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自衛隊ニュース   1114号 (2024年1月1日発行)
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機略縦横(68)
航空自衛隊 第4術科学校准曹士先任 准空尉 津布久忠和
変化に柔軟に対応
 航空自衛隊に入隊以来、通信員としてモールス信号を駆使し約30年勤務してきました。
 しかし現在は、通信のネットワーク化、デジタル化の急速な発展により新しい通信の世界「サイバー空間」が我々の新たなフィールドとなります。そして通信員は、変化に柔軟に対応するためサイバー要員として新たな任務が付与されることになります。
 さて、昨今変化のスピードは著しいものがあり、過去の取組が通用しない現状があります。
 それは普段の生活からも感じることがあります。入隊する隊員も様々で考え方の違いや育ってきた環境により従来の教育や指導方法ではうまくいかないこともあり、悩みはつきません。さらには、0から進めていた事業や取組みも変更や廃止も止むなしといった具合です。しかし、そこには目的や任務がありそれに向かって進まなければなりません。変化のスピードに飲み込まれるのではなく、自身もそれに柔軟に対応し変化していくことでそこに近づいていくものだと思います。「向き不向きより前向きに」変化を恐れることなく、楽しむぐらいの気概をもってその目標、ゴールに向かってそのひとつひとつに全力を尽くして様々な問題に取組んでいきたいものです。

雪月花
 いつ戦火が収まるのか予想もつかない中東情勢。イスラエルから分離したガザ地区への攻撃は益々激化している。イスラエルが徹底排除を進めるイスラム組織ハマスの拠点がガザ地区にあるとみて連日攻撃を仕掛けているのだ。圧倒的武力優位のイスラエルは丸腰に近い状態のガザにある病院や学校なども標的にしている。さらにガザに張り巡らされた地下道に地中海から海水を注入する計画もあると米紙は伝えている、地下にハマスの指揮所があるとみているようだ。平成12年11月、東部方面第1師団のPKOで第10次ゴラン高原派遣輸送隊の同行取材に恵まれた。民間人を戦闘地域に同行させることは難しいと言われたが師団長(当時)の福田忠典陸将のご尽力で出発のぎりぎりに許可が出た。遠回りを余儀なくされながらも(イスラエルに直接入国させない国がある。パスポートも対イスラエル専用)エルサレムに到着。街はカレー粉を敷き詰めたかのような黄色の景色。街に縁が無く埃っぽい道が続いている。道路や住宅の軒下には時間が来たら水が自動的に出てくる仕掛けがある、新潟県や東北地方で見かけるあの融雪装置の一種である。この水は今回の紛争で敵対するヨルダンから引いていると言うことだった。イスラエルに国境を接する西ヨルダン川西岸には緑が結構見受けられた、昔のソ連で勧められていたコルホーズが成功していたのだろう、いくつもの緑の小さな森を見ることが出来た。ゴラン高原はエルサレムから(車で2時間に位置するが途中の民家には銃弾が撃ち込まれた無数の跡があり、道路の両側には地雷原を示すドクロマーク板が建てられていた。3つの宗教がエルサレムこそ我らの聖地であると長年にわたり争い続けている現状を見ると地球上から戦火が消えることはかなり難しい。

海上自衛隊先任伍長交代行事
思い受け継ぐ 7代に北口曹長

 12月21日、海上幕僚監部大会議室において海上自衛隊先任伍長の交代行事が執り行われ、第7代海上自衛隊先任伍長に北口武史海曹長(前自衛艦隊先任伍長)が指定された。
 海上幕僚監部での交代行事には、海上幕僚長をはじめ、海幕各部課長、統幕最先任・陸自最先任上級曹長・空自准曹士先任、東京近郊の先任伍長、海幕勤務の海曹士・事務官等約150名が参加した。同盟・同志国の米第7艦隊最先任上級兵曹長、在日米海軍最先任上級兵曹長、在日豪大使館部官室付総務補佐も駆け付けた。また退任する第6代海上自衛隊先任伍長の東和仁海曹長のご家族もその最後の姿をそばで見守った。
 交代行事を前に、2019年12月から4年間にわたる在任期間中の功績が認められ、酒井良海上幕僚長から東曹長に対して、第3級賞詞が第3級防衛功労章を添えて授与された。

