第6普通科連隊(連隊長・河村友則1陸佐=美幌)は美幌駐屯地で6月2日、第1中隊の空岡赳臣陸士長に対し「親子の感動サプライズ祝福」を実施した。6月9日付で定年退官を迎える士長の父親(空岡真二3陸佐、静岡地方協力本部=当時)からの「定年退官前に息子の勤務している姿を妻にも見せてあげたい」という1本の電話をきっかけに実現した。
空岡3佐は定年退官を前に、息子の雄姿を長年の自衛官人生を支えてくれた妻にも見せてあげたいと思い、13年前に富士学校普通科部で一緒に勤務した同僚で現在は息子の上司である河村連隊長へ「私の自衛官生活の最後のお願い、息子の勇姿を見たいし、妻にも見させてあげたい」と電話を掛けた。連隊長は旧知の空岡3佐の自衛官人生に最後の華を添えるべく、自らサプライズを企画・実行した。
駐屯地に到着した両親は、サプライズ再会前に陸曹候補生履修前教育に参加中の空岡士長の座学教育の状況を別室でモニター越しに視聴。「真剣な眼差しで教育に励んでいる姿を見られ、一生の宝物になった」と涙をこらえていた。
昼休みの息子との再会のために空岡3佐は、連隊長室の椅子に深々と着席し、入り口に背を向け待機。一方、河村連隊長から履修前教育の教官を通じて「履修前教育の学生の状態を知りたいので日直学生を速やかに前進させよ」との命で日直に上番していた空岡士長が連隊長室へ急行する。
「父に憧れて」
空岡士長が連隊長室のドアを開け入室すると入り口に背を向けた状態で椅子に座っている連隊長(実は父親)がいる。椅子の横に隠れている河村連隊長が空岡士長に対し「お父さんの定年退官行事は参加できるのか?」という質問に、空岡士長は「参加はしたいです。なぜなら、私は自衛官である父の姿に憧れて入隊を決意したからです。尊敬する父の最後の姿を見たいですが、今は履修前教育があるので行けません」と返答したため、「だったら会わせてあげるよ」と連隊長。
入り口に背を向けていた椅子が回転し、空岡士長の正面に向いた瞬間、静岡県で勤務しているはずの父親が座っていた。空岡士長は「え?なんで!」と驚きながら、一瞬で最後に会えたことへの感動から涙があふれてしまった。空岡3佐の目にも光るものが映り再会のうれしさで息子と抱擁を交わし、母親(陽子さん)も駆け寄って親子で一緒に涙した。
久しぶりの両親との再会に空岡士長は、「憧れの父親に再会でき心からうれしかったです。7月から第1陸曹教育隊に入校しますが、この再会を糧に父親に少しでも追いつけるよう立派な陸曹となり、さらに連隊のために頑張っていきたいと思います」と決意を新たにし、無事、親子再会のサプライズ祝福は大成功で終了した。 |