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   2005年10月1日号
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<空自>
救難戦技競技会を実施
小松隊、優勝に輝く
初の女性操縦士ペアも参加
 平成17年度航空救難団飛行群救難戦技競技会が9月2日から9日までの9日間にわたって空自芦屋基地で実施された。参加部隊は、全国10個救難隊のうち大会運営部隊の芦屋救難隊を除く9救難隊(千歳、秋田、松島、百里、新潟、浜松、小松、新田原、那覇)で、捜索機(MU-2、U-125A)搭乗員4名、救助機(V-107、UH-60J)搭乗員5名、整備員2名の計11名、総計99名が競技に参加した。
 競技内容は▽飛行(洋上での複数目標捜索救出)=指定された時間内に、各救難隊が自隊保有の捜索機と救助機を使用し、洋上で救助を求める複数の模擬遭難者を、いかに多く救助できるかを競う競技▽夜間陸上行動(救難員の競技)=夜間陸上部に遭難した操縦者を、各救難隊ごとの救難員が3名1組で捜索救助し、安全地点まで搬送する時間を競う競技(ナイト・ビジョン・ゴーグル着用)▽整備(整備員の競技)=@整備員が駐機場に進入する航空機を誘導し、正確な場所に停止させる競技A航空機に見立てたトレーラーを限られた範囲内でけん引移動させ、時間と正確さを競う競技の3項目で、それぞれの競技ごとに点数を付け、その総合成績で順位を決定した。
 各隊とも、存分に戦技を発揮し、接戦の結果、小松救難隊が優勝、準優勝は百里、第3位に新田原が輝いた。
 なお、松島救難隊は主席、副席操縦士が2名とも女性自衛官である捜索機(U-125A)を参加させた。救難競技会に女性自衛官操縦士がペアで参加するのは初めてのことで、以下、その手記を紹介する。

救難団飛行群戦技競技会に参加して
松島救難隊 1空尉 岩永麻奈美
 「機長は、岩永しかいないからな!頑張れよ」平成17年度航空救難団飛行群戦技競技会の構想が送られてきた際の、先輩からの言葉である。この時点で、私の2度目の戦技競技会(以下、戦競という)への参加が決定した。実は、昨年の戦競も副席(初級)として参加させてもらったため、今回は、2度目であった。
 約1ヶ月後、我が松島を含めた各隊の戦競のメンバーが確定した。我が松島救難隊は、固定翼機長は私、副席・角谷1尉である。角谷1尉は、1期後輩の女性操縦士である。これまでにも2人で、『WAFフライト』は何度もやっている。特に何も変わらない。強いて言えば、2人の無線を通じた声の区別がつかない事くらいだ。そんなことは、私たちには関係ない。その後、メンバーによる戦競訓練が開始された。
 そして、戦競への出発。救難隊員全員に見送られ、芦屋行き特別便C-1に乗り込んだ。すっかり気分は、戦競モードだ。芦屋に到着したが、台風により2日間の延期を余儀なくされた。さすがに、この強風豪雨の中に、緊張感を持続させるのは、難しい。自分の中の戦競モードを、一時スタンバイさせた。台風通過翌日の午後から、2日に渡って競技が開始された。松島は2日目の最後から2チーム目である。初日は3チームのみであった。台風の影響で、洋上のうねりが大きいらしい。「やっぱり」という思いそして、私の頭を駆けめぐる「明日もか?」という不安。テレビ等の気象情報に釘付けになったことは“言うまでもない。そして翌日、天候は晴、雲等も問題ない。ただ海象は、まだ台風の影響を受けている模様だ。でも、状況はどのチームもほとんど同じである。『やるしかない!』のだ。そんな私たちの航空機に飛行群司令が同乗されることになった。「戦競初の、WAFフイトだしな。ガッカリされることがないようにしなきゃ」という気負いがあったのは、確かである。しかし、いざ競技が始まってしまえば、そんなことは、きれいさっぱり忘れていた。考えることは、「機長として何をすべきか」それだけであった。
