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自衛隊ニュース   983号 (2018年7月15日発行)
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日米防衛相会談
北朝鮮問題 日米の連携継続を確認
 6月29日、小野寺五典防衛大臣とマティス米国国防長官は、防衛省で会談を行った。
 マティス長官との会談はここ3ヶ月で5度目となり、日米の緊密な関係を表すものとなった。冒頭、小野寺大臣は歓迎の意を伝えると「本日は、北朝鮮の問題に関して現在行われている外交的取り組みを支えるために、あらためて日米で認識をすり合せ、またマティス長官の中国・韓国訪問を踏まえ、地域の課題についても議論したい」と述べた。訪日前の26日から中国と韓国を歴訪したマティス長官は「私どもは信頼する同盟国として緊密に協議を継続しており、ただ今大臣がご指摘した、非常に広範な地域の情勢について話をすることにも私は心待ちにしていました」と答えた。また、栄誉礼・儀仗を行った特別儀仗隊について「とてもピリっとして頼もしかった」とも述べた。
 北朝鮮問題では、大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での廃棄を実現するため、日米が国際社会と連携することで一致。いわゆる「瀬取り」については、引き続き日米が有志国と連携して取り組むことを確認した。また、マティス長官から米韓合同軍事演習停止の説明があったことについて小野寺大臣は「外交の後押しをするという意味で米韓がそれぞれ選択をしたということだと思いますが、少なくとも、今日の会談の中で一致したのは、米韓の演習、日米韓の演習、これは地域の安定にとって重要だということは、これからも変わらないということです」と述べて理解を示した。
 地域情勢については、マティス長官の中国訪問を踏まえた意見交換が行われ、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用範囲であること等を改めて確認した。また、法の支配、航行の自由等の基本的原則の定着に向けた協力の重要性を確認した。
 その他、防衛装備分野においてはFMSに関する諸課題の改善等が進捗していることが歓迎され、在日米軍に関しては、小野寺大臣から米軍の安全な運用の確保に向けた協力が要請された。

ベトナム国防次官 小野寺大臣を表敬
 7月4日、ベトナム国防次官・グエン・チー・ヴィン上将が来省し小野寺五典防衛大臣を表敬した。
 今年4月に防衛省で開催された日ベトナム防衛相会談では、軍種間交流の強化や、航空分野の捜索・救難、衛生分野、国連PKO、HA/DR、及びサイバー等の分野の協力の推進について次官級協議で協議を行うことで一致していた。
 小野寺大臣はヴィン国防次官の訪問を歓迎するとともに「両国の防衛分野の交流をさらに深めていきたい。また南シナ海、東シナ海をはじめ『航行の自由』をしっかり確保していくことが重要だと考えています」と述べた。
 ヴィン国防次官は「両国の国防協力の推進に尽力頂いていることに感謝します」「10年間の間に両国が進んだ道は長くその成果は喜ばしい」等と述べ、「今回は4月の防衛相会談で、小野寺大臣と我が国のリック大臣で合意に至った内容について、豊田事務次官と具体化していきたい」と述べた。

第2回 自衛隊・在日米軍女性フォーラム
女性自衛官比率9%以上を目標に
 6月27日、防衛省で「自衛隊・在日米軍女性フォーラム」が開催された。昨年2月に続き2回目となる今回は、日本側から人事教育局長、各幕人事担当部長、各自衛隊の女性自衛官等が参加。米国側からアイゼンハット第5空軍参謀長、在日米軍の女性軍人等が参加した。
 当フォーラムの目的は、女性の活躍について先進的な取組を行っている米国の女性軍人等と、女性活躍・ワークライフバランスに係る課題について意見交換を行う事で、今後の防衛省・自衛隊における女性活躍に係る施策検討の資とすることにある。「昨年度末時点、女性自衛官は約1万5000人で、全自衛官の約6・5%」であり、2030年までに9%以上を目指す自衛隊としては、女性軍人が約15%を占める米軍の知見、取組等で参考にすべきところが多い。
 開会にあたり福田達夫防衛大臣政務官は「意志あり能力のある日本の女性自衛官が十分にその持てる力を発揮し、その力を伸ばす組織を作り上げたい。さらには日米の女性自衛官・女性軍人の具体的な協力もより深化させてもらいたい」と挨拶を行った。
 また、アイゼンハット参謀長は挨拶で、今回のフォーラムの参加者が職種、階級、地域と多岐にわたることで非常に豊かでユニークな観点を共有できる、自衛隊がどのようにして女性の活躍を促進しているのかに興味がある等と述べた。
 フォーラムでは「女性軍人に初めて職域開放した分野における男性軍人の意識改革・教育等について」「女性軍人のキャリアマネージメントについて」の活発な議論が幅広い階級の女性自衛官・米軍人で行われた。

