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自衛隊ニュース   983号 (2018年7月15日発行)
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優秀地本を表彰
栃木・香川・福岡が第1級賞状

 6月25日・26日、防衛省第1省議室で「全国地方協力本部長会議」および「優秀自衛隊地方協力本部表彰」等が実施された。
 同表彰は、全国50地本の中から「自衛官等の募集業務における適切な人材の確保」、「退職自衛官に対する就職援護業務」、「予備自衛官等管理業務の充実」、「防衛省・自衛隊の理解拡大に繋がる広報業務」等、業務全般に対して優秀な成績を収めた地本を讃えるもの。
 26日には、小野寺五典防衛大臣(大野敬太郎防衛大臣政務官が代理)から、栃木・香川・福岡地本に対して第1級賞状が授与された。
 25日の地本長会議で山崎幸二陸上幕僚長は、募集・援護・予備自等における現状の問題点とその改善策を述べるとともに、「地本が各業務を推進するにあたり直面する環境は非常に厳しいものであるが、各地本長の飽くなき執念と強いリーダーシップの下、全地本部員の叡智と努力を結集して任務達成に邁進してもらいたい」と要望した。
 その後、村川豊海上幕僚長と丸茂吉成航空幕僚長の説話と続き、トップの熱いメッセージを受け取った地本長や担任者は気持ちをあらたにした。

 受賞地本と隊員は以下の通り
【第1級賞状】
▽栃木▽香川▽福岡
【第2級賞状】
▽旭川▽札幌▽山形▽岩手▽茨城▽群馬▽長野▽高知▽京都▽大阪▽徳島▽愛媛▽山口▽熊本▽宮崎
【陸上幕僚長褒賞】
▽広島▽兵庫▽岡山▽大分
【隊員自主募集優秀部隊褒賞】
▽第4師団▽第36普通科連隊▽第1施設大隊▽第2施設団▽東北方面情報処理隊▽北恵庭駐屯地業務隊
【優秀広報官】
▽斉藤優子2陸曹(札幌)▽今野哲也3空曹(旭川)
▽倉内隆裕2陸曹(宮城)
▽上野崇喜2陸曹(岩手)
▽藤田雄介2陸曹(東京)
▽伊與田剛1陸曹(静岡)
▽今野寿一空曹長(茨城)
▽笠原徹2陸曹(新潟)
▽中山隆廣3海曹(長野)
▽増井弘明1陸曹(愛知)
▽上村健司2陸曹(大阪)
▽竹野徹1陸曹(広島)
▽笠井一也2空曹(徳島)
▽多田祥治空曹長(香川)
▽大槻亨陸曹長(京都)
▽山本淳3空曹(高知)
▽大石和則1陸曹(福岡)
▽坂元成止陸曹長(宮崎)
▽竹下百恵2海曹(鹿児島)


AC-TESC
機械化部隊戦闘訓練評価支援センター方式による訓練
〈第7師団〉
 第7師団(師団長・小野塚貴之陸将)は、6月11日〜23日までの間、北海道大演習場(恵庭・千歳地区)において、増強戦車中隊、増強普通科中隊及び増強第7偵察隊に対して機械化部隊戦闘訓練評価支援センター方式による訓練(AC-TESC)を実施した。
 本訓練は、交戦訓練装置を使用して、実戦に近い環境を作為し、中隊長等指揮官が流動的かつ激烈な戦闘場面における状況の把握と状況判断に基づき諸職種を組織化した総合戦闘力を最大限発揮し、付与された任務を達成するため積極的に部隊を指揮させることを狙いとして実施した。また、今年度は、訓練部隊の編成に一部変更を加え、自ら戦況を打開する場面を設定するとともに、「防勢行動」に係る想定を取り入れ、参加部隊に対してより訓練効果の高い環境を作為した。
 訓練開始に先立ち、統裁部に対し統裁官は、「AC-TESCの狙いを達成し得る実戦的な統裁の追求」、「統裁内部の緊密な連携」、「安全管理・物品管理の徹底」の3点を要望、訓練目的及び実施規定を十分に理解し、統裁部内の緊密な連携を図るとともに、昨年発生した横転事故を踏まえ、安全管理に関し訓練部隊と一体となって訓練に臨むよう訓示した。
 各部隊は、連日の雨の中、機甲部隊の流動的な戦闘及び任務達成のため積極的に行動し、貴重な訓練を実施することができた。また、訓練期間中の6月17日に福田達夫防衛大臣政務官が訓練センター(統裁天幕)を視察し、訓練の状況を確認した。

