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自衛隊ニュース   2010年8月15日号
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ロンドン五輪 期待の星
《体育学校》
ボクシング男子バンタム級 須 佐 勝 明 3陸尉
(福島県出身、1984年9月生まれ)
〈シリーズ7〉
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 6月27日〜7月3日の間実施されたアマチュア・ボクシング・カザフスタンプレジデントカップ国際トーナメントにおいて自衛隊体育学校所属須佐勝明3等陸尉がバンタム級(54kg級)で優勝した。国際大会で日本人が優勝するのは久しぶりの快挙だ。須佐は平成20年に一時引退を表明したが、昨年の7月に復帰し、4ヶ月後の全日本選手権で優勝。これによって須佐は世界で試す機会を与えられた。
 須佐はもともと、左の強力なストレートを武器としていた。このストレートは大学生の頃プロのボクシングジムに通ってプロから学んだものだ。それはストレートを放つ際、打撃の瞬間の手首のひねりを加えるもので、破壊力が重視されるプロならではテクニックだ。須佐はこのストレートでノックアウトの山を築くことになる。しかし、北京以後アマ・ボクシングの国際試合での採点方法がかわり、より激しい打ち合いを仕掛け、ハードパンチを持つものが有利になった。これにより多くの日本人選手は厳しい戦いを強いられ、国際試合で勝つためには戦いの質を変えねばならなかった。須佐も例外ではない、かつて須佐が理想とした、アウトレンジから相手の攻撃を受けずにスピードの乗ったストレートで勝負する戦い方は、消極的と見られ、しかも強力な相手や上背のある選手にはそもそも難しい。接近戦のなかでガードをしっかり固め、相手の懐深く入り込み、激しくパンチを繰り出して相手にダメージを与えることが必要だった。フックやアッパーを手数稼ぎのものから破壊力のあるものに変えていく。
 そして、プレジデントカップ。この大会はカザフスタン共和国元首ナザルバーエフ大統領の名前を冠した大会でスーパーゲストにマイク・タイソンを招くなどかなり盛り上がりを見せた。出場した選手も世界の強豪が集まった。アジア諸国の選手にとっては今年11月に行われるアジア大会の前哨戦としての意味がある。そんな中、須佐は「須佐のボクシング」を炸裂させた。初戦ダンヨン選手(中国)相手にダウンを1回奪う11―1で完勝。2回戦はタジキスタンの選手で北京五輪5位の実績をもつユヌソフ。だが、須佐はここでもダウンを1回奪い4―1で勝利。準決勝は地元カザフスタン王者ツレゲノフ。大統領の名前を冠した大会で負けることは許されない。相手は必死になって戦う。だが、最終的には4―3で競り勝つ。アウェーを勝ち抜いた須佐は決勝でも現ロシアチャンピオンのダルカイエフを4―2で破る。この大会に集まっていた選手は実質的に世界のトップ選手であることは間違いない。その中で勝ったことは「須佐のボクシング」が世界で戦って行けることを証明した。(体校渉外広報室・佐野伸寿3陸佐)


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