ゲッキー) 年末までに改定される政府の「防衛戦略など3文書」に対し、連休前に自民党の提言案が出ました。今日はその内容を、ポイントを絞ってご紹介いただきたいと思います。
宇都) 年明けから、全19回の議論を経て、自民党としての考えを集約して提言にまとめました。座長は小野寺五典元防衛大臣が務め、ほぼ全ての会に歴代防衛大臣全員が出席するという豪華な顔ぶれで、現実に即した深い議論が展開されました。まずは1つ目のポイントとして戦略環境評価に関してですが、北朝鮮は「より重大かつ差し迫った脅威」、中国は「重大な脅威」、ロシアは「現実的脅威」との位置付けに、数段格上げしました。
ゲッキー) 自衛隊の能力は、今後どのように変わっていきますか?
宇都) はい、2つ目のポイントとして攻撃力の保有についてです。名称は「反撃能力(Counterstrike Capabilities)」として、反撃の対象は「ミサイル基地に限定されるものではなく、指揮統制機能等を含む」としました。これまで進めてきた「宇宙・サイバー・電子戦といった新領域」における能力をさらに強化しつつ、これらの空間においても妨害行動を行えるようにすべきとしました。
ゲッキー) 少子化の中で、人材確保は防衛省のみならず社会的な課題となっています。どのように解決するのでしょうか?
宇都) 人的基盤の強化が、第3のポイントです。まずは、実員と定員の乖離(約2万人)を解消できるように必要な施策を行います。その上で、特に退職した自衛官の積極的な再雇用(後方業務等)や、定年後も自衛隊の資格を、再就職後もそのまま民間資格として援用できるようにします。
ゲッキー) 後方分野(防衛生産・技術基盤・研究開発)についても、待ったなしの課題です。特に近年は、国内企業の防衛産業からの撤退が相次いでいます。
宇都) それが、第4のポイントです。まずは装備庁により、各々の装備品毎に、国産/共同開発/輸入についての指針を定めさせます。それにより企業側にも事業の見通しを持てます。また、競争入札の在り方を抜本的に見直し、適正な価格で事業を請け負えるようにします。装備品の輸出に対しても「国家安全保障政策の一環」と位置づけ、政府が司令塔の役割を果たすこととして民間企業に丸投げしないようにしました。
ゲッキー) 一番の関心事である防衛予算の総額はどうなるでしょうか?
宇都) 最後の重要なポイントです。「対GDP比目標(2%以上)も念頭に5年以内に達成を目指す」としました。来年度の予算は6兆円半ばを追求し、5年以内に10兆円超えを目指します。今はまだ、あくまで自民党の提言です。今後公明党との協議も経て、年末までに政府としての正式な方針に反映されます。
ゲッキー) これらの内容が、正式な政府の方針となるように、引き続き自衛官の声の代弁をよろしくお願い致します!ゲッキーも陰ながら応援しています!
宇都隆史(自由民主党参議院議員、前外務副大臣、元航空自衛官)
昭和49年生まれ、鹿児島県出身。平成10年に防衛大学校卒業(第42期)、航空自衛隊入隊。平成19年に政治の道を志して退官。平成22年自民党比例
区で参議院議員に初当選。 |