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自衛隊ニュース   1123号 (2024年5月15日発行)
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1面 12・13面 17面 18面 20面 21面 22面 23面 24面

読史随感
神田淳
<第149回>

日本の国家理想

 国家に至上の価値があり、個人より国家に絶対的優位性があって、国家的な秩序や自分の属する国家が軍事的に強いことなどを他の価値に優先させる政治的な主張を国家主義という。現代日本は国家主義ではないが、戦前、大日本帝国は国家主義傾向の国だったと言えよう。現代世界ではロシア、中国が国家主義傾向の強い国のように見える。
 戦後、日本人は本格的な国家論をしてこなかった。国家を挙げて戦った大東亜戦争に敗北した日本人は、戦後国家を冷めた目で見るようになった。アメリカの科学技術と物量に負けた意識から、戦後は科学技術の重視と経済開発が自然な国是となった。それは成功し、日本は経済大国となった。平和な経済大国日本は、一つの意義ある国家のあり方だった。しかし現在日本は経済大国ではない。安全保障にも不安を抱え、その不安は増大している。
 国家に至上の価値を置き、すべてに優先させる国家主義は弊害が多く、否定されるべきだが、逆に国家を無価値なものとして否定したり、国家に無関心だったりしてはならないと思う。我々国民の生命、財産、安全、幸福、自由、人権、文化、他国に支配されないことなど、最高に価値あるものが国家に左右されるからである。日本は民主主義の国なので、日本をどのような国家にしていくか、そのあり方を我々国民が議論し、つくっていかなければならないと思う。
 歴史を振り返ると、明治政府が標榜した「富国強兵」は当時の世界で妥当な国家目標だった。明治国家はこれで相当程度成功したが、昭和になって国家が軍部に支配されて躓いた。国家目標「強兵」の運用に失敗したのだが、統帥権の独立などという常識を欠く主張が国家の運営を誤らせた。戦後はアメリカが世界で圧倒的な力をもつ中、憲法に定めた平和国家としての日本のあり方は、これでよかったと思う。しかしアメリカの力が減退した現在、今の国家のあり方で平和が守れるか問われている。
 日本をどのような国にしていくべきだろうか。人々が自由で幸福に暮らせる国、平和で住みやすい国、高い文化を持ち、高い科学技術力を持ち、経済大国ではないが確かな経済力を持つ豊かな国、国を守るしっかりした防衛力を持った国、国民の道義意識が高い国、そして、世界から良い国として敬意を持たれる国を目指したいと思う。
 そして最後に日本の国のあり方の根本に正直、事実主義を掲げたい。正直は今、世界的に重視されるべき価値だと思う。世界にフェークが増え、世界はフェークに苦しむようになった。正直や事実を軽視、あるいは無視しているとしか思えないような国もある。日本は国家のあり方として正直、事実主義を堅持するのが良いと信じる。日本の正直、事実主義は世界に貢献する。日本は嘘を言わない、信頼できるとの世界的評価は、どれほど日本の国益を高めることになるか知れない。
 日本の国のあり方は日本人の生き方そのものにかかわるが、正直で嘘を言わないことは日本社会で最も重んじられる価値になっていると私は思う。しかし、日本人が世界で正直と事実主義を貫くのは意識的努力を必要とするだろう。国際社会は自国益のため、騙したり、事実を曲げたり無視したりする戦略やプロパガンダが横行する。正直では国益を守れないように見えることもあるかもしれない。しかし最終的、長期的には正直、事実主義の方が強く、世界のためになり、国益をもたらすと信じる。
(令和6年5月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


