防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2009年12月1日号
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外山衛生監督(日本代表)ら8人が出席
国際軍事医学総会
101カ国、マレーシアに集う
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 外山千也大臣官房衛生監を団長とする日本代表団が、10月5日から7日までの3日間にわたってマレーシアのクアラルンプールで開催された第38回国際軍事医学会総会に出席した。日本からは衛生監以外に後藤謙和防衛省人事教育局衛生官付部員、瓜生田曜造海幕首席衛生官、石川誠彦1等空佐、ヌ田成雄航空医学実験隊1佐、西田育弘防衛医科大学校生理学教授、床野聡2等海佐らが参加し、開会式には在マレーシア日本大使館の長谷場修也防衛駐在官が出席した。
しお政府代表委員に外山千也衛生監
 日本は、昭和31年に外務省、防衛庁の共同請議により閣僚決定を経てこの国際軍事医学委員会(International Committee of Military Medicine:ICMM)に加盟した経緯があり、現在の政府代表委員には防衛省大臣官房衛生監が任命されている。国際軍事医学会議は、同委員会が加盟国の代表者を集めて2年に1回定期的に開催している総会で、軍事医学の専門家同士の意見交換の場として、重要な役割を果たしている。
盛大に開会式典
 10月5日午前8時30分、オープニングセレモニーの会場となったコンベンションセンタープレナリーホールのステージ上は豪華絢爛な花々で埋めつくされ、世界中からの各国代表団が勢揃いした。冒頭、迫力ある戦闘状況のシーンを集めたビデオ上映、野戦での心肺停止患者をモチーフにしたアトラクション、101カ国に上る全加盟国の国旗を掲げた入場行進が観客を魅了した。それに引き続く開会式では、前回総会開催国チュニジア代表から今回開催国のマレーシア代表へ委員長交代の儀式、ジャック・サナブリア国際軍事医学委員会事務総長による挨拶とマレーシア軍ダトウ健康局長による開会宣言があった。
 5日の総会では、新規参加国について今回ニュージーランドが意思表明のプレゼンテーションを行い、オブザーバー国がこれを承認した。また、技術委員会、国際作業部会の長官から、2007年7月アルジェリア、2008年9、10、11月ウルグアイ、ローマ、マレーシア、サンアントニオで開催された科学会議活動報告が行われた。そして、国際作業部会の答申書に基づく科学会議の機能に関する規約(第19条及び20)の簡便化と国際作業部会の報告に伴う科学会議の機能に関する内部オーダー規則の提案がなされ承認された。さらに、世界の各地域における作業部会(RWG:全米、汎アフリカ、北西アフリカおよび汎アラブ)個々の議長からの報告があり、2010年に予定されている各地域作業部会(アフリカ:コートジボアール、アメリカ:ニカラグア、アラブ:サウジアラビア、ヨーロッパ:ロシア)の紹介が行われた。また、中国がアジア地域作業部会(RWG)の設立を提案し、この学会開催期間中に意見取り纏めを行うことを表明した。これについては、アジア地区作業部会設立のための特別会議が別途開催された。この特別会議では、これまでアジア豪州地区には存在していなかった地域作業部会について、中国からその設立の提案が行われた。これに対して、外山団長から「日本がアジア豪州地区RWGに参加することについては前向きに検討したいが、正式な返事は、日本に帰って組織内での協議の後となる。また、会議に参加するには、参加費用等に関する事業予算の確保が必要であるので、公式案内は時間にゆとりを持って提示して欲しい」との発言があった。
初の円卓会議
 6日の総会では、今回初の試みとして各国代表団長のための円卓会議が行われた。2つの主題(それぞれ主題の専門家によって紹介される)について議論が行われた。1つ目の主題は、感染症についてのWHOとの連携協力の在り方で、GEIS(Global Emerging Infectious Surveillance and Response System)と呼ばれるアメリカ国防総省所管の世界的な新興感染症の監視システムに支援された世界保健機関(WHO)との協力について話し合われた。WHOの担当官から、「GEISとWHOとの協力の提案について」、米国防総省(DoD)担当官から、「GEISについてのシステムの概要や関係機関の紹介、検査対応状況等について」の講演後、各国代表団長を交えた意見交換が交わされた。この中で、外山団長から、「透明性と中立性が保たれている限り、GEISがWHOと協力する提案については支持する」との発言があった。2つめは、災害・PKO時の紛争地域における医療支援の実施問題等について、平和維持活動および災害救急援助活動状況の間に、武力紛争の法律および国際法の適用から生じる問題が議題になった。その中でジュネーブ条約、国際人道法等、国際法の法的枠組みとそれを実際には必ずしも遵守していない紛争地域における現実に対して、どのようにして問題解決に向けた取組ができるかが話し合われた。
 7日の総会では、会計委員会の報告が行われ、UNAIDSとUN DPKOが、「ICMMは、2010年の国連安全保障委員会に対して、データの収集、加盟国からのHIV/AIDS情報を特段配慮しつつ、UNAIDS、DPKOと他のパートナーと緊密に連携をとりながら、報告をするべきである。ICMMは、軍におけるHIVテストに関して、高いレベルの専門家を招集することと、紛争地における女性に対する性的暴力を防ぐことに特段配慮しつつ、UNAIDSと米国防総省の指導で未知のサービスに関するグローバルタスクフォースと緊密に連携すべきである」とICMMに勧奨するプレゼンテーションを行った。次回の国際軍事医学会議総会開催国についてナイジェリアとガボンが立候補し、2011年の次回総会は、ナイジェリアでの開催が決定した(代表団記)。


