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   2005年7月15日号
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2005 カンボジア不発弾処理研修記
先遣国に生きる私たちの責任とは
品川女子学院 教論 秋山佳子
 私は品川にある中高一貫校で社会科の教員をしている。担当である「現代社会」という科目は、世の中で起きている問題を通して、国際社会で果たすべき役割をそれぞれが考えるという授業である。ならば、現地へ行ってどのような活動がなされているのか、国際貢献の「現場」を知りたいと思った。
 JMAS(Japan Mine Action Service=日本地雷処理を支援する会)の方々のご配慮により、不発弾処理だけでなく、カンポジアのいろいろなところを見学することができた。このような機会を下さったことに、この場を借りてここで感謝申し上げたい。
 1月30日から1週間の短い研修。この時期、熱帯の地カンボジアは乾季にあたる。カンポジアから帰国するときにさらに実感するのだが、道路の整備はこの国の死活間題だと感じた。
 四輪駆動の車を走らせ、カンダールの村に入っていった。どこを見ても稲が刈られたあとの乾燥した土がむき出しになっていた。山羊のようにやせた牛が強い風に運ばれた砂に目を細めている。その中をJMASの方とCMAC(Cambodia Mine Action Center=カンボジア地雷処理センター)の隊員が村の女性に先導されて進む。不発弾は、その場所にあったりなかったりする。あるはずの場所にないときは、誰かが鉄屑業者に売るために掘り返してしまったということらしい。あったとしても、村人が危ないからと自分たちで移動させてまとめてあることが多い。どちらの場合も、素人が不発弾に触れるのはとても危険である。しかし、実際は足元にころころと40mmの砲弾が転がっていた。耕すと、60mmの砲弾にガリッとあたるのだ。それほどにいたるところに、死と隣り合わせの危険が散乱していた。回収してトラックの荷台に積まれた不発弾の種類と数を見るにつけ、驚きの連続であった。
 この日撤去に向かったところは学校のすぐ近くだった。撤去後に学校を訪問すると、学板の教頭先生が気さくに見学を承諾してくれた。JMASの人たちのすごいところは、すかさずこのような機会を利用して、啓蒙活動を始めることだ。5分ほどの時間であるが、子どもたちは、JMASの方の質問に声をそろえて答えていた。言葉が分からなかったことが実に無念だったが…。
 移動中、道路側に大きな対戦車地雷が落ちていた。150kgで反応するらしい。私たちが乗っていた四輪駆動車が踏めば、反応し爆破されていただろう。まだまだこのようなものが落ちている。
 たった1週間の研修で、毎日そんなに見つかるのか、と思ってしまうが、そんなに見つかるのだ。そこら中に何十発も。それほどにこの国は蝕まれている。
 集めた不発弾を爆破し終えて初めて安堵するが、JMASの活動は、毎日、午前と午後の2回爆破を行っている。熱帯地方特有の雨季には、どろどろになりながら活動している。前にも何度となく来た場所に、雨季乾季の繰り返しで掘り出された不発弾を、その度に撤去しに来る。このことを思うと、移動中疲れたと感じた自分が恥ずかしくなった。
 カンダール、プレイベン、スバイリエンとだんだんベトナムの国境に近づいてくるのだが、同時に感じたことは、より田舎になっていくことと、不発弾が大きくなってくるということだった。事務所の開設時期との関係もあるのだろうが、終わりがない活動であることを実感する。
 毎日不発弾が何十発と見つかり、その隣に日常生活がある。JMASの活動視察の毎日は、茫然とすることばかりだった。
 「これは82口径です」、「これは250キロ爆弾だな」、「107mmのロケットです」。
 「これは不発弾」、「これはここに置いていったもの」。
 「これは大丈夫」、「これは危険」。
 素人にはまったく分からないことである。そんなに普通に持っていて大丈夫なのですか、と素人の私からの質問に、「たいていは大丈夫です。大丈夫か危険かを見分けることができるから持てるのです」との返答をいただき、なるほど納得した。素人ができる仕事ではない。善意だけではできない。毎日続けることはどれほど大変なことだろう。しかし、この継続が住民との信頼関係を築いてきたのだと感じた。

ピクルス王子の市ヶ谷台探検ツアーのお知らせ
平成17年度「子ども霞ヶ関見学デー」
 防衛庁では、文部科学省が主体となって実施する「子ども霞ヶ関見学デー」に連携して、「ピクルス王子の市ヶ谷台探検ツアー」を下記のとおり実施します。
 〈実施日時〉8月24日(水)及び25日(木) 10時〜15時
 〈場所〉防衛庁(市ヶ谷地区)
 〈対象〉全国の小中学生とその同伴者、各日100名(事前申し込み制)
 〈ツアー内容(予定)〉▽防衛庁長官のおはなし▽ピクルス王子の防衛講座▽庁舎見学(広報展示室など)▽儀仗訓練見学、手旗信号体験▽食事体験
 ※詳細については防衛庁ホームページをご覧下さい。

HOME's English Class
(防衛ホーム英語教室)
LET'S DRINK UNTIL WE DROP!
(レッツ ドリンク アンティル ウイ ドロップ)
とことん飲もう!
 Hi!皆さん。7月ですね。アメリカ人の友人に日本語で「最近は普通の天候じゃないですね。」と尋ねられ、「普通じゃないね。」と答え、思い起こしてみると今年は年初から異常気象が続いている訳で、なにか自然への畏怖をあらためて感じます。地球からすれば、環境破壊するのは人間だけで、ほとんどの生物は自然の調和のなかで種を保存している。同時に、毎日、絶滅していく種があることも事実ですね。環境保全をしっかりしていかないと、未来の人類に大きな負の遺産を残すことになるでしょうね。
 今回の表現は、“Let's drink until we drop!"「とことん飲もう!」です。環境に云々と書いた後、脳天気な表現選択で恐縮ですが…。unti1は「〜するまで」という意味です。We dropは、「倒れるまで」という意味です。直訳すれば、「倒れるまで」ということになります。Dropは「ものが落ちる、散る、日が沈む」の他に「ぱったり倒れる」という意味もあります。動詞を入れ替えていろいろな表現ができます。
 沖縄は梅雨明けをし、暑い日が続いていると思います。関東地方は、例年7月の下旬です。もう少し、梅雨空が続きますね。OIF、大雨の災害派遣、自衛隊は任務に邁進しています。Do our best!
 それでは、皆さん。See ya!
 (市ヶ谷・中央資料隊)〈スワタケル〉

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