防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   1021号 (2020年2月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
新型コロナウイルス感染拡大の中で

 連日大きく報じるテレビや新聞。未だ収束の兆し無く、日本を含む世界中に拡散する新型コロナウイルスの脅威。感染者と死者の数は、増加の一途をたどっています。
 武漢閉鎖、過酷な現場で頑張り続ける防護服姿の医療従事者の皆さん、チャーター便、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号、入国拒否、検疫、隔離、マスクの品切れ、中国における企業活動の再開延期、中国人団体旅行客のキャンセル・観光業界の打撃、各種イベントの中止・延期、7月24日に開会式を迎える東京2020オリンピック・8月25日から始まるパラリンピックへの影響懸念等々。
 政府・自治体・関係機関・企業等挙げての懸命な対応が続いています。頑張っていただきたいと思います。こうした中、防衛省・自衛隊も、チャーター機やダイヤモンドプリンセス号への医務官や看護官の派遣・船内に留め置かれている皆さんの生活支援・輸送等に全力で取り組んでいます。
 僕たちは、隊員の皆さんや家族の皆さん、本紙読者の皆さんを含め、普段マスクをかけるといったことはあまりありません。でも今回は特別。医療専門家が推奨しているように、マスクの着用に心がけていただきたいと思います。そしてこまめな手洗いを。まさに目に見えない脅威から自分自身を守る、一人ひとりが出来る「SELF DEFENSE」です。
 更に、より一層効果的なのはこれらを個人や家庭レベルの対応に任せておくのではなく、部隊や基地、学校、職場など組織を挙げての理解浸透と積極的な取り組み・その徹底にあることは論を待ちません。
 こうした中、政府は、これまで4回にわたる武漢への全日空チャーター便派遣によって、帰国を希望する日本人と中国人配偶者等を無事帰国させることが出来ました。更に第5便の運航も発表しています。チャーター便のニュースを見ていますと、自然に「よかったなぁ」と安堵して参ります。
 一方で、何とも言い難い不安感に襲われました…それは、自国の航空会社や航空機を持たない東ティモールのような小さい国から武漢に来て学んでいる留学生たちのことです。武漢には、例えば東ティモール留学生だけで17名います。その数の多さに驚くと共に、彼らはどうなるのだろうかと…。
 でもそれは杞憂でした。東ティモールや太平洋の小さな島国の国民のためにチャーター便の座席を提供した国がありました。ニュージーランドです。2月5日、同国チャーター便に搭乗出来た彼らは、現在ニュージーランドで隔離期間が過ぎるのを待っています。
 東ティモール政府が発出した感謝声明。「武漢での危機的状況の中から東ティモールの学生たちを救出してくれたニュージーランドの政府と国民の皆さまに心から感謝申し上げます」
 昨年、ラグビーワールドカップで観たオールブラックスの逞しいハカ(Haka)が浮かんで来ました。
 そして同じ2月5日には、昨年9月以来空席になっていた駐東ティモール日本大使の発令がありました。新大使は、杵淵正巳(きねふちまさみ)氏。1983年に外務省入省の外交官。防衛大学校の卒業生です。日本東ティモール議員連盟会長を務めている中谷元・衆議院議員(元防衛大臣、防衛大卒)の1期後輩とのこと。ちなみに2015年以来、防衛大学校を卒業した東ティモール留学生は10名。来月にはさらに1名の卒業が期待されます。史上初の防大先輩大使の東ティモール赴任です。
 現時点では、東ティモールから新型コロナウイルス感染者発生を伝える報道はありません。しかし医療水準が低い同国です。杵淵大使には、そんな東ティモールの皆さんの健康や安全、人材育成、国づくり支援等を通じて、一層密接な両国関係の発展に活躍されることを祈念して止みません。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


航空自衛隊調理競技会
空自空上げ頂上決戦 金賞は経ヶ岬と美保
 2月5日、航空自衛隊入間基地で10部隊による「航空自衛隊調理競技会」が開催された。
 航空自衛隊は、平成30年3月から空自全体でより上を目指すという意味で人気給食の唐揚げを「空自空上げ」と呼称することとし、各基地ごとに趣向を凝らした空上げを作っている。そして今回、「匠」の技を競い、空上げの頂上決戦に向けての戦いが行われた。また、この戦いの状況を54基地でライブ配信し、応援に来られなかった隊員も各地で応援することができた。もちろん、競技会場にも参加部隊長初め、約80名の隊員が集い、熱い応援を静かに繰り広げていた。今協議会会長は丸茂空幕長、副会長は岩城中警団司令と小笠原人教部長という航空自衛隊挙げての競技会だ。
 調理と盛り付け時間は120分。展示用1食・実食審査用9食・部隊長等検食用10食を作らなければならない。いつもとは違う環境での調理に、選手たちは緊張を隠せない。参加部隊と献立名は下記の通り
 総隊代表‥秋田分屯基地<NO.2029(ニイマルニイキュウ)>・北空代表‥長沼分屯基地<ジンギスカン風味空上げ>・中空代表‥経ヶ岬分屯基地<七味鶏>・西空代表‥見島分屯基地<見島みそ空上げ夏みかんソースがけ>・南西空代表‥恩納分屯基地<うちなー空上げ〜すばだしを添えて〜>・支援集団代表‥美保基地<美保サルサ空上げ>・教育集団代表‥静浜基地<空上げ三種盛(桜えび・かつお・椎茸風味)>・補本代表‥東北町分屯基地<長芋ハーブ空上げ>・大臣直轄及び機関代表‥目黒基地<東京三昧2020>・管理運営部隊代表‥入間基地<狭山茶空上げ>
 競技を終え、試食及び審査が始まった。「味」「独創性」「集団給食への適合性」「調理技術」「衛生管理」「安全管理」の6つの審査項目を基準とした厳しい審査を経て、金賞の「航空幕僚長特別賞」に経ヶ岬分屯基地(七味鶏)千原誠児2曹と「グランドヒル市ヶ谷洋食総料理長特別賞」に美保基地(美保サルサ空上げ)武井忠信空士長、銀賞の「隊員審査員特別賞」に長沼分屯基地(ジンギスカン風味空上げ)高玉亜弥架3曹、そして銀賞は秋田、見島、東北町、静浜、恩納、目黒、入間の各基地と決まった。
 特別審査員のホテルグランドヒル市ヶ谷・洋食料理長・小山浩氏は「どれも甲乙付け難かった。いつも、『我々プロは、安心安全美味しいは当たり前のこと、家族に食べてもらうような気持ちで調理しなさい』と言うのだが、本当にそんな想いのこもった作品ばかりだった」と感想を述べており、クオリティの高さを物語っていた。

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