防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   989号 (2018年10月15日発行)
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防衛省・自衛隊 地方協力本部
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南紀白浜空港開港50周年ブルーインパルスが舞う
<和歌山>
 和歌山地本(本部長・鍋田竜光事務次官)は、9月2日和歌山県知事からの依頼に基づき南紀白浜空港開港50周年記念に伴う、航空自衛隊第11飛行隊によるブルーインパルス展示飛行を支援した。
 会場となった白良浜では、開始前から大勢の人が砂浜を埋め尽くし、ブルーインパルスの飛行を待ちきれない様子であったが、午前10時45分、遂に展示飛行が開始されると、目の前で繰り広げられるダイナミックな演技に、約5万人の来場者が一斉に歓声を挙げるなど終始展示飛行に魅了されていた。
 また、本イベントに併せて第11飛行隊のパイロットによるサイン会も行われ長蛇の列ができていた。
 地本のブースにおいては、海上自衛隊呉地方総監部募集支援班の支援の下、募集説明コーナーやミニ制服の試着などが行われ、多くの学生や親子連れなどで賑わった。
 イベント終了後、来場者からは「初めて見たが迫力があってすごかった」「また来て欲しい」「陸海空自衛官の方と話ができて良かった」などの声が多く聞かれた。
 和歌山地本は「今後も各種イベントを通じ自衛隊に対する理解向上を図り、募集広報に繋げていく」としている。
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ヘリコプター&防災・防犯フェスティバル
<富山>
 富山地本(本部長・山内克己1陸佐)は8月25日〜26日、陸上自衛隊第5対戦車ヘリコプター隊(=明野)、第10音楽隊(=守山)及び第14普通科連隊(=金沢)の支援を受け、クロスランド小矢部において「ヘリコプター&防災・防犯フェスティバル2018」に協力した。
 初日となる25日は台風通過後の雨が心配されたが、朝早くから多くの来場者が自衛隊ヘリの飛来を待ち受けた。富山県家族会女性部も横断幕で歓迎の準備を整えた。曇り空に陽光が差し込む午前9時、対戦車ヘリコプター「AH-1S(コブラ)」が高い運動性能で展示飛行を実施すると大きな歓声があがった。広場に着陸後はエンジンルームが開放されコックピットにも着座できるとあって、人の列が絶えることがない人気だった。
 広場では官・民ヘリコプター多数が展示される中、災害時活躍する車両として高機動車と偵察用オートバイを展示した。「たまに列を作って走っているのを見かけます。これで災害派遣に行くのですか」と質問がある等来場者の興味と人気を集めた。屋内では消防など各種団体・企業等が防災・防犯関連展示を実施した。
 地本は豪雨災害派遣等の写真展示、DVD放映やミニ制服試着、自衛官募集ブース等で会場を賑わせ、特に航空自衛隊VRゴーグル体験コーナーは少年・少女らで長蛇の列となった。
 第10音楽隊は親しみある楽曲の演奏でホール内を楽しいムードで盛り上げ、またAH-1S帰還後には広場の屋外ステージで演奏し、ヘリを見送り少し寂しげだった来場者から大きな拍手を受けた。
 天候にも恵まれた2日間のフェスティバルは、各部隊の支援を得て、来場者に防災意識の向上を促すと同時に自衛隊の存在感と親しみやすさをアピールする大きな機会となった。
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希望を実現するために
<香川>
 香川地本(本部長・河合龍也1陸佐)は、自衛隊援護協会主催により、香川地区合同企業説明会を9月6日に琴平町琴参閣において実施し、47の企業及び26名の任期制隊員が参加した。
 本説明会は、香川県内に就職を予定する任期制隊員等に対し、企業等による説明会を実施して、じ後の再就職活動の円滑化を図るとともに、予備自衛官等制度の普及・促進を図る目的で実施しており、自衛隊援護協会広島支部長の挨拶、隊員挨拶に引き続き、隊員と参加企業との面談を実施した。今年度の隊員は例年にまして面談に対し積極的で、限られた時間のなかで一つでも多くの企業の話を聞こうと休むことなくブースへ足を運んでいた。隊員からは、「多くの企業から仕事内容などの話を聞け、今後の就活の役に立った」「自分の考えを企業の方に伝えることができ理解してもらえた」などの意見を聞くことができ、企業側からは、「各ブースへの隊員誘導が適切に行われていた」「自衛官らしい誠実な態度に好感を持ちました」「非常に良い隊員と面談ができた」「皆テキパキと行動していた」などの意見を聞くことができ、所期の目的を達成するとともに、参加した隊員は再就職に向けて大きな一歩を踏み出した。また、「ワークサポートかがわ」「自衛隊援護協会進路相談員」による進路相談コーナーでの各種相談の実施及び予備自衛官等制度の説明を実施するとともに、今年度から、農林水産省等との連携による農業分野への再就職に係わる取り組みを考慮し、県の「新規就農相談センター」による将来農業を目指す隊員に対する相談等も実施する等、隊員の希望を実現するため、香川地本一丸となって全力で本説明会に取り組んだ。
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おおいたフルブループロジェクト
<大分>