 捜索指示受領後、捜索開始。1つ目の目標は、すぐに発見できた。UHも救助までの時間がいつもより早い。こちらも負はずに、2つ目も順調に発見。「おっ、練習の成果か?」と思ったのも束の間、3つ目が見つからない。「やはり、この波じゃレーダー捜索は限界か?風下、いや風上?…目視に切り替えるタイミングは…。風も強くなってきたな。風下に流されたか?…太陽も西に傾いた。このルートは逆光に入ってしまう」等、自分なりに様々なことを考えた。時計は、常に同じく時を刻むのだがこのときばかりは、瞬く間にすぎていった。そして、タイムアップ。結局、2つ目の目標までしか見つける事ができなかった。
 結果は飛行部門、最下位であった。正直、悔しい。しかし、もっとやれたとは言わない。自分のできる限りのことはやったつもりだ。だから、悔いはない。
 ただ見つからなかったのは、自分に不足しているものがあるからなのだ。技量然り、精神力だ。実は、飛行終了後にキャビンに言われた。「岩永1尉、初めの方、声のトーンが若干高くなってましたね」と。機長は、常に平常心でなくてはならない。それなのに…、全く恥ずかしい話である。
 今回、機長として戦競に出させていただき、戦競を楽しむ事ができ、そして自分に不足するものを改めて知ることができた。今回の戦競では負けたが、今回の教訓を今後に活かす事が、私の一番の成果だと思う。そして、実任務の現場で、目標未発見などとならないよう、今後とも精進していこうと思う。また、次に戦競出場の機会があれば、私には「優勝」しかない!!


クウェート陸軍少佐が剣道初段合格
空自派遣隊員の指導受ける
 8月27日、防衛庁体育館で空自クウェート派遣隊の要員から剣道の指導を受けたクウェート陸軍のヒシャム少佐(42)が昇段審査を受験し、クウェート人初の剣道初段を取得した。
 ヒシャム少佐は、かねてから日本剣道の修得を希望し、日本大使館に指導者等の有無について問い合せを行っていたが、クウェートには指導できる者がいなかったので、インターネットを通じて防具や英語版の教本を入手し、独学で稽古に励んでいた。そのうち、第1期クウェート派遣隊に警務隊長として参加した藤戸武治3佐(現芦屋警務隊長)が剣道の高段者(錬士7段)であることを知った日本大使館員の紹介により、昨年3月から藤戸3佐の指導を受けることになった。また、藤戸3佐は新田派遣隊司令の後援を受けて、第2期前段派遣要員の剣道経験者とともにアリアルサレム基地剣道部を発足、毎週土曜日16時からヒシャム少佐への指導を実施した。1カ月後に藤戸3佐は帰国したものの、ヒシャム少佐に対する剣道指導は現在の7期派遣隊まで継続して行われ、今回の初段受験に至った。
 この日午前10時、東京都自衛隊剣道連盟(会長・阿部情報保全隊副司令)主催の昇段審査が始まり、ヒシャム少佐は段位取得を目指す約50名とともに「試合審査」「型審査」を受験し、見事合格した。審査会場で合格発表を受けたヒシャム少佐は「来年は2段を取得したい」「クウェートの人たちにも広めたい」など、抱負を語った。
 なお、この日の会場には、藤戸3佐のほかクウェートで共に汗を流した隊員十数名も全国から駆けつけ、旧交を温めていた。

<論陣>
世界の原油危機を救えるのか
一部には金もうけ話も
 いま世界の注目を集めている"原油高"は、さきにアメリカ南部を襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」で同地域に集中している精油施設、備蓄タンクなどが壊滅的な被害を被ったためだといわれているが、実は、その前に夏の初め頃からアメリカ・ニューヨークの石油先物市場や、各商社の、石油先物取引室で"金もうけ"を狙った相場が先行し、「カトリーナ」来襲とは関係なく原油先物値段はすでに異常というほど上昇していたのである。確かに「ハリケーン」で備蓄が大幅に減少したのは直接の原因だが「ハリケーン襲来前」に"市場取引"で原油価格が異常に値上がりしていたことは、専門家が知るだけで、一般にはほとんどくわしくは知らされていなかったのが実情である。