され、この夏を乗り切って頂きたいと思います。皆さんの身近な方々にも、是非お声掛けをなさってください。
 暑さだけではありません。地球温暖化のためでしょうか、線状降水帯発生等による今まで経験したことが無いような急激かつ居座った大雨によって、河川の氾濫や洪水、土砂崩れなど大規模な被害発生が各地から報じられています。
 命より大切なものはありません。安全な場所への、早め早めの退避行動を起こすことに心がけて参りましょう。テレビの天気予報で気になった場合には、直ぐにふるさとのご両親や知人、友人の皆さんに注意喚起をしてあげてください。
 猛烈な暑さ・大雨に加え、新型コロナ感染者がこれまでに無いスピードで急増しています。未だピークアウトが見えて来ません。僕の友人たちからも、「感染防止に努めていたのに、どこで感染したのかよく分からない」、「思えば油断があった」、「ワクチン接種を3回受けていたけれど、10日間とても辛く寝たままだった」、「人生の中で、東ティモールで初めてマラリアに罹患したときの次くらいしんどかった。死ぬ思いだった」等、受けたダメージの大きさが残る声が届いています。
 8月は夏休みの真っ只中であり、旧盆の帰省等、一年の中でも人々の動きが特に活発になります。接触機会が増えるときです。しかも今年の8月は、ウイズコロナ政策の下、様々な行動規制・制限が解除されたままです。
 改めて「3密(密閉・密集・密接)回避」に留意し、必要な場面でのマスクの着用そして手洗いの励行です。感染防止行動は、自分一人だけのためではありません。
〇 7月8日、参議院議員選挙応援演説中に凶弾に倒れた安倍晋三前首相が亡くなられてから、早や1か月が過ぎました。8月3日には臨時国会が召集。事件2日後の7月10日の投票で当選された125人の新議員を含む248名からなる参議院では、議長に自民党の尾辻秀久議員が選出されました。
 尾辻秀久議員は、これまで参議院本会議にて、他党議員のご逝去に伴う追悼演説を3回行っておられるとのこと。2007年12月22日に胸腺癌で亡くなられた旧民主党の山本孝史参議院議員に対する追悼演説(2008年1月23日)の全文をインターネットで読みました。巷間言われるように、正に議会史に残る感動の名演説だと思います。
 ここで「平成おじさん」こと小渕恵三首相が思い出されました。2000年に日本で行うサミットを沖縄で実施する英断をされ、多くの国民が驚き、沖縄の皆さんが心から喜び歓喜されました。那覇防衛施設局(当時)に勤務していた職員共々僕も胸がいっぱいになりました。小渕首相は何度も来沖され、沖縄の皆さんとともに政府を挙げて準備に全力を尽くして来られました。しかし、沖縄サミット(7月21日〜23日)を目前にして、突然脳梗塞で倒れ、意識を回復されないまま2000年5月14日に亡くなられました。享年62歳。
 同年5月30日の衆議院本会議における追悼演説は、社会民主党の衆議院議員村山富市元首相によって行われました。今回、改めてインターネットでその全文を読み返してみました。追悼文の中で村山富市元首相は、小渕恵三首相が愛唱していた高村光太郎の、「牛は随分強情だ/けれどもむやみとは争はない/争はなければならないときしか争はない/ふだんはすべてをただ聞いている/そして自分の仕事をしている/生命をくだいて力をだす」も引用され、偉ぶらない小渕恵三首相の人柄や信念、沖縄への思い、政治行動等を語っています。心に染み入ります。沖縄に来られた当時の小渕首相の姿が浮かんで参ります。小渕首相も、はにかみながら天空で聴いておられたに違いないと思いました。素晴らしい追悼演説です。
 安倍晋三前首相に対する追悼演説は、秋の臨時国会で行われることになりました。
〇 8月は、6日の広島・9日の長崎の原爆投下そして15日の終戦記念日と続きます。
国連では、8月1日〜26日の予定で核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が開催されています。加盟191か国・地域の全てが、核軍縮に向けた合意点を見出し、最終文書の採択が出来るかが注目されます。
 8月2日、唯一の被爆国日本の広島出身の岸田文雄首相は、日本の首相として初めて同会議に出席し、演説を行いました。核兵器の不使用・透明性向上・核兵器数の削減・不拡散・被爆地訪問(世界の若い世代に戦争被爆への理解を深めてもらうため国連に1000万ドルの基金創設)の5つの柱からなる「ヒロシマ・アクション・プラン」を表明。来年5月19日〜21日に広島で開催するG7サミットに先立って、11月23日には各国のリーダーが核軍縮について議論する「国際賢人会議」を広島で開催することを明らかにしました。
 第2次世界大戦における日本人犠牲者は約310万人(軍人・軍属 約230万人、民間人 約80万人)。戦後77年、被爆者を含め戦争体験者が年々少なくなって行く中にあって、僕たち今を生きる世代には、戦争の惨禍を風化させてはならない責任があります。戦争を知らない僕たちです。まずは僕たち自身が歴史を勉強し、歴史から学ばなければ、歴史は教えてくれません。決して惨禍を繰り返してはならない責任があります。
 令和4年度の「防衛白書」の巻頭言で、岸 信夫防衛大臣は次のように語っています。「国際社会は今、戦後最大の試練の時を迎えています。21世紀における新たな危機の時代に入ったといっても過言ではありません」「今、世界の平和と安全は灰色の厚い雲に覆われ、先行き不透明であるように見えます。しかしながら、一つだけ確かなことは、明日の国際秩序を形作るのは、今日の私たちの選択と行動であるということです」
 新たな危機の時代が到来している中で、僕たちは歴史の教訓をしっかり踏まえ、現在を冷静に分析し、以て将来の平和と安全を託し得る選択と行動が出来なければならないのです。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


自衛官にとっての「人生100年時代」(12)
"意識を変える" 「癖」をつける

 最近、防大1期生の大先輩の「オーラル・ヒストリー」や80歳代になって書かれたものを読ませていただく機会があった。そこには、防大入校以来、宿命のように背負わされた「重荷」に果敢に立ち向かった自衛官人生が見事に記録され、かつ70歳をこえたばかりの筆者などが到達できない、80歳代の「境地」が余すところなく綴られていた。
 そして、人生の節目毎、役職毎にそれに相応しい「意識」とか「志」を持つ大切さや人生の「奥の深さ」までも教えられ、ワクワク感が増大した。

「意識」を変えることは難しい

 自衛官のみならず、定年後の「人生の後半戦」をいかに生き延びるかがシニア世代の大事なテーマになっており、そのために「50代からの意識改革」が提唱されていることは前に紹介した。
 また、個人差の大きい高齢者を一律に扱うのは現実的でなく、「エイジフリー社会」が到来したことも取り上げた。その差が生じる根源もどうも「意識」にあるようだ。
 定年直後、仕事を失った喪失感やカルチャーショックから、「定年症候群」に陥る人も増えているといわれる。いつの年代もだれでも、急に「意識改革」するのはそう簡単ではないのである。
 これらを知って、毎回の業務管理教育においても、「生き延びるための意識改革」を力説している。だが、30数年間、ひたすら真面目に生きてきた自衛官が、定年間際になって「これまでの常識を捨てよ」などと言われて戸惑うばかりなのも理解でき、最近、この「意識改革」が最も難しいのでは、と感じ始めている。
 しかし、定年はだれも避けて通れない。ではどうすればよいのだろうか。

節目毎に「意識」を変える

 その解決策は、大先輩の人生から学んだことを適用すると、40代は40代、50代は50代と人生の節目毎、役職毎にそれに相応しい「意識」を持つこと、言葉を代えれば「意識を変える癖をつける」、あるいは「意識を成長させる」ことにあると考える。
 それも個人差があるだろうが、大切なのは、年齢を増すごとに「定年後」を "意識" し、そのシェアを徐々に増やしていくことだ。
 このように、 "意識を変える" 「癖」を定着させることが、定年間際に、あるいは定年直後に戸惑わないため、さらに充実した「定年後」を送るための唯一無二の方法であると断言したい。

意識を変えることは行動を変えること

 「意識改革」を実際に行うことがなぜ難しいか、それは「『意識』を変えることは『行動』を変えること」を理解していないことにその訳がありそうだ。端的な言い方をすれば、頭の中で「意識」はしてもそれに伴う「行動」を起こさなければ何も新しい結果を生み出せないのである。それらを含め、次回も「意識改革」について続けよう。
◇◇◇ ◇
 1年間12回の予定でスタートした本シリーズは今回が最終話となる予定でしたが、このテーマは「繰り返し、丁寧に訴えないと理解されない」と紙面をご提供いただいた防衛ホーム側と考えが一致し、まだまだお伝えしたいテーマも残っていることから、防衛ホームに感謝申し上げながら、もうしばらく継続することにしました。現役自衛官の皆様の定年後「人生の後半戦」のために少しでもお役に立てれば望外の喜びです。
 請うご期待!

 「退職自衛官の再就職を応援する会」詳細と問い合わせ、本シリーズのバックナンバーはこちら。https://www.saishushoku-ouen.com/


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