ノーサイド
北原巖男
天下を取りにいく

 本屋大賞。
 毎年、 "全国の書店員の皆さんが選んだ いちばん! 売りたい本" 。
 2024年の受賞作品は、宮島美奈さんの青春小説。
 一報を聞いたとき、僕はそのタイトルに魅せられました。
 「成瀬は天下を取りにいく」(2023年3月15日 新潮社刊)
 成瀬って、誰?どんな人なんだろう?天下を取りにいくって、元気だなぁ・・・。
 急ごう!僕は軽快な足取りで本屋さんに向かいました。お目当ての本はレジの真ん前に沢山横積みされ、すぐに見つかりました。表紙は、西武ライオンズのユニホームを着用し、指を鼻にあてて、前をしっかり見据えている女の子。帯には、「かつてなく 最高の主人公、現る!」
 主人公は、素のおばあちゃんとして二百歳まで生きるつもりの中高生時代の成瀬あかりさん。ちょうど僕の孫娘と同じ年頃。
 あかりさんの、断固としたどこまでも真剣一直線、先行きどうなるか全く分からない挑戦。僕から見ると、彼女の気持ちはわかるけれど無理じゃないのかなぁ、でも、ひょっとするとありうるのかもしれない。そんな気にさせる、何かとてつもなく明るく楽しい一途な挑戦の数々。彼女の言動が真面目・真剣であるだけに、思わず吹き出したくなるような場面も。
 読み進めて行く途次、こんなくだりがありました。「唐突に、成瀬さんが好きだ、と思った。認めた、と言ったほうが正しいだろうか。もっとそばにいて、もっと話を聞いていたい。」
 文中のあかりさんを見ていると、僕の中に、あの大好きな人がお馴染みの音楽と一緒に現れて来ました。あかりさん自身、また若い自衛隊員の皆さんからは、「知らない。名前だけは聞いたことがあるかも」と言われるかもしれません。
 Yes,人呼んでフーテンの寅さん、車 寅次郎さんその人です。いいなぁ。どこか、あかりさんに重なって来るのです。
 彼は、こんな言葉も残しています。
 「人は人。自分は自分。決めつけるのは良くない。」
 「なんというかなぁ・・・あー、生まれてきてよかった!そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間生きてんじゃねぇか?」
 人との出会い、本との出会いも、そうかもしれません。
 さらには、アメリカからフランク・シナトラさんの「My Way」の歌声も聴こえて来ました。
 長い英語の歌詞は、僕には良く分かりません。でも、そのメロディと「I did it my way」のフレーズを忘れはしません。
 あかりさん、そして現実に今を生きている自衛隊員の皆さん・ご家族の皆さん、本紙読者の皆さんはじめ全ての皆さん。それぞれの夢と信念を持って、「マイウェイ」、「自分の道を行く」です。
 そんな皆さんに、心から力いっぱいのエールを送ります。
 著者の宮島美奈さんは、語っています。
 「先のことは分からない、が小説のテーマ。良い未来が待っている可能性もある。」(2024年4月16日付け 日本経済新聞夕刊「文化往来」欄より)
 「御意!」思わず頷いている僕がいました。
 ところで、今年の母の日は、5月12日。皆さんのお母さんは、自分のことよりも皆さんのことを心配され、応援されています。「元気かい?ちゃんと食べてる?あんまり飲みなさんなよ。車にも気をつけなさいよ」等々。きっと、いつも同じことを皆さんにおっしゃっているのではないでしょうか?
 そんなお母さんに、あなたは不愛想な対応をしていませんか?
 忙しいことにかこつけて、久しく会っていないのではないでしょうか?
 今からでも遅くはありません。思い立った日があなたの母の日。
 僕の母はもういません。今なお、後悔先に立たずです。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


「防人」応援隊
海自幹部学校後援会が発足
 4月10日、海上自衛隊幹部学校(学校長・江川宏海将)の後援会が発足した。
 平間文男後援会会長以下26名の会員には、長年にわたり、募集相談員として自衛隊支援の実績豊富な方も多く含まれ、海上自衛隊幹部学校(以下「海幹校」という)を応援しようという熱意溢れる方々によって創設された。
 海幹校に隣接する目黒川の桜が満開の中で執り行われた設立総会で、江川学校長から後援会設立に対する謝意が述べられたほか、和やかな雰囲気の下、後援会会員と学校職員の交流を深めた。
 今年は、海幹校創立70周年、市ヶ谷から目黒地区に学校が移転して30周年というダブルの節目の年であり、かかる後援会の設立を契機に、学校職員一同は、自衛隊への理解と支援を得る取り組みを推進する決意を新たにした。

こぼれバナシ
 その日…防衛省講堂を上から取材できる位置に陣取った。講堂には式典の予行を終えた沢山の人がゆったりと並んでいる。「時間になったらビッと並ぶんだよな、微動だにしないとはこのこと…いつも大変だ」と見ていた。式典が始まり綺麗に並んだ方々の肩を見ると空将補や1空佐である。よく見ると号令を掛けるのは空将補だ。全国から集まった主要幹部の方々が並んでいるのだ。空将の方々も16名並んでいる、もしかして全員?これだけの人数の高級幹部が綺麗に並んでいるのなんてみたことがない。「航空自衛隊70周年記念式典」の偉大さが窺える一コマであった。40分間の式典が終わった後には「久しぶりに列中に入って、腰が…」「足が棒だよ」「体力が落ちているのかな、びっくりだ」などという声が。我々も非常に驚きました…。
(吉田)

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