防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2009年12月15日号
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寄せ書き

母としての挑戦
女性教育隊(曹候補課程) 陸士長 菰田智海
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 この度、私は第76期陸曹候補生として、女性自衛官教育隊に入校しました。
 私が陸曹を志した理由は自分に挑戦するためです。そのきっかけとなったのが、昨年長女を出産し、“母"になったことでした。それは私自身を強くし、勇気を与えてくれました。当初は育児と仕事との両立は難しいと考えていましたが、周りの方々の協力もあって試験に挑戦することができました。
 この入校間での目標は、陸曹としての基礎を確実なものにすることです。私の原隊は地理情報隊であり、野外訓練などの経験がほとんどありません。私はこの3ヶ月で原隊では経験することのできない教育を確実に学び、自分のものにして、これからの陸曹としての土台を作りたいと思います。また、母親になっても女性自衛官として活躍できることを周囲に示していきたいと思います。
 これからの3ヶ月、全ての方々への感謝の気持ちを忘れず、同期と切磋琢磨し絆を大切にして、笑顔で卒業を迎えたいと思います。

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初めての自衛隊音楽まつり
亜細亜大学教授  富田 敏之
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 11月20日の自衛隊音楽まつり第1回公演で日本武道館に行きました。11時10分開演なので10時50分位に到着すれば大丈夫と思っていましたが、入場者が長蛇の列で、この人の多さに驚き、開演まで入場できるか心配になりました。何とか間に合いましたが、満員で座る席が無く、ようやく2階席の端に座ることができました。本番の開演前から人の多さが印象に強く残りました。
 私は音楽や絵画など芸術的センスは持ち合わせてなく、クラシックなどは全くダメです。しかし吹奏楽は素人でも分かりやすく、母校の大学の吹奏楽の定期演奏会には毎年行っておりますので、その意味では今回、自衛隊音楽まつりは初めてであり楽しみにしておりました。
 構成は風林火山という、いかにも自衛隊らしいなと感じました。
 陸・海・空自衛隊の競演と合同演奏、方面ごとの競演、在日米軍の友情演奏、太鼓の演舞、そして時おり女性自衛官のカラーガードで華を添え、めったに見ることができない特別儀じょう、全出演部隊の大合唱など約2時間大変バラエティに富んでおり息をつかせないほどの熱演には大きな感動を覚えました。
 全体を通じて感じたことは、「数は力なり」ということでした。いろいろなところでこの言葉は使われていますが、目の前でこのことが実感することができました。特に自衛太鼓は壮観でした。
 すべての演奏が終わり外に出たら、次の公演の入場待ちの人々が朝と同じように長蛇の列でした。全国からこの公演を楽しみにしているんだなと感じました。そして自衛隊はこんなに多くの国民から応援され期待されていることにびっくり、場内の一体感には肌寒い程の感動を覚えました。
 天気も小春日和で北の丸公園を散策して先の演奏にひたりながら充実した刻を過ごすことができました。

