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自衛隊ニュース   1117号 (2024年2月15日発行)
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防衛産業参入促進展
中小企業等とのマッチングを創出
 1月31日と2月1日、防衛装備庁は「令和5年度防衛産業参入促進展」をホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で開催した。将来的に防衛装備品への活用が期待される技術を持つ中小企業等と、防衛関連企業や防衛省・自衛隊とを結びつけることを目的として、平成28年度から開催されている展示会で今回が21回目。これまで延べ約320の企業・団体が参加しており、今回は40社ほどが各ブースで自社の技術や製品をアピールした。
 安全保障環境が厳しさを増す中、先端技術の防衛装備品への取り込みは喫緊の課題となっている。開会の挨拶で高見康裕防衛大臣補佐官は、防衛3文書において防衛生産技術基盤が防衛力そのものだと規定されたと述べた後、防衛省の取組みを説明し「皆様の優れた技術や製品を活用することは技術的優位性の確保のみならず、防衛生産・技術基盤の維持強化やサプライチェーンの強化につながる」等と述べた。
 会場では無人自立走行支援AI、国産固定翼VTOL(垂直離着陸)無人機等、最先端技術を有する企業のデモンストレーションに多くの人だかりができた他、製造技術、材料・部品・工具において「職人技」を持つ歴史の長い企業も注目を集めた。

陸上自衛隊最先任上級曹長が交代
第9代に綿引准尉

 1月30日、防衛省庁舎講堂において、陸上自衛隊最先任上級曹長交代行事が執り行われ、第9代陸上自衛隊最先任上級曹長に綿引光佐准尉が指定された。
 交代行事には、陸上幕僚長をはじめ、陸幕各部長官、海自先任伍長、空自准曹士先任、陸上総隊・方面隊等の最先任上級曹長、陸幕勤務の准曹、市ヶ谷所在部隊最先任上級曹長等及び准曹士の約240名が参加した。また、在日米陸軍最先任上級曹長、在日米第3海兵機動展開部隊上級曹長も駆け付け、多くの参加者の中、静寂な雰囲気で行われ、森下陸幕長からの離着任最先任紹介、離着任最先任の挨拶が全国各駐・分屯地へ一斉放送された。
 交代行事の始まりに表彰が行われ、2022年1月から2年1か月にわたる在任期間中の功績が認められ、陸上幕僚長から村脇准尉へ第3級賞詞が防衛功労章を添えて授与された。
 引き続き、指定解除された第8代陸自最先任村脇准尉が森下陸幕長に識別章を返納、新たに指定された第9代陸自最先任綿引准尉の右胸に森下陸幕長が自ら取り付けた。

「人的戦闘力の骨幹は、我々准曹士だ」

 村脇准尉は、「強靭な陸上自衛隊の創造の具現に向け、准曹士の皆さんへ『前へ』を要望事項とし、自ら考え判断し行動できる隊員の育成を図ってきました。我々准曹士ひとり一人が、危機感と問題意識を持ち、自律分散する中においても行動できるよう自ら考え判断し行動できる隊員になること、そして、そのような『状況判断し行動できる隊員』を育成していく必要があり、陸上自衛隊の現場において、人的戦闘力の骨幹は、我々准曹士です」と力強
く述べ挨拶を締めくくった。

「我々の存在意義を自覚」

 村脇准尉から熱い思いを託された綿引准尉は、「陸上自衛隊の屋台骨である我々准曹士隊員は、強靭な陸上自衛隊の創造を具現化し、その責務を完遂し得る実力を養うため、常に情勢認識に基づいた強い危機感と我々の存在意義を自覚し、強い使命感を持って、日々の隊務に臨む事が必要です。陸上自衛隊全ての准曹士隊員の先頭に立ち、強靭な陸上自衛隊の創造を具現・推進させるために、信念を持って皆さんと共に前進・連携していきます」と決意を述べた。

【綿引光佐准陸尉略歴】昭和48年9月生まれ、秋田県出身。平成4年に陸上自衛隊入隊(第21普通科連隊(前期教育)、第6戦車大隊(後期教育))。平成30年「第21普通科連隊」最先任上級曹長、平成31年「第9師団」最先任上級曹長、令和3年「東北方面隊」最先任上級曹長、同6年1月から現職