ノーサイド
頑張れ!東ティモールの新政権
北原巖男

 東ティモールでは、6月22日、62歳の前大統領・元国軍司令官のタウル・マタン・ルアク氏が新首相に就任。これから5年政権を担います。
 今年72歳になった国父グスマン氏は、新設の「筆頭上級国務大臣兼首相顧問大臣」に。閣内にあって首相・閣僚を強力に支えます。
 アジアで一番新しい平均年齢18歳の若い国、2002年5月の独立回復から16年目を迎えた東ティモール。民主国家・平和国家として国づくりの真っ只中ですが、懸案は山積です。
 急務は、教育・人材育成と基礎インフラの整備。そして所謂「資源の呪い」に陥ることのないよう自国産業を振興し、沢山の若者の雇用も確保して行かなければなりません。格差の拡大が指摘される地方の皆さんの生活環境の改善は待ったなし。国民が、独立して良かったなぁと等しく実感できるような国にしなければなりません。
 そしてグスマン氏が驚異的なリーダーシップと政治力・交渉力を発揮して、東ティモールに多大な成果をもたらしたオーストラリアとの間のグレイターサンライズガス田に関わる海の国境線画定。今後は、同ガス田の具体的な開発をどうするか、オーストラリアとの間でどう決着させて行くか。莫大な予算を要する大型プロジェクトだけに、グスマン氏とルアク氏の閣内での周到な調整がカナメです。もう一つのビッグプロジェクト、かつて自衛隊PKO部隊が活動した飛び地のオエクシ特区の開発も失敗は許されません。
 ちなみに、こうした東ティモールの国づくりに対する日本企業の進出は、中国や韓国企業等に比し著しく出遅れています。官民を挙げた精力的なアプローチを訴えたいと思います。
 一方、国際的にも東ティモールは正念場を迎えています。その第一はASEAN加盟。2011年の正式加盟申請から早や7年を経過しています。東ティモール自身が、自らをして加盟できる態勢にもって行かなければなりません。ここに、ASEANを重視し育てて来た日本であればこそ可能な、いわばASEAN加盟を先取りした、時宜を失しない支援の仕方があると思います。
 かつて国際社会から成功しないだろうと見られていた東ティモールの独立回復闘争。それを成し遂げたのは、国民の団結です。そんな国民を励まし、ジャングルにあって命がけで率いて来たリーダーが、グスマン氏でありルアク氏です。今、2人の強い信念と信頼関係そして行動力が再び統合されました。
 独立回復と同じ価値を有する国づくり。卓越したリーダーシップのもと、国民が団結して国づくりに取り組むとき、東ティモールは必ずや大きな飛躍を遂げることを確信します。
 ここで、ルアク新首相について一言。東部の僻地バギア出身。清廉潔白、誠実な人柄。訪日経験も多く、女児を日本の幼稚園に通わせたほどの親日家。学びの場はジャングル。今日の戦闘では命を長らえたが明日は死ぬかも知れない、だからと言って英語やポルトガル語を始めとするジャングルでの独習を怠ることはありませんでした。
 こうした経験も踏まえ、次代を担うあらゆる階層の子供たちや若者たちの教育・人材育成を重視し、奥様共々尽力を続けています。
 ちなみに2010年、東ティモール国軍兵士を初めて防衛大学校に留学生として送り込んだときの国軍司令官は、ルアク氏。以降、今年3月までに8名の東ティモール留学生が卒業し、若手将校として頑張っています。現在、9名が在学中です。能力構築支援、パシフィックパートナーシップもルアク国軍司令官のときからです。
 またルアク氏は、全国442の村々全てを自らの足で訪問し、住民と意見交換・生活環境の実態把握に努めて来ました。拡大を続ける中央と地方の格差。地方の皆さんは「私たちの首相」として、ルアク首相に対する期待は大きいものがあると思います。

北原 巖男(きたはらいわお)
中央大学。70歳。長野県伊那市高遠町出身。元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長


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