いまひとつ、日本側から見るとガソリンの小売値段面で、こんどの大騒ぎが、なにかいまひとつ割り切れないものを感じる。というのは「ガソリン」の値段が高騰し、市民生活に大打撃といわれているが、日米ではガソリンの値段が違う。大騒ぎのアメリカは9月中旬で1リットル78円から85円。これに対して日本の値段は1リットル129円から130円。日本のほうがずっと高いのである。備蓄施設が大きく被損したアメリカを助けるという気持は分かるが、気持ちとしてはちょっと複雑である。アメリカのガソリン安の理由は原油の輸入元がサウジアラビア、クウェートなどさきの湾岸戦争で手を結んだ国ぐにが主。日本はアラブ首長国連邦、サウジアラビア、シンガポールなどが輸入元になっており、仕入値に差があるのである。
 アメリカは世界一の石油消費国である。世界の消費量の4分の1はアメリカで消費されている。"車社会"のアメリカでは当然のことだし、工業生産高を見てもはっきり裏付けられる。
 原油値段上昇の原因はあとふたつあるといわれている。ひとつは経済的に大躍進を続けている中国である。「先進国に追いつけ」とばかりに中国は、いま、各種工業を大発展させようとしている。もちろん、その基礎になるのは近代的工業設備投資である。このところ年間、1兆円規模の工場建築が相次いでいる。インフラ(社会基盤)の設備もすごい。道路、港湾、空港、病院などの増新設は文字どおり「国を挙げての努力ぶり」が目に見える。その上、中国は2008年に北京オリンピックを開催する準備に大童わである。各種競技場、宿泊設備、輸送手段など、どれひとつとっても"お金のかかる事業"である。その裏付けとなる資金を稼がなくてはならない。工業近代化を急ぐ理由のひとつはそこにもあるのである。
 原油高の原因のいまひとつはロシアではないかと思われる。もっとも中東産油国も以前のように増産する態勢はみせていないが、それよりも、ここ数年、世界屈指の産油国になったロシアが、この金もうけのチャンスに手をこまねいている不思議さである。よく調べてみると、世界が「原油高」と騒げば騒ぐほど原油の値段はどんどん上がる。ロシアは、なにもしなくても、いままでの日産量さえ汲み上げて外国に輸出していれば、これまでに比べて40%も60%も多くの現金が転がり込んでくるのである。余分に入ってきたお金で新型戦闘機や潜水艦などを作り、これまでのルートに従って中国などの諸国に高い値段で売れば、二重にも三重にも稼ぐことができるという訳である。特に、つい先ごろ中国とロシアは合同演習を大々的に展開した。中国にとっては、目の前で見せつけられるロシアの新兵器は魅力の塊だったことだろう。最近、ロシアの戦闘機、ディーゼル潜水艦を中国が購入したとの情報がある。ロシアにとって中国は、いまや最大手のお得意さまかも知れない。
 原油高騰を防ごうと国際エネルギー機関(IEA)は、加盟26カ国から日量200万バレルを市場に緊急放出させることを決めた。IEAが決めたのは各国の民間が備蓄している石油のうち総量730万バレルを放出するというもの。放出先は各国の石油市場で、これによって高騰を少しでも防止しようというものであった。期間は一応、1カ月間。もちろん、日本も経済産業省、資源エネルギー庁が中心になって国内の民間石油会社に備蓄を義務づけていたガソリンなど石油製品を1日に24万バレルずつ市場に放出させることを決め、9月10日ごろから実施した。民間に備蓄された石油が放出されたのは1991年の湾岸戦争以来のことである。
 ただ、日本をはじめ各国の善意放出が果たして石油高を押さえられるかは甚だ疑問である。"金もうけ"連中の「餌食になってしまい、善意が逆用されそうだ」と心配するむきも多い。そんな心配にもうなずける情況である。

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