心技体三位一体で人間形成を目指す日本古来の伝統格技、武道。陸海空自衛隊は、各種武道の全自衛隊大会、陸自各師団・旅団や海自、空自で実施する武道競技会などを通じて、人的強化に努めている。
「尚武重忠」の国柄
武道競技会など盛んに
「キェーイ!」ーー。東京・九段の日本武道館に響く裂ぱくの気合。銃剣道の全日本大会は例年、4月に団体戦(5人制)の優勝大会、8月に最強剣士を決める個人戦の選手権大会などが行われる。(2020、21年はともに中止)
七つの全自大会
優勝大会は陸自連隊等を基準とする100を超えるチームが頂点を目指す。過去には陸自普教連(滝ケ原)が3連覇したことも。空自チームも上位入賞に迫る健闘を見せている。
各都道府県連盟から選出された高段者が競う選手権大会は、どの試合も接戦となる。本戦で決着が付かない時の延長戦は、実戦では戦いの時間に制限はない、との観点からどちらかが一本を取るまで時間無制限で行われ、30分を超える試合が見られることも。
武道統括団体の日本武道協議会(東京都千代田区)に加盟する武道(団体)は、銃剣道、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなたの九つ。このうち相撲となぎなたを除く7競技で全自衛隊大会が開催されている。
剣道の団体戦(5人制)は、北熊本や別府をはじめとする陸自西方の駐屯地・部隊が強い。柔道の団体戦(5人制、3人制)は国分、空挺団(習志野)など陸自勢のほか、横須賀、木更津など海空自チームも活躍している。
一方、空手道は、全自大会の組手・型両部門の上位入賞者が体育学校(朝霞)で行われた「空手基幹要員集合訓練」に参加。空手が初めて採用された「2020東京五輪」への出場を目指した。
部隊代表し挑む
武道競技会も盛んに行われている。陸自は師・旅団、連隊等などで実施。銃剣道や徒手格闘から移行した拳法などの練度を競う。
海自はおおむね2年に一度、海自武道大会(柔道、剣道)を実施。横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊の各警備区代表が訓練成果を試す。空自は同じく3年に一度、空自武道大会(柔道、剣道、銃剣道、拳法)を行い、各航空方面隊・集団等の代表が競う。
明治維新の先駆け、橋本佐内は書簡で日本の国柄について触れ、「神皇(初代神武天皇)の御遺烈必ず尚武重忠の四字に限り申し候」と記した。尚武の不動の心で国体を守るため、令和のもののふたちが今日も武を錬成する。 |