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自衛隊ニュース   911号 (2015年7月15日発行)
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27年度自衛隊統合防災演習を実施
首都直下型大地震を想定、約7千名が参加
 6月29日〜7月3日、防衛省・自衛隊は「平成27年度自衛隊統合防災演習(27JXR)」=統裁官・河野克俊統合幕僚長=を、関係府省庁、地方自治体、指定公共機関、在日米軍等を含む人員約7000名で行った。今年の訓練は3年ぶりに「首都直下地震」の発生を想定。自衛隊首都直下地震対処計画に基づき、指揮所演習及び実動演習を実施した。自衛隊の震災対処能力の維持・向上を図るとともに、実効性の確認及び充実を図った。
 6月29日、午前10時13分、マグニチュード7・3、最大震度7の地震が都心南部直下で発災。大規模火災や家屋倒壊等により、東日本大震災を上回る死者約23000名、全壊約61万棟の被害が想定された指揮所演習および実動演習が4夜5日にわたり実施された。
 6月30日、防衛省第1省議室で行われた「防衛省災害対策本部会議」で中谷元防衛大臣は「今後更に救援活動を迅速かつ効果的に実施していくために指揮を一元化し、陸海空を一元的に運用できる態勢に速やかに移行する必要がある」とし、同日15時30分、陸海空自統合の「災首都圏統合任務部隊(JTF)」が朝霞駐屯地で編成された。「激甚被害地区を重視し、組織的に人命の救助、行方不明者捜索、生活支援、復旧支援等を実施。この際、各自治体等との密接な連携を保持」という対処方針のもと、磯部晃一陸自東部方面総監がJTF指揮官となってJTFを指揮した。
 報道公開された体育館では日米連絡調整所、施設調整所、救援物資輸送調整組織、衛生部等7つの組織が開設・運営されて陸・海・空自衛官による諸調整、在日米軍との調整が実施された。日米連絡調整所では、在日米軍21名が参加した。また、本演習では指揮所訓練支援システム(ICE)というシミュレーターを用いて指揮幕僚活動を演練した。これは、プレイヤー(演習参加部隊の司令部等)から下された命令をゲーマー(隷下部隊等)がICEに入力し、導き出された摸擬結果をもとにプレイヤーが状況判断を行い、再度命令を下す、というサイクルで行われる。モニターは通行不能を表す赤線で埋め尽くされ、一目で甚大な被害状況が見てとれた。
 実動訓練ではJTFへの増強幕僚の移動を実動で実施。また発災直後、現地調整所要員が都庁に派遣され、連絡調整にあたる様子が報道公開された。29日午前11時40分、第1師団副師団長・吉見隆陸将補や連絡調整要員、資材を乗せて朝霞駐屯地を出発したUH—60が東京都庁ヘリポートに着陸。入れ替わり20分おきに同機種2機が到着。東京都現地調整所で都の関係機関との調整や各地調整所・各部隊とのテレビ会議が行われた。発災直後の人命救助を第一とした即時救援活動が求められる状況の中、調整所は緊迫した雰囲気に包まれていた。なお、JXRで、自衛隊機が都庁ヘリポートに離着陸するのは今回が初めての事である。翌30日には足立区舎人公園を活動拠点とし、第1広報支援連隊衛生隊等が参加して災害拠点病院及び自衛隊中央病院へのヘリ搬送や救護訓練等を関係機関と連携して行った。
 27JXRは、検証資料をもとに、7月9日にJTFとして、7月28日に自衛隊全体として研究会を開く。その後計画の見直しに反映されることとなる。

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