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自衛隊ニュース   1082号 (2022年9月1日発行)
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国際平和協力活動30年
自衛隊PKO派遣等を見る(2)
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衛生学校が防衛医学能力構築支援を実施
カザフスタン軍医官が中病で研修
中病が開発「ハイブリッド型シミュレーター」
 7月19日と20日、陸上自衛隊衛生学校(学校長・伊藤利光陸将補=三宿)は、カザフスタンに対する防衛医学能力構築支援を実施した。同国に対する防衛医学能力構築支援は、平成28年にカザフスタンの要請で始まった第1回目、平成30年の2回目に続き今回が3回目となる。両国で知見を共有することで相互理解を促進し、戦略的パートナーシップを強化することを目的に、国交樹立30周年事業の一環として実施された。
 今回は同軍の医官2名を含む4名を招へいし、自衛隊中央病院で施設の研修や外科手術シミュレーション等を実施した。
 第一線で負傷した隊員を1時間以内に処置(主に止血)する「緊急外科手術(DCS)」をカザフスタンの医官が体験した。シミュレーションで使用したのは中病が中心となり開発した「ハイブリッド型シミュレーター」。これはDCS初級・中級者用が訓練するもので、外側は切れば疑似血液が出る人工皮膚、内側には人間に近いと言われる豚の臓器を仕込んである。市販のシミュレーターは高価だがこちらは食肉用の臓器を築地で購入することで比較的容易に入手でき、安価で使用できるそうだ。また食肉を使用するため倫理上の問題もクリアしている。評判が良く、中病だけではなく、全国の病院や部隊においても年間15回程度実施されている。
 臨床医学教育・研究部長の岩本慎一郎1陸佐は「各国がそれぞれのやり方で自立していくためには(比較的安価で作成も容易な)ハイブリッドモデルの研修はとても意義がある」と手応えを感じていた。
 また、実際に手術を体験したカザフスタン軍事医療センター長のスマイル大佐は「カザフスタンでも医官の技術向上のためにこのような講習ができればと思う」充実感をにじませた。同じく国防省医療局長のバエル大佐も「我が国と似ている部分も多い。様々な場面で協力し合って理解を深めていきたい」と今後の能力構築支援事業への期待感を示した。
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統幕学校国際平和協力センター
国際平和協力活動等の要員を教育

 平成19年、国際平和協力活動が自衛隊の本来任務に位置づけられたことを受け、平成22年に要員養成のニーズに対応した教育訓練および調査研究を行うことを目的に、国際平和協力センターが統合幕僚学校(目黒)の下に新設された(平成28年に市ヶ谷に移転)。
 自衛官等以外にも他府省庁職員や諸外国の軍人等に対しても課程教育を行う防衛省唯一の組織として、これまでに約1200名以上を受け入れている。上級部隊指揮官や上級幕僚を養成する「上級課程(PKOCCC)」、幕僚を養成する「中級課程(UNSOC)」、知識の普及を目的とした「基礎講習」のうち「上級」と「中級」は全て英語で行われる。現地での活動のように多国籍の留学生に混じった講義・討議・発表を通じて、派遣後すぐに活かせる英語のコミュニケーション能力が養われている。
 陸上自衛隊は、国際安全保障環境の改善に寄与すべく「UNMISS等のPKOミッションへの要員派遣」「国連TPP等のPKOに係る能力構築支援」「国連本部等への幕僚派遣」「国連PKO工兵マニュアル改訂等の知的分野への貢献」の4つを柱として国際平和協力活動等に取り組んでいる。今後も本機関で学んだ者たちが世界を舞台に活躍することが期待される。
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識別帽に込めた思い
空自イラク派遣
 写真の3つの識別帽は、2000年前後にいくつもの国際平和協力活動等に従事した航空自衛官が、派遣先の現地で実際に被っていたものである。
 2003年、イラク戦争後に成立した「イラク人道復興支援特措法」に基づくイラク派遣において、航空自衛隊は同年12月から約5年間にわたり人道復興関連物資等の輸送を担った。派遣当初、イラク国内の主要な戦闘は終結したとはいえ、現地はまるで戦地のようで決して安全であるとは言えない状況にあった。隊員の安全確保を至上命題として、輸送機C130は防弾板やミサイル回避装置等を新たに装備、機体も地対空ミサイルの標的から逃れるために空色へ塗り替えられた。搭乗員は防弾チョッキを着用。限られた時間の中、事前訓練を含めてあらゆる準備に万全を期した。
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派遣直前に制定
 そして最後は、写真中央のエメラルドグリーンが爽やかな識別帽。輸送機部隊を中心として様々な職種から編成される派遣部隊では、統一感を醸成するために識別帽をこしらえる。この識別帽は「現地の人から好まれる色を」と、当時の航空支援集団司令官・香川清治空将の発意により制定されたものである。試作を経て何とか派遣直前に間に合わせた。
 同じく当時の第1輸送航空隊司令で、本派遣では香川司令官の下、空輸計画部長としてカタールの司令部で指揮を執った溝口博伸氏は振り返る。「特措法が8月に施行したものの11月の衆議院選挙のため、編成命令が出たのが12月後半。派遣までは時間が無かったため慌ただしく編成完結式を行いました。そのような中で香川司令官が識別帽の色への強いこだわりを示したのは、『戦地に赴く隊員の安全確保に対する並々ならぬ思いの表れ』なのだと受け止めていました」と述べる。写真の3つの識別帽の持ち主だ。
 当時の思い出とともに今でもいくつかの識別帽を自宅で大事に保管しているそうだ。

雪月花
 現役時代に、教育訓練研究本部で研究に従事していた菅野隆元1等陸佐が、渾身の1冊を著した。「アメリカ合衆国陸軍の基本的運用の変遷と背景」である。今、メディアでは「ウクライナ」の話題で持ちきりであるが、そこでの戦いはまさに「現代戦」である。今日のわが国同盟国陸軍の運用の背景や変遷を掘り下げた菅野さんの取り組みは、ウクライナに見る「現代戦」に至った知的取り組みのアメリカからの透写の一端とも見ることができ、時代の到来を予見していたかの様であり大変興味深い。菅野さんは2012年ハイチ派遣国際救援隊長として国連PKOのミッションで活躍、中央即応集団司令部幕僚副長などを経て教育訓練研究本部直轄研究員で今年5月に退官した。退官の翌日から再就職の会社に出勤し周囲をうならせたと言う。ハイチに同行取材した筆者は菅野さんのお人柄と探求心を目の当たりにしており同書の発刊を心待ちにしていた。菅野さんは2000年一桁後期の市ヶ谷勤務を振り返り「米陸軍に関連する業務には、引継ぎ資料ベースの俄か勉強で臨まざるを得ず、表面的で断片的な知識レベルから脱却することが出来なかった」と回想する。中央即応集団司令部幕僚副長当時(2010年代半ば)、後に続く人たちが同じ轍を踏まず、初期値高く質の高い業務に邁進するために、これらの知識を言語化・集約化した書籍が必要との認識にいたったと語っている。菅野さんは、伝統的な名称を「オペレーションズ(作戦)」とし、戦後今日に至るまで20回の改定を重ねてきて米陸軍の規準教範(キャプストーンドクトリン)を研究対象として、その知的試行錯誤に焦点を当てている。そして、戦い方を更新・刷新し、出版物に適用するプロセスであるドクトリン改定の、戦後の米陸軍における契機は、戦争(の教訓)であると結論している。ロシアのウクライナ侵攻により、世界は新たな局面に入ったと言われている。本書は「ここ」に至る米陸軍の変遷と背景を概観し総括することを可能にする。そして、現実に備えることだけが真の抑止に他ならず、そのためには過去と、将来の趨勢を知ることが不可欠であるとも菅野さんは主張している。本書は今「ここ」から前に進もうとする自衛隊幹部のみならず、これから戦略、作戦、戦術を学ぼうとする初学者にとっても必読の書と言える。元ユニホームの誠実で、地道な取り組みが結実した画期的で貴重な一冊である。本書は、個人出版サービスである「Next Publishing Authors Press」によるオンデマンド出版であり、Amazonサイトから購入できる。

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