倫理観の高い組織へ
コンプライアンスセミナー開催
《装施本》
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 11月18日、市ヶ谷駐屯地(装備施設本部大会議室)で装備施設本部の平成21年度コンプライアンスセミナーが開催された。
 このコンプライアンスセミナーは、調達事務における公正性、透明性の確保を徹底させるため、職員のコンプライアンス意識の一層の強化及び倫理観の育成を図ることを目的として、昨年度から装備施設本部の全職員を対象として実施しているもので、今回が2度目。
 当日は、幹部職員(行1 7級以上の事務官等及び1佐以上の自衛官)等64名に対し、装備施設本部の岡崎匠本部長が「コンプライアンス意識の強化は、組織が一体となって継続的に取り組んでいくことが不可欠であり、全職員が、世の中の常識からズレることなく、社会環境の変化に対応できるようにするとともに、職員自身が自覚的にコンプライアンス意識を高めることにより、倫理観の高い組織風土を醸成する必要がある。幹部職員として、本セミナーを自分のものとして、それを内面化するとともに、それぞれの職場において、職員一人一人に、コンプライアンス意識が浸透し、それが組織風土として定着するよう、尽力されんことを強く希望する」と、このセミナーの開催趣旨及び要望事項について訓示した。
 この後、講師の公正取引委員会事務総局経済取引局南部利之総務課長が「独占禁止法及び入札談合等関与行為防止法」と題して講演。南部氏は、まず、入札談合とは何かを独禁法の条文に沿って明らかにしたうえで、被害者の立場になり得る発注側としては、常に入札談合の未然防止に努めること、そして、近年、社会的批判の高まっている発注側の一部の者が加害者に加担するという官製談合に焦点を当て、防衛施設庁談合事案などを取り上げながら入札談合等関与行為防止法の解説を行い、「組織として常に危機意識を持つことが必要である」などとして、入札談合防止の留意点などをきめ細かく説明した。
 次いで、防衛監察本部の南部晋太郎検事が「コンプライアンス」をテーマに講演。防衛省、自衛隊に向けられた国民からの厳しい視線に応えるため、なお一層のコンプライアンス意識の向上に向けて組織的、継続的な取り組みの必要性を説き、特にその際に管理者の果たすべき役割の重要性を強調した。
 さらに引き続いて、国家公務員倫理審査会事務局藤井伸章参事官が「公務員倫理」と題して講演。公務上で直面するさまざまな場面を取り上げ、公務員として陥りやすい問題事例について国家公務員倫理法の観点からわかりやすく解説を行い、最後に、職員の職務に係る倫理の保持のための通報制度を前向きに運用するよう述べ、講演を結んだ。
 装備施設本部では今後、当日の講演内容を基にして、年内に本部の幹部以外の全職員が受講するよう同セミナーを開催していくとともに、各地方防衛局等の中央調達の事務を処理することを命ぜられた職員等に対しても同様に実施されるよう手続きを進めていくこととしている。

国際平和協力活動機能別訓練を実施
《弘前駐屯地》
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 第39普通科連隊(連隊長・吉田圭秀1陸佐)は11月5日から9日までの間、平成22年4月から9月まで指定される国際平和協力活動に必要な訓練を段階的に実施して、その練度を向上するため、機能別訓練を王城寺原演習場及び多賀城駐屯地で実施した。
 警備中隊要員が拳銃、小銃の至近距離射撃、シミュレーター訓練、LAVのガナー要員がMINIMI車載射撃、隊本部要員が小銃基本射撃、全隊員を対象にWAPC・LAVの操縦訓練、そして空き時間を有効活用してガンハンドリング、救急法を演練した。
 各隊員が改めて、射撃の重要性を認識するなど、第1次訓練として大いに成果を挙げた。

ヘリで空の散歩
《八戸駐屯地》
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 八戸駐屯地(司令・吉田賢一郎1陸佐)は11月7日、駐屯地周辺の部外協力者らに対して自衛隊の任務に対する理解を深めてもらうことを目的に、航空機体験搭乗を実施した。
 この日、駐屯地には今回各部隊から推薦された部外者43人が朝早くから続々と訪れた。
 司令業務室長の挨拶後、今回フライトを担当する第9飛行隊による搭乗安全教育を受け午前9時からフライトが開始された。この日は良く晴れた絶好のフライト日和となり、UH―1Jに乗り込んで八戸市内上空のフライトを体験した参加者からは「八甲田山の雪まで見えた」「乗り心地が良かった」等の声が上がって、体験搭乗は好評のうちに終了した。

第21海軍航空廠殉職者慰霊祭を支援
《海自大村航空基地》
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 第22航空群(群司令・中田芳基海将補)は10月25日、第21海軍航空廠奉賛会(神近義光会長)の依頼を受け、大村市内慰霊塔公園で実施された第21海軍航空廠殉職者慰霊祭を支援した。
 これは、昭和16年10月、当地大村に開庁された第21海軍航空廠殉職者の御霊に対し毎年執り行っているもので、今回で48回を数え、第22航空群は、儀仗隊、ラッパ吹奏等を支援した。=写真
 第21海軍航空廠は、昭和16年に開庁し逐次施設を増設、当時は東洋一の航空機工場と言われ、多くの工員、軍人、学徒ら関係者が働いていたが、太平洋戦争末期の昭和19年10月、米国の「B―29爆撃機」大編隊61機の空爆により壊滅的な打撃を受け、多くの工員らが犠牲になった。
 今も奉賛会を中心に全国各地から多くの関係者が参列し、亡くなられた御霊に対し毎年慰霊している。

 〈訂正〉11月15日号10面「射撃野営に参加して」は「英語弁論大会に参加して」に、亀井真亮陸士長は岡田祐輔陸士長に訂正します。写真は岡田陸士長でした。お詫びいたします。


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