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PACC等を支援して
シス開発隊分析設計隊 1陸尉 佐藤 俊夫
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 本年夏に開催されたPACC(太平洋地域陸軍参謀長等会議。陸幕長と米国陸軍参謀総長が共催)・PAMS(アジア太平洋陸軍管理セミナー。研究本部長と米国太平洋陸軍司令官が共催)を、システム分析・設計者の立場で支援させて頂いた。
 縁というのはまことに不思議なものだ。私の前任地は幹部学校のシステム開発室である。平成13年のPAMSは幹部学校長が担任であったため、私もITに関する協力などでいささか関わりを持った。その後7年間、開催記念として作成された丸く銀色の、「タイムカプセル」を幹部学校の顕彰室に眺めて過ごしてきた。
 平成13年当時、世相はITバブルの余韻冷めやらず、我が自衛隊も「情報RMA(※1)」を標榜し、陸自指揮システムの近代化が始められて時代への対応を進めつつあった。とはいえ、現実のさまざまな業務にインターネットやデジタル機器が本当に溶け込んでいたとまでは言えず、前回のPAMSにおいても、ITといえば携帯電話を活用したこと、低速回線のインターネット端末を各部署で活用したことくらいであったと記憶する。今次は、行事計画段階で、私の所属する分析設計第3班が年来研究してきた「災害等情報共有ツール(※2)」を活用するという方針が示された。事務局のニーズには、携帯電話のGPS機能をインターネットを通じて利用するとある。エスコート担当者など100名近い要員の配置を指揮所で常時把握するためだ。災害等情報共有ツールには、簡単なGPS利用機能があったものの、このような使用方法に適うものではない。以前からこうしたニーズが伏在すると考えていたこともあり、これを機会に携帯電話でGPS測位をするプログラムを私が製作することになった。
 製作には半年以上かかり、出来上がりも拙く、本番では現場のエスコート担当者に申し訳ないと思った。しかし、現場の方々の努力により情報保証事故などを出さずに済み、また帝国ホテル現地に派遣された同僚の志賀1尉が熟練の腕前でサービスレベルを維持して高評価を頂いた。そのお陰で私の腕前の悪さは何とか御目こぼしにあずかり、ほっと胸を撫で下ろしている。
 ITは飛躍的な発展を遂げており、今次のような内容でのインターネットや携帯電話の活用は、わずか8年前のPAMS開催当時から見てさえ、思いもよらなかったことだ。そこから推測すれば、仮に私が次回のPACC・PAMS支援にも関わるとすると、現時点では考えもつかないような内容の支援になることだろう。前回PAMSから今次までの8年間、技術者の端くれとして何とか流行のテクノロジーについてくることはできたが、次回開催まで、更に加速進化するITについて行けるかどうかはなんとも心もとない。だが、引き続き現場勤務を標榜するならば尚のこと、技術の進展に遅れをとってはならないと肝に銘じている。
 ※1 情報RMA…情報技術を中核とした先進技術を軍事分野に応用することによって生起する装備体系、組織、戦術などを含む軍事上の変革のこと。
 ※2 災害情報共有ツール…災害等の情報収集する手段として携帯電話などを利用して位置情報・画像等をインターネット経由で共有するもの。

活躍するOB シリーズ
「頑張っています」新しい職場
退官後は"やりがいの創出"を
(株)大隅  岩 田 進
岩田氏は平成13年、支援集団航空保安管制群を1空尉で定年退職。62歳
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 私が、葬祭業を営む(株)大隅に入社したのは、亡くなった部下の葬儀委員長として「おおすみ会館」を利用した際、儀式を整斉と進行させているスタッフの姿に感動を憶えたからです。ちょうど定年を間近に控えて就職活動を行っていたので、航空管制官としてパイロットの生命を守ることに専念してきた自分が、今度は「亡くなった方の最後を見送る究極の儀式を守る」手伝いが出来ることに魅力を感じました。
 (株)大隅は、山口県央部で大隅企業グループのタクシー、観光旅行・貸切バス、自動車修理や歴史美術館まで幅広い事業を展開している中の会社の一つです。
 特に葬祭業は、高齢化社会にあって注目されているばかりでなく、先祖を敬い家族を正しい道に導く精神性の復活に寄与できる重要な仕事であると思っています。更に、KKR特約葬祭業者でもあり、年金受給者協会からも指定を受けています。
 仕事は、遺体の搬送から葬儀の打合せ、式場の設営、取引業者への外注、葬儀式の施行、集金に至るまでほとんどOJTの中で習得していきます。その他に、ISO9001/2000(サービス業に関する品質管理)の認証取得に向けてマニュアル作成に携わり、品質管理責任者及び管理本部長を経て、執行本部長として今日に至っています。
 一方、仕事での苦労としては、元来、ストレスがストレス解消の薬と感じているのですが、55歳を過ぎての深夜出動、特に雨天や降雪時には体力的に負担を感じるようになりました。また、中小企業にありがちな経験則がものを言い、文書や契約書での会話が通じないのには困りましたし、幹部も管理教育を受けないで昇進しますから現場中心に偏り、トップマネジメントに目を向けさせるのに四苦八苦です。
 最後に後輩への教訓として、自衛官の現役は50歳代ですが、私たちは残りの人生30年以上を生きなければならないので、より成長できる生きがいを見出すべきです。つまり、現役時代は、よりよく生きるための訓練期間であって、一般社会で収益事業に携わるときこそ能力発揮する実践の場と位置付けて「やりがいを創出」してください。

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