 大分地本(本部長・久田茂将1陸佐)は、8月11日大分銀行ドームで行われたサッカーJ2大分トリニータの試合前イベント「8・11おおいたフルブループロジェクト」に第41普通科連隊(連隊長・山田憲和1陸佐)の支援を受け参加した。
 このイベントは、大分トリニータのチームカラーである「青」の服やユニフォームを着てドームを青色に染め、チームを応援しようというもの。
 当イベントへの自衛隊参加は初めてであり、広報ブースの開設、自衛隊車両展示、人命救助セット及び災害派遣パネル展示を行った。
 当日は、家族連れ等多くの来場者で賑わい、特に制服試着コーナーでは親子連れなどが制服を試着し、オートバイや軽装甲機動車、高機動車をバックに記念撮影を楽しんでいた。
 また、大分県佐伯市出身の俳優・竹内力さんが当イベントを盛り上げるために来場。自衛隊ブースでは、隊員や展示車両との記念撮影に応じ、そのパワフルな振る舞いに来場者も大歓声を上げていた。
 大分地本は、「積極的にかつ創意工夫して今後も募集広報を実施するとともに、地域住民と自衛隊の懸け橋となるべく任務に邁進する」としている。

※役職等は、実施当時のものです。


読史随感
<第15回>
神田淳
武士道のリアリズム

 日本は平安朝の末期(12世紀末)から明治維新(19世紀末)までの700年間、武士の支配する世だった。この間成立した武士の倫理規範が武士道である。それは名誉を重んじ、恥を知り、嘘を言わず、利を軽んじて義と勇と忠を重んじ、なお情けを重んじ、美しく生きる武士の生き方である。武士道は武士階級のノブレス・オブリージュ(高い身分に伴う義務)であるが、広く一般の庶民の生き方にまで影響を及ぼした。
 武士道は武士の生き方そのものであり、倫理規範として体系化されていない。しかし、優れた歴史家の研究によって武士道のエッセンスを知ることができる。
 笠谷和比古著『武士道-侍社会の文化と倫理』を読むと、「事実尊重の精神」が武士道の重要な側面をなしていることがわかる。武士の心性、武士道は空疎な観念的議論を嫌う。事実を重視し、事実認定の根拠となる証拠を重んじる。江戸時代に武士道の書として読み継がれた『甲陽軍鑑』に、そうした事実尊重の精神が顕著にみられる。
 武士道はもともと「弓矢とる身の習い」として発生した戦闘者の倫理である。戦場で生きる武士に最も必要なことは事実であった。嘘、うろんなこと、飾った言葉は戦場では一切通用しない。通用するのは疑いえない事実のみ。必要なものは、敵将は死んだはずだという言葉ではなく、敵将の首である。
 江戸時代、太平の世になっても、事実尊重は武士道の精神として生き続けた。それは事実をありのままに認め、正直で飾らず、嘘を言わないことであり、現実を直視し、結果を尊重する精神である。
 日本人は概して思弁的な形而上学的議論を好まない。そうしたものに信を置かず、原理原則論よりも現実直視の実証的な事物認識の姿勢を好む。そのような気風と武士道の証拠主義、事実尊重主義とは通底していると笠谷氏は言う。
 そして氏は、この点が儒教的ないし朱子学的思考と武士道との決定的な違いであり、儒教と武士道とはその道徳の徳目において多くの共通点をもっているが、根本のところで大きな懸隔を有していると言う。朱子学は事実尊重主義とは言えない。四書五経という書物を根本経典とする形而上学の体系である。すべて書物に文字でもって明記されており、それから逸脱したいかなる議論の余地もないという教学である。
 そして氏によると、日本の明治維新-独立した近代国家建設の成功-にこのような武士道の事実尊重、現実直視のリアリズムがあった。徹底した現実主義と結果尊重の思考が、柔軟でしたたかな戦略的行動を可能とした。一方中国、朝鮮は、あの時期朱子学の観念的、演繹的思考に支配され、リアリズムを欠いていた。
 昨今、憲法改正が活発に議論されている。改憲に反対する人びとの主張に、私はリアリズムを欠いた朱子学的観念論と同じようなものを感じている。19世紀末日本の武士は、世界の現実を直視するリアリストだった。現代日本にもリアリズムは健在で、マジョリティは私を含め、現実重視の憲法改正を是とするだろう。
(2018年10月9日)
  
神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。


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