平成最後の12月も残り少なくなりました。
読者の皆さんの2018年師走。「あっという間だったなぁ」それとも「やっとだ」でしょうか?
すぐには思い出せないほどいろいろな出来事や、辛いこと嬉しいこと悲しいこと感動したことなど、生涯忘れられない体験もされて来たのではないでしょうか。
新年当初、真っ白でスタートした皆さん自身の「カンバス」は、今それぞれオンリーワンの世界を創り出しています。それは、皆さんのこの1年間の「挑戦」の証。
国民の自衛隊員として、士気高くさまざまな任務に取り組んで来ている皆さん。特に今年は、酷暑の中、台風や豪雨そして地震が怒涛の如く襲い掛かって来ました。地元の自治体・警察・消防隊員と共に真っ先に駆け付け、懸命に救命・救助活動等に「挑戦」して来ました。こうした災害派遣活動に果たした陸上総隊新編の意義は大きく、迅速かつ円滑な統合運用が行われたのではないでしょうか。テレビや新聞報道を見ながら、声援を送っている国民の皆さんも多かったことでしょう。今後、いかなる部隊運用においても、実効性ある統合運用を通じて国民の負託に応えて行っていただきたいと思います。
他方、厳に反省し二度と生起させてはならない不祥事案の生起もありました。故意、怠慢は言うに及ばず、どんなに小さな過失であっても、断じて看過しない繰り返さないのが自衛隊員としての誇りです。
また、普天間飛行場の移設問題をはじめ在日米軍や自衛隊の施設・区域・訓練等に係る地元の皆さんの理解を得るため、日夜懸命に、這いつくばるように、防衛施設行政に取り組んでいる隊員の皆さんも沢山います。「なんでこんなに地元から責め立てられなければならないんだ」と嘆きたくなることもあるでしょう。
でもそれは、皆さんが地元の皆さんに真に寄り添っている証なのです。地元の皆さんの心配や痛みを少しでも共有しようと努力を続けながら、真摯に、とことん誠実に、丁寧に丁寧に向き合い理解を求めて行く。整った直線道路ではなく、お互いに曲がりくねった障害物のある道を一歩一歩歩むことになっても、相手の立場を尊重しつつ、真っ向「挑戦」する者同士。必ず心は通い合います。双方から手を差し延べ合い、新しい扉を開く日が来ることを確信しています。地元に在って、地元のこと、地元の皆さんのことを一番理解しているのは、防衛施設行政に邁進している隊員の皆さんを置いてほかにはいません。大変ですが、皆さんにはそれが可能なのです。
防衛省・自衛隊は、これからは、新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」に基づいて、益々複雑高度化・高速化する防衛任務の責任を果たして行くことになります。宇宙やサイバー空間、人工知能(AI)、レーザー、日米同盟、少子化、女性自衛官、予備自衛官、定年引上げ等々。
どんなときも組織は人です。隊員の皆さん一人ひとりが使命を自覚し、錬成し、どこまでも謙虚にそして誇りを胸に頑張っていただきたいと思います。自衛隊OBの一人として、国民の一人として、心から力いっぱいの声援を送ります。
皆さんの個人としての「挑戦」、自衛隊員としての「挑戦」そして防衛省・自衛隊としての「挑戦」は、YES, TO BE CONTINUED
「ボーッと生きてんじゃねーよ!」
良いお年を!
北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |