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自衛隊ニュース   932号 (2016年6月1日発行)
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誇り高き 国賓等空輸隊
「日本国・自衛隊の代表である自覚と高い規律を」
 5月15日、伊勢志摩サミットにおける国賓等空輸隊(指揮官・第1ヘリコプター団長・田尻祐介陸将補)が中部国際空港で、編成完結式を行った。
 田尻団長は「この国家的行事は日本国内のみならず世界が注目しており、これを支援する我々の行動も、その一挙手一投足を、参加国の首脳やメディアを通じて世界が注目している。国賓等空輸隊の全隊員が、この重要な任務に就くことを誇りとし、日本国・自衛隊の代表であるとの自覚と高い規律をもって行動してもらいたい」などと訓示し、国賓等空輸隊が全身全霊を尽くしてこの任務を完遂することを誓った。
 21日には準備訓練を行い、万全の態勢でその日を待った。

日本の狙撃、世界を制す
〜被災地への思いを胸に勝ちとった栄冠〜
AASAM16
 陸上自衛隊富士学校(学校長・徳田秀久陸将)は、平成28年度豪州射撃競技会「AASAM16」の担任官を命ぜられ、普通科部長・末吉洋明陸将補を訓練部長としてオーストラリア陸軍主催の射撃競技会に参加した。派遣隊員は全国の部隊の選考会を勝ち上がり、更に富士で2度の選考会を経て選抜され、小銃手8人、機関銃手2人、狙撃手2人、拳銃装備者2名の計14名で日本隊を編成した。
 今回で28回目の伝統ある本競技会は、5月3日から20日の間、ビクトリア州パッカパニャル軍用地で実施され、米国、英国、中国など18ヶ国が参加、富士学校は24年度から担任し、4回目の参加となる。
 今回のAASAM16は、これまでとは違う感慨深い大会となった。
 世界と戦う準備を進めていた4月14日「プレAASAM」期間中に熊本地震の報を聞いた。教官、助教を含め、熊本県出身、家族等を熊本に残す隊員6名を有するAASAM訓練隊は、大いに衝撃を受けた。帰省したい気持ちを抑えて、自分に課せられた使命を全うするため、出国までの貴重な期間を、練成しつつ故郷の早期復興を祈った。
 熊本出身の隊員の中でも、被害が甚大だった益城町に近い、西原村の実家が損壊した狙撃銃の部代表の小城2陸曹には計り知れない葛藤があったに違いない。
 そして、狙撃の部から大会は始まった。狙撃銃の部は、米国、イギリス等強豪国を含む12カ国17コチームで基本から応用の7コマッチで競われる。2大会ぶりに参加した中国と上位争いを繰り広げる中、休日も休むことなく自主的に繰り返し続けた射撃予習がもたらした抜群の安定感でポイントを獲得し続け、ついに2位中国を抑え、マッチ210(総合の部)をトップで終えた。
 2大会前が第2位、前回大会で第3位の成績をあげている日本の狙撃はAASAMでも評価が高く、賞賛に訪れる列国の兵士も数多くいる。列国の兵士と称えあう姿は、本当に「抑止力」を構築する外交の場だと言える。故郷熊本の被災を乗り越え、4回目のAASAM挑戦で遂に栄冠を勝ち取った小城2陸曹の不屈の闘志は、陸上自衛隊に夢と希望を与え、故郷熊本への朗報をもたらした。更に狙撃の活躍で勢いに乗った日本隊は、全ての部で過去最高の成果を収めた。
 ▼結果は以下の通り
・小銃の部第5位(18カ国20コチームが参加、前回8位)
・機関銃総合の部第5位(16ヶ国18コチームが参加、前回7位)
・拳銃総合の部第6位(15ヶ国17コチームが参加、前回7位)
・国際射撃の部は、前年度と同じ第6位

遠洋練習航海部隊出国
 薄雲の合間から覗く初夏の漏れ日に純白の制服がよく映えた5月20日、平成28年度遠洋練習航海部隊(司令官・岩崎英俊海将補。練習艦「かしま」、練習艦「せとゆき」護衛艦「あさぎり」、第66期一般幹部候補生課程修了者約190名を含む総勢約750名で構成)出国行事が若宮健嗣防衛副大臣、黄川田仁志外務大臣政務官、武居智久海上幕僚長をはじめ約600名の見送りを受けて横須賀基地逸見岸壁で盛大に執り行われた。
 記念の60回目を迎えた今年度は東回りでの世界一周、約5カ月間で13カ国16寄港地(初訪問国はリトアニア。初寄港地は米国のジャクソンビル、ドイツのロストック、イタリアのチビタベッキア)を巡る。第一次世界大戦当時、英国や仏国の要請で物資輸送や商船護衛の任務に就いた先達の足跡(永田丸戦没100周年慰霊祭‥於・ブレスト:仏国、帝国海軍第二特務艦隊戦死者墓碑への献花‥於・バレッタ=マルタ共和国)を訪れる予定も組まれている。約100年前にも、今日アデン湾で海上自衛隊が取り組む商船護衛と同様、外洋を越え遥か異国で海上防衛に尽くした人々に想いを馳せる機会を得ることになる。

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