11月14、15の両日、千葉ポートアリーナで開催された平成21年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会において自衛隊体育学校から男子4人、女子6人が参加し、平井希2曹が63kg級で優勝、國原頼子2曹が女子70kg級、池田ひとみ2曹が女子78kg級で準優勝。男子60kg級では準決勝で和泉強志2曹との同門対決を制した浅野大輔3尉が準優勝の成績を収めた。 (女子63kg級) 平井は幼少の頃から各種大会で活躍し天才少女として名を馳せ、大学でも活躍してきたが、ただ一つ足りないのは、この講道館杯という日本一のタイトルだった。平井の63kg級はオリンピック金メダルの谷本歩実や世界選手権優勝者の上野順恵がいる中で、平井は常に2番手の存在で、谷本がこの階級で戦わないことを宣言している今、平井の目標は上野越えだ。その上野が出場しない今大会、平井は優勝以外は許されないという状況で試合に臨んだ。「2回戦、3回戦は緊張しすぎたのと低血圧のせいで中々エンジンがかからず、体が動かなかった」が、なんとか優勝候補の貫禄を見せ勝ち上がると、準決勝は4月の選抜で破っている谷本育美(歩実の妹)。午後になりようやく平井らしさが出始め、開始3分8秒で技ありの小内刈りを決め、この半年間での成長ぶりを示した。続く決勝では、大学時代あまり分の良くない田中美衣選手との決勝。開始19秒で得意の小内刈りで有効を奪ったが、指導のアドバンテージを相手に与え、有効1対1のままゴールデンスコアに突入。しかし、負ける訳にはいかない、平井はゴールデンスコア1分19秒に、最後はやはり伝家の宝刀得意技小内刈りで技ありを決めて初優勝を飾った。しかし、今回の大会には上野順恵はいない。勝って当たり前の状況であることは本人も分かっている。テクニックやパワーで劣っている訳ではない。平井本人は「気持ちの問題」だという。「来年と言わず今シーズン残された国際試合で、絶対に上野越えを果たしたい、この優勝経験がそのきっかけになるだろう」と平井は語った。その言葉通り翌週には中東アラブ首長国連邦で開かれるグランプリ・アブダビ大会が控えている。国際ランキング上位者が集まり真の実力者世界一を決めるマスターズ選手権を目指し、試合後、平井は勝利の余韻を味わうことなく新たな戦いに出発した。
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