機略縦横(70)
水陸機動団最先任上級曹長准陸尉 永井耕治
隊員育成
 平成30年に西部方面普通科連隊を母体に新編された水陸機動団は、まもなく、6年目を迎えようとしています。今年度末には3個単位目の部隊の新・改編が予定されており、全国から志高い隊員が集まり、水陸両用作戦機能の更なる強化がなされます。そのような中、水機団の隊員達は、日々の隊務に対し、目的意識を持って、かつ、やりがいを感じながら「生々躍動」しています。
 私自身も隊員と共に情熱全開で部隊の精強化に向け日々邁進していますが、どの様に隊員を育成、指導しているのかと問われることがよくあります。自衛官のあるべき姿である「服務の本旨」を実践できる、国民の負託に応えられる自衛官を育成することが、我々陸曹団の大きな使命の一つです。一方で、隊員の育成において、「期待どおりにならない」、「徹底できない」等、隊員育成の難しさをよく耳にすることも事実です。
 隊員育成において私が心がけていることは、「人を正す前に自分を正す」という事です。自身の言動が行動を伴っているのかという視点で自分を振り返り、その上で、相手の立場に寄り添って考え、助言するようにしています。
 この際、「緩急を使い分ける」ことが重要と思います。強制力のみで人を正そうとしても思うようにはなりません。大事な気付きを与える場合は、少し緊張感を出し、テンポを持つ必要があります。一方で、日常的な隊員との会話や交流では、リラックスした雰囲気や自然なペースを醸し出す等、状況に応じてコミュニケーションスタイルを選択して助言することが大事です。助言するにしても、言いたいことのうちの大事な一割ないし二割を提示することも大事かもしれません。隊員はああ見えて、本人なりに考えて行動しているのです。結果を性急に求めず、隊員に感謝の気持ちを保持しつつ、成果が出れば全員の前で褒めて、出来なければ行動の過程を称え、隊員の勤務意欲を向上させることが大事です。言うは易し、行うは難しですが、このように指導する側とされる側が相互に学び合い成長していくことが真の部隊・隊員の育成につながると思います。
 最後に、今この瞬間も隊員育成に悩み、奮闘している全国の仲間に感謝するとともに、隊員育成は自らが行うという気概を持ちつつも、決して一人で行うものではなく、周りの者と意識を共有して、協力しあいながら行っていくということにも着意しながら、生々躍動して、お互い任を果たして参りましょう。

雪月花
 社会人になり初めて名刺を持たせてもらった時の感動は半世紀たった今でもはっきり覚えている。最初の一枚は家に持ち帰り母に渡したが、何年後かに見た母の遺品の中にそれが入っていた。断捨離のつもりで片づけをしていると段ボールいっぱいに入った名刺が出てきた。60年間に渡りご縁のあった方々のものである。筆者は頂いた名刺は選挙の時に街頭で配られているもの、売り込み営業のものなどすべて保存している。この小さな名刺には何人もの人生が関わっており持つ人の息吹が聞こえてくるからだ。
 あの事件はもう20数年前になるだろうか、中部地方の某県の知事選挙。落下傘降下と言われたベストセラー作家が勝利した。後日、新知事が庁内で就任の挨拶回りをして名刺を配っているとき、とある部署の幹部が「部下に名刺を配る会社は倒産する」と苦言を呈した。新知事は「私なりの考えということで、お受け取りください」と渡すも「これはないことにさせていただく」と本人の前でその名刺を折り曲げてしまった。この時の知事選は熾烈を極めたと言われ、感情も昂ぶり負けた腹いせだったのだろうが、見ている第三者には決して気分の良いものではなかった。もちろんこの場面は日本中にテレビで流されて大騒ぎとなった。外国でも紛争国やデモ行進の途中で相手国の国旗を燃やして足で踏みつける場面をニュースで見るが、民族紛争が絡むとは言え心が痛む。名刺は個人の国旗であり持つ人は限りない誇りを持っているのだ。手元にある何人もの心が籠る名刺の山、どのように扱わせてもらえばいいのか頭を悩ます。頂いたお守りやお札などは年末に近くのお寺などでお焚き上げしてもらえるが名刺はそうもいかない。

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