〈シリーズ3〉 坐禅の具体的方法を説明しましょう。先ず、調身といって体を整えていきます。坐り方には、結跏(けっか)趺坐(ふざ)といって尻を尻あて(座布団を2つに折ったものでよい)にのせて、右足を左腿(もも)の上に置いて、左足を右腿の上に置きます。足の上下は逆でも構いません。この坐法が本来のものです。 次に半跏趺坐といいまして、ただ左足を右腿の上に置くだけでよいのです。これも足の上下は逆でも構いませんが、下の足をなるべく深くいれて、上の膝が浮かないようにするのです。 3つ目は正坐ですが、女性の方は正坐でも構いません。この場合、尻あてを縦にされて両足で挟むようにすると楽に坐れます。 次に手をおさめます。正式の法界定印(ほっかいじょういん)は右手の上に左手を載せられて、親指の先を軽く合わせます。しかし、禅では古来より右手の四指を左手で挟んで、左手の親指を右手で挟む形で坐ることが多いのです。このどちらを取るにしても、手を下腹にきちんと付けて坐ることが肝要であります。 手をおさめたら次に背筋首筋をスッとに伸ばして、腰を軽く前に突き出すようにして上体を真っ直ぐに立てます。この時、体が大地に対して垂直になるようにして、上下左右に傾いてはなりません。そして顎をだしたり、またうつむきすぎたりしないように首筋を伸ばして、軽く顎を引きます。この正しい姿勢のまま肩や胸、そして胃などから力を抜きます。 そのうえで坐禅中の呼吸は鼻で行うのです。唇と歯は閉じられて、舌を上顎に付けます。坐禅中は眼を閉じてはなりません。前方50センチから1メートルのあたりに、視線を自然に落としていきます。これを半眼(半分眼を閉じる)といいます。 初心の間は足や腰が痛くてなかなか正しい姿勢で坐られませんが、ここで安易に我流のだらしない坐相をとりますと、後々かえって苦労することになります。心身一如、体が曲がれば心も曲がってしまい、深い禅定や三昧境には入りにくくなります。(次号につづく)