11月11日、防衛監察本部(櫻井正史防衛監察監)は「平成20年度定期防衛監察の結果」を公表した。この報告書は、防衛大臣の命を受け平成20年度に実施した「秘密情報等の流出防止」「入札談合防止」「自衛隊員倫理規程等の遵守状況」及び「法令遵守の意識・態勢」の定期防衛監察の結果について取りまとめたもの。(全文は防衛監察本部ホームページに掲載)
この報告書によると、「秘密情報等の流出防止」では、実地監察(9機関、計53部署)の結果を踏まえ、可搬記憶媒体を紛失した場合の報告手続きや保有個人情報を可搬記憶媒体に格納する場合の暗号化等、情報流出防止に関する規則類の見直しが必要とされたほか、情報流出防止に関する業務量の増加に伴い、専従の職員を配置するなど人員配置見直しの必要性に加え、個人情報の保護に関する教育、情報保証に係る人材育成等の強化について指摘している。
「入札談合防止」においては、装備品等及び役務の地方調達並びに建設工事に関する施策等を対象としたアンケート(9機関、2015名)と実地監察(5機関、計5部署)の結果を踏まえ、入札談合防止に対する意識を高めるとともに関連法令等を理解する上での研修や教育等の強化が必要とされたほか、一般競争入札の拡大、新規参入の拡充等を通じた競争性の更なる確保の必要性に加え、不正防止を図るための契約・原価計算等各業務間における相互牽制機能を強化するための検討の必要性などについて指摘している。
一方、「自衛隊員倫理規程等の遵守状況」では、調達関係業務に従事する職員を主体とした実地監察等(11機関、530名)の結果、倫理規程等に違反する行為は確認されなかったとされた。
また、「法令遵守の意識・態勢」では、航空自衛官による民間企業の懸賞論文への応募に関する実地監察(1機関、15部署)等を実施した結果、懸賞論文の応募に関する一連の行為は、一民間企業の活動に対して組織的に協力したとみられても仕方のない行為であり、部外者の活動に協力する場合は、当該活動に公益性があるか、行政の中立性・公正性が損なわれないか等を慎重に検討すべきとされたほか、歴史を用いた教育は、教育内容や方法によっては、特定の歴史観の教育まで踏み込む恐れがあるため慎重な検討が必要と指摘している。 |