「先任伍長はもっと頑張れる」

 続く交代行事では、指定解除された第6代・東曹長が酒井海幕長に先任伍長識別章を返納。その識別章を新たに指定された第7代・北口曹長の左胸に酒井海幕長が自ら取り付けた。
 東曹長は、12月に初めて海曹士が主体となって開催した「西太平洋海軍シンポジウム上級下士官会同(WPNS SELWIG2023)」について、「海曹士の手であれだけのことができた、という事を皆さんにも見て頂けました」と振り返り、「先任伍長はもっと頑張れます。もっともっと先任伍長達を活用して下さい」と力強く挨拶を締めくくった。
 東曹長から熱い思いを託された北口曹長は、海上自衛隊先任伍長は海幕と部隊を繋ぐ架け橋としての役割が重要だと強調し、「先任伍長は何を求められ、何を期待をされているのかをその都度考え、その期待に応えるために全力を尽くしていきます」と決意を述べた。
 令和5年に制度創設20周年を迎えた先任伍長。「WPNS SELWIG2023」の成功を置き土産に退任した東曹長の志を引き継いだ北口曹長の下、次の10年、20年に向けて新たなスタートを切った。
▽北口武史曹長略歴
 昭和47年3月生まれ、大阪府出身。平成2年に海上自衛隊入隊(佐世保288期練習員課程)。同25年に護衛艦「さざなみ」先任伍長、同29年に練習艦隊先任伍長、令和元年に護衛艦隊先任伍長、同4年に自衛艦隊先任伍長、同5年12月から現職。


山あり谷あり25周年
永年勤続表彰<6即機連>

 第6即応機動連隊(連隊長・河村友則1佐=美幌)は11月28日、美幌駐屯地において、永年勤続表彰式を実施した。
 本行事は自衛隊記念日(11月1日)にあたり、永年勤続25周年を迎えた美幌駐屯地の隊員12名に対し、木原稔防衛大臣からの表彰状を河村連隊長から代理伝達して永年の勤務を慰労するため実施した。
 午前11時45分、同式を開始、当初、防衛大臣からの永年勤続隊員への「永年勤続者表彰状の贈呈に当たって」とした永年勤続者への感謝に関するメッセージが述べられた。引き続き河村連隊長から受賞者に対し、表彰状が一人ひとりに手渡され、「あなたたちのこれまでの地道な行動の一つひとつが美幌町を含む隊区内の地域住民の安心と信頼につながっている」と祝辞が述べられた。

スライドショーで振り返る

 その後、会場を移して会食が実施されたが、同年代の受賞者同士ではあったがお互い堅さが見られ会話にも少しぎこちなさが見られた。ところが、渡辺杏奈士長(火力支援中隊)が受賞者に敬意を払い、苦心しながら作成した「永年勤続25周年を振り返るスライドショー」の鑑賞が始まり、自分たちが入隊してから25年間の軌跡が流れると徐々にリラックスし笑みがこぼれ始めた。
 このスライドショーは入隊した年と表彰者の結節の年である3曹昇任した年に世の中の出来事や流行になっていたものを紹介したもので、懐かしい映像の数々に当時の自分を重ねて回想する受賞者からは、その都度、笑みや言葉が漏れた。鑑賞を終えると全員から大きな拍手が鳴り響き、堰を切ったかのように会話が弾みだし昔話に花が咲いた。
 受賞者からは「過去の流行から昔の自分を振り返れる面白いスライドだった。懐かしい写真ばかりで、当時の記憶が蘇った」などの感想が述べられ、心に響く思い出に残るひとときとなり、午前12時40分に同行事が終了した。


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