防衛省行政事業レビュー公開プロセス
3事業に対して「一部改善」の評価
 6月27日、防衛省で「平成30年度防衛省行政事業レビュー公開プロセス」が行われた。防衛省の全ての事業から選定された3つの事業について、公開の場で外部有識者(防衛省選定3名、行政改革推進本部事務局選定3名)から必要性、有効性、効率性の観点から事業の見直しの方向性や内容について提示がされた。評価は「現状通り」「事業内容の一部改善」「事業全体の抜本的な改善」「廃止」の4段階。今回議論された事業に対する評価結果と、とりまとめコメントは以下のとおり。
 (1)SH-60K搭載電子機器整備用構成品について
 評価結果…事業内容の一部改善(一者応札となっているものは、改善の努力が必要等)
 (2)自衛隊施設整備について
 評価結果…事業内容の一部改善(本事業には多種多様な施設整備が詰め込まれており、効率的な事業展開を考えると整理が必要ではないか等)
 (3)作業効率化促進
 評価結果…事業内容の一部改善(作業効率化促進制度の検証作業には合理性があるが、作業効率化促進料として会社と折半する合理性については改めて整理すべき等)

UNMISS司令部幕僚2名が陸幕長に帰国報告
 6月28日、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)司令部に派遣されていた2名の陸上自衛官が山崎幸二陸上幕僚長に帰国報告を行った。
 帰国報告を行ったのは、平成29年6月10日から平成30年6月12日まで情報幕僚として勤務した前田優3陸佐と、平成29年6月10日から平成30年6月26日まで施設幕僚として勤務した森下史康3陸佐の2名。
 前田3陸佐は国連ハウス地区で情報の分析及び情報データベース維持に係る業務を、森下3陸佐は国連トンピン地区で施設活動に関する企画・調整業務を実施した。
 森下3陸佐においては、派遣期間中の活動が献身的で模範的な精神と使命感であったと認められたため、UNMISS軍事部門司令官カマンジ中将より褒章を受けた。
 UNMISSに関しては、昨年5月に施設隊が撤退した後も司令部要員の派遣は継続されており、「施設」「情報」「兵站」「航空運用」幕僚として陸上自衛官がジュバの国連施設内で勤務している。

CTF151司令官、統幕長に帰国報告
「日本人の誇りひしひしと感じた」
 ソマリア沖・アデン湾において海賊対処を行う多国籍部隊、第151連合任務部隊(CTF151)で司令官を務めた梶元大介海将補(第3護衛隊群司令)が河野克俊統合幕僚長に帰国報告を行った。
 梶元海将補は3月1日から6月27日までバーレーン王国の米軍基地内にあるCTF151司令部(要員約30名、うち海上自衛官15名)で司令官として勤務。各国との連絡調整・情報収集等を行った。CTF151司令官は参加国の持ち回りで、過去にアメリカ、イギリス、トルコ等も担当しているが、日本は梶元海将補で3人目となる。
 河野統幕長は、近年海賊事案は低調だが、国内の貧困等海賊を生み出す根本的原因は解決していないとして「このたび、貴官の強いリーダーシップのもとCTF151司令官として海賊抑止策を具体的に調整し、また派遣海賊対処部隊等と連携し海賊事案を抑止したことは、日本が担任する司令部の優れた実力を国内外に示すと共に広く国際社会に貢献するものであり、賞賛に値する」と労った。
 帰国報告後の記者会見で、梶元海将補は「限定された戦力を補うため、他部隊と連携したことが大きなチャレンジだった」と述べ、「日本以外の11ヶ国の強みを活かすことに尽力した」と振り返った。日本の強みはという質問に対しては「在任中訪問した8ヶ国で『日本とバイラテラル(二国間)の関係をもっと強めたい』と言われた。これはそれぞれの国への関与、先人が築いた信頼や感謝があるから。各国と連携した作戦も日本人の司令官だから各国がまとまり、海賊に対する抑止力を維持できた」と述べ、「日本人として活動したことに、誇りと有り難さをひしひしと感じた」と充実感を滲ませた。
 また同日、梶元海将補にはCTF151司令官としての功績を讃え、小野寺五典防衛大臣から第1級賞詞が授与された。

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