防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース 防衛ホーム新聞社 防衛ホーム新聞社
   2005年11月15日号
1面 2面 3面 6面 7面 8面 9面 10面 12面

雪月花
 某商社の若手が商品の買い付けに行くので一緒に行かないかとの誘いに乗った。EU6カ国を10日間で回るかなりハードなスケジュールだった。到着したパリでレンタカーに乗りスペインのバルセロナに向かう。1100km、何か所かでトイレ休憩をとりパンを車内でかじりながらの疾走である。時速200kmを超えることもしばしば、助手席の記者がつくり顔の余裕を見せるものの手のひらには汗を感じている。途中は小高い丘は見えるものの、まったいらな地平線が続き道路も真っ直ぐ、日本のストレスを吹っ飛ばすかのように走る。この区間トンネルは一個もない、鉄橋がフランスからスペインに入る手前に一個所だけ。障害物のない土地に思うように道路建設の図面が引けるのだからこれほども高速道路網が発達するのだろう。ナポレオンの頃からヨーロッパは戦争の歴史の国々だったがこんなにフラットな所なら戦争も仕掛けやすいし攻められやすいのも当然かなと思う。しかし、今は国境もない、以前、ここが国境だったとおぼしき所には古くなった事務所棟が残っているくらいだ、少なくとも見た目には係員もいない、ノンストップで通過、通貨もユーロの流通で各国ごとの両替の煩わしさもない、EUができて12年、まったく一つの国にみえる。翌日も商社員は朝から商品の買い付けにいそがしい、多分正式に勉強はしていないようだが、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語に英語を交えて笑ったりおこったりしながら商談をすすめている。彼は27歳、海外に活躍する日本人という言葉を聞くがまさに彼がそうなのかもしれない。新生EUと日本との交流は今や若い人の手に託されている。最後のドイツ・フランクフルトで車を返したときには走行距離は4000kmを超えていた。

Home
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2008 Boueihome